« 医療と健康 「東京女子医大事件の判決について」 | トップページ | 黒澤教授との電話(一部) »

2006年7月13日 (木)

新聞各社の無罪報道比較

このブログ以外のスレッドに、

「先生(私)はマスコミを訴えていますので、マスコミの反応が鈍いのでしょうが、本来なら、今回の事件を報道した全てのマスコミが真相究明の為に検証を行うのが筋だと思います。」とのご意見をいただきました。

 これをきっかけに、無罪判決直後に代表的な新聞がどのような報道を行ったかを読み直してみました。

 私の父はある全国紙の記者だったこともあり、小学生のころから新聞の読み比べはよくやりました。特に、湾岸戦争が勃発した当時等は、5大全国紙は記事を読むだけで、どこの新聞社か当てることができる程、各社の色がはっきり出ていました。私の事件報道に関しては、「やはりな。」と思う新聞社も「以外だな。」と思う新聞社もありました。国際政治と医療事故報道に対する報道姿勢にはあまり関連がないからだとは思います。

 各社「判決」と私の記者会見(40-50分間)をソースとして、無罪判決の事実とその理由以外にいろいろと書いています。

ただ羅列しても面白くないので、以下の3点に絞ってまとめてみました。

①判決にある女子医大の責任に関する報道

②内部報告書の誤りに関する報道

③医療事故の解明と刑事事件に関連する報道

朝日新聞(以下、五十音順)

①なし

②判決は、人工心肺の回路のフィルターが詰まったことが死亡につながったと認定。ポンプの回転数を長時間上げすぎたことが主な原因とする東京女子医大の調査報告書とは異なる判断を示した。 佐藤医師は「報告書は学会でも誤りだと指摘されている。起訴状はその報告書に追随したものだった」と検察側を非難。「東京女子医大は報告書を取り下げるか、誤りと認めるべきだ」と古巣にも批判の矢を向けた。

③強調したのは、医療事故をめぐる真相解明のあり方だった。「警察も検察官も裁判官も、医学の専門知識はない。医療事故が起きたとき、何が起きたのかは専門家が判断し、過誤があると分かった段階で司法が介入すべきだ」と述べた。

産経新聞

①なし

②自分のミスで明香さんが死亡したとする女子医大病院が作成した事故報告書について、「法曹界からも全くの誤りと判断された。撤回すべきだ」と病院側を批判。

③「(専門性が高い)医療過誤は第三者の専門家が原因を究明し、その後に司法は介入すべきだと思う」と持論を展開した。

上毛新聞(患者さんの居住地の地方紙。共同通信配信の部分がある可能性あり)

①なし

②同病院は事故直後、佐藤被告が吸引ポンプの回転数を上昇させたことが事故原因とする報告書を発表。報告書は検察の論拠にもなっている。 これには日本胸部外科学会などが否定的な見解を示しており、「(佐藤は)専門医でない人がやった特定機能病院の資格を守るための調査で医学会(ママ)も否定された」と同病院を批判した。

③なし

東京新聞

    なし

    佐藤医師は「起訴状は東京女子医大の調査報告書を追随する内容だが、報告書は心臓外科以外の医師がまとめたもので、学会も間違っていると判断している」と指摘。

    なし

日本経済新聞

①「構造に瑕疵がある」と判決で指摘された人工心肺装置は、・・・同病院の医療事故被害者連絡会のメンバーは「今回の裁判では危険性のたかい人工心肺装置を使った病院の問題が解明されていない」と指摘している。

②(佐藤は)「判決で、(被告の責任を指摘した)東京女子医大の内部報告書や、それに依拠した検察側の主張の誤りが明らかになった」と述べた。

③さらに、「欧米では大学病院などで医療事故が起きると、専門知識を持った他大学の医療スタッフが調査にあたるが、日本ではシステムが整っていない」と指摘。事故原因が刑事裁判で追及されることに疑問を投げかけた。

毎日新聞

    判決は「危険な装置を使用していた女子医大の責任が問題となる余地はある」とも言及。

    なし

    なし

読売新聞

①(判決は)「必要性が乏しいフィルターが取り付けられていた」とも述べ、人工心肺の構造に欠陥があったと認定。「危険な装置を設置していた東京女子医大の責任は問題になる」と指摘した。

②佐藤被告も会見し、「誤った内容の東京女子医大の内部報告書に、警察、検察が依拠したことが明らかになった」と語った。

③中立的な専門家による事故直後の調査の必要性が改めて浮き彫りになった。

|

« 医療と健康 「東京女子医大事件の判決について」 | トップページ | 黒澤教授との電話(一部) »

刑事事件」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。記事を読んでいて非常に考えさせられるものがあります。
私も今の医療訴訟に対して意見を持っている者です。つきましてはトラックバック(引用)の許可をいただければと存じます。
よろしくお願い致します。

投稿: やまちゃん | 2006年7月19日 (水) 12時29分

了解しました。
トラックバックお願いいたします。

投稿: 紫色の顔の友達を助けたい | 2006年7月19日 (水) 15時36分

はじめまして。
医療とメディアのあり方に関心を持っている最凶と申します。
拙ブログ「出もの腫れもの処嫌わず」にトラックバックいただき、ありがとうございました。
近年メディアは、視聴者に受けるのか、こぞって医者たたきをしていますが、医者と患者が対立するように世論操作をしているようにしか見えません。しかしこれは医者はもちろん患者にとっても大きなマイナスだと思います。
こちらからもトラックバックさせていただきました。今後ともよろしくお願いします。

投稿: saikyou | 2006年7月27日 (木) 13時20分

コメントおよびトラックバックありがとうございます。「医者と患者が対立するように世論操作をしているようにしか見えません。」確かにそのように思えるかもしれません。しかし、私がこの4年半、メディアの医療に対する報道をみてきましたが、彼らは故意に世論操作するほど医学知識がありません。芸術的に優れているがクラッシックファンしかしらない名演奏を録音してCDを販売するより、大衆受けするポップスを売り込むのと同じメンタリティで、日本には本当に熟練されたものをよしとしない癖があります。簡単にいえば、高いレベルでメディアが理解できないレベルのものは、評価もすることができないので、記事にもできない、しようとしないのでしょう。おなじように、本当の最先端医療や、難しい心臓手術の成績のよい医師を紹介するより、バチスタのように単純で簡単な手術方法を難しい手術であると報道したり、アカデミックな部分がない、バイパス手術の吻合時間だけが多少早いが手術成績は悪い(手術して死亡する患者の確立が高い)心臓外科医師がマスコミ受けして名医としてしまう方が簡単なのです。

投稿: 紫色 | 2006年7月27日 (木) 19時08分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/87351/2637348

この記事へのトラックバック一覧です: 新聞各社の無罪報道比較:

» 同情 [やまわーるど]
ここのところ、国家権力に対する怒りの記事が多いのですが、参考までに下記を紹介致し [続きを読む]

受信: 2006年7月19日 (水) 18時26分

» メディアはガン流からボケ流へ [出もの腫れもの処嫌わず]
 「ズバズバ行きます」宣言が、ほとんど国会議員なみのカラ公約になってますが、タイゾー的な言い訳しちゃうと、図書館から借りて来た小松秀樹著「医療崩壊ー立ち去り型サボタージュとは何か」を読み始めたらついつい面白くって、ブログ書いてる時間が無くなっちゃったんだよー。まだ全部読んでないんで詳しいコメントはしませんが、日ごろブログでわめいて来たテーマについて参考になるコトが多いもんだから、すでに付せんベタベタのヒマワリ状態になっちゃってます。  と、ちょっと気を抜いていたスキに、どひーん、医療カイカク関連法... [続きを読む]

受信: 2006年7月24日 (月) 16時00分

» id-2457751-a [id-2457751-a]
Blog Records:id-2457751-aComments... [続きを読む]

受信: 2006年10月30日 (月) 21時21分

« 医療と健康 「東京女子医大事件の判決について」 | トップページ | 黒澤教授との電話(一部) »