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2006年6月20日 (火)

失ったものを取り返す(その2)

第2 保釈金

① 本来であれば、「自由とプライド」について書こうと思っていたのですが、今回のライブドア事件で、堀江貴文氏の保釈金が3億円だったということが話題になりましたし、一般の皆さんの興味としては、保釈金の方があると思われますので、先に書くことにしました。

② 一言に保釈金といっても、お金だけだせばよいというわけではありません。

先ず、起訴されるまでは保釈はありません。日本法上は起訴後保釈のみが認められており、起訴前保釈の制度はないのです。

 さらに、起訴された後にお金だけ出せばよいとうい訳でもありません。

「裁判所は、保釈の許否を決定する前に、検察官の意見を聴かなければならない。」とい決まりがあります。

③ 私の場合は、起訴後初公判前に、一回保釈が決定しました。勿論、裁判官が保釈を決定し保釈金を決めたのですが、これが1500万円。私は、女子医大から最後の給料30万円をもらった後に、女子医大が作成しその虚偽があきらかになった内部報告書により逮捕され、それが理由で論旨退職させられました。無職で、月約18万円の住宅ローン残り20年という状態でした。そんな状態ですから、元新聞記者で民間サラリーマンの父の退職金や亡くなった妻の両親の遺産を親戚から借りてなんとか現金1500万円を作った妻が銀行からタクシーで裁判所に運びました。

④ しかし、そのころ、起訴した検察官は「準抗告」という制度を利用して保釈に反対。「私立医大の助手の保釈金が1500万円とは安すぎる。」等の理由で高等裁判所に意見したところ、ひっくり返って保釈決定が棄却されました。妻は泣く泣く(文字通り)現金を引き取ったそうです。

 それまで、逮捕や勾留決定や勾留の延期に対して私の弁護士さんが何回も「準抗告」を提出してくれましたが、一切認められなかったのに、検察官が適当に書いた「準抗告」は簡単にとおるのです。

⑤ 保釈を許す場合は、裁判官が保釈金の額を決めますが、その金額は、犯罪の性質・情状、証拠の証明力、被告人の性格・資産を考慮して、被告人の出頭を保証するのに過不足ない額を算出することとなっています。どんな算出方法をとったのか知りませんが、自分たちの給料と大学の勤務医の給料を間違えたのではないかと思います。(裁判官や検察官の給料は驚くほど高額です。)

⑥ ちなみに、私が東京拘置所に勾留されていた同じ舎の同じ階には、鈴木宗男議員、オウムの新実被告、三井物産の社員などがいました。また、同じころ辻本清美議員も保釈されたり、江副浩正被告の判決が私の初公判と同じだったという関係でいろいろな人の保釈金を調べてみると、

(敬称は略させていただきました。)

浅田満  ハンナン牛肉偽装事件     20億円

許泳中  イトマン事件          6億円

堀江貴文 ライブドア事件             3億円

金丸信  巨額脱税事件               3億円

横井英樹 ホテルニュージャパン火災 2.5億円

江副浩正 リクルート事件             2億円

田中角栄 ロッキード事件             2億円

堤義明  西武鉄道株事件             1億円

安倍英   薬害エイズ事件           1億円 無罪

鈴木宗男  受託収賄罪事件        5000万円

野村沙知代 脱税                  5000万円

辻本清美                          600万円

植草一秀  盗撮事件               300万円

三井物産47歳部長                   600万円

⑦ 一般の感覚からいって、国会議員の給料や資産、三井物産の部長の給料から考えて、無職になった元大学病院助手の保釈金がそれ以上になるとはとても思えませんが。 

       私の実際の保釈金は2000万円でした。

このような高額になった理由ははっきり解りませんが、同時に逮捕された医師との関連が考えられます。

⑧ また、私が保釈されたことやその保釈金の金額については、一切報道がありませんでした。しかし、保釈時には、沢山の報道カメラマンに囲まれて撮影されました。保釈された直後に感じたものは、喜びというより報道陣に対する怒りでした。

⑨ ご存じのように、無罪判決後は、保釈金が返ってきました。もちろん、利子などありません。全く馬鹿馬鹿しい話です。妻は安全のために1500万円と2000万円の現金の運搬にはタクシーを利用して、保谷にある実家と霞ヶ関までを一往復半しましたが、そんな無駄なお金も全く考慮してくれる訳がありません。、

⑩ 保釈金の話のついでに、お金の話をすると、女子医大と本件遺族との間では、遺族が刑事告訴して約2ヶ月後に、示談金による示談が成立しました。刑事告訴を取り下げるという条件なく女子医大の弁護士が示談に応じたことになりますが、この示談についても、示談書が2通りあり、金額が書かれていないものだけが、報道に発表されたので、示談金も発表されていません。今後の医療事故で金銭的解決を望む家族にとっては何の役にも立たない事例となったのです。

「失ったものを取り返す」は続いて次回は「第3 自由とプライド」の予定です。

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コメント

刑事告訴をしている国は日本だけ?!国民も政府もおかしいです。それに、今回は筋違い!夫も医師ですので他人事と思えません。明日はわが身です。医師は一般的に高額収入と勘違いされているから余計に非難の矛先になりやすいですね。先生も偉いですが、奥様も偉いです。先生が頑張れるのは二人三脚だからですね。奥様頑張れ~!
 医療行為に対して刑事事件になるのだけは無くして欲しいと切に願います。民事はお金で解決が付きますが、刑事は失うものが大きすぎますから。検察が上告していることは本当に残念です。しかし、結果は必ず前回と同じだと確信します。季節の変わり目お体大事にして過ごしてください。

投稿: みわ | 2006年6月21日 (水) 23時06分

コメントに深謝いたします。私の逮捕後、私の話を聞いたオックスフォード大学の心臓外科医ウエスタビーは「日本人だったら医者にはならなかった。」とおしゃったそうです。医療行為に関する事故を刑事事件扱いするような先進国は欧米にはないそうです。私の事件後に、東京大学の法医学の吉田教授がオックスフォード大学に調査に行かれて、この事柄に関して真剣に考えられているようです。私の件と今回の福島県の産婦人科事件も相まって、医療行為を刑事事件として扱うことの是非は、マスコミレベルでも扱われ初めていますが、医療界がリードしていくべきだと思います。

投稿: | 2006年6月21日 (水) 23時23分

K先生の件も心が痛みます。こんなことをしていたら新しい治療や、難しい治療は日本では出来なくなりますよね。患者様の為に尽力を尽くしている医師をもっとまともに見てほしいものです。良きソマリア?人…人助けをした人には罪は無いのですから。医療界全体が正常に機能出来る時代になることを祈ります。マスコミは情報操作しているので真実はなかなか国民に伝わりません。事件のある一面だけを誇大報道する体質はこの日本から無くならないのではないかと思います。人の不幸よりも温かみを伝える世の中になってほしいですね。

投稿: みわ | 2006年6月22日 (木) 10時54分

たびたびのコメント有難うございます。専門領域のことが全く分からないマスコミの医療報道に関しては根本的に改革しなくてはならないと思います。今日の朝日新聞の夕刊に名医とされる心臓外科医が数人でていましたが、「マスコミの印象で名医とされている医師」ということです。この中には私とのパーソナルコミュニケーションで、バイパス手術以外はほとんどまともな手術をしていなかったり、死亡率がちょっと前まで10%もあり、現在でも悪いのにその成績を新聞のアンケートでは隠したりしている医師もいます。私は知り合いが先ほど述べた前者に、感染性心内膜炎の僧帽弁手術をうけることに関してセカンドオピニオンを求められました。正直に話しをして、その病院を退院させて、感染性心内膜炎の僧帽弁形成術を確実に行ってくれるS記念病院のK先生を紹介したことがあります。勿論現在でもお元気です。このように、マスコミが名医としてりる医師が実際はたいしたことない医師だったりすることが多々あると思います。

投稿: | 2006年6月22日 (木) 23時26分

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受信: 2006年10月26日 (木) 10時05分

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