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2006年12月

2006年12月23日 (土)

拘置所出所時の被告人の撮影と公表と肖像権(1)

1.はじめに 

 今日(2006年12月22日)の読売新聞朝刊と夕刊は気になる記事が三つありました。(私は特に読売新聞が好きだとか嫌いだとかいうのではありません。医局で読売と朝日をとっているからです。どの新聞も政治面、社会面、科学報道、医療報道等の分野においてそれぞれ、いいところもあるしダメなところもあります。)①DES(薬剤溶出ステント)②番組のネット送信差し止め テレビ局の抗告棄却③姉歯被告が保釈

   

「そんなこと逆立ちしても起こりえない」-通常の心臓外科医の反応

DESの記事は何でもない一般的な記事でしたが、今日も私が二つほどこのDESを留置してきたあとこの記事が夕刊にでているのを読みました。この記事は記者の記名がある記事です。この記事の作成者は講談社発行の著書の中で、以下のように書いています。(女子医大の事件を知った記者が、ある心臓外科医師のN.A.氏にインタビューしたときの様子が書かれています)。「 この記事を見て、N医師は、誰か新米の記者が、勘違いして書いたな」と面白がっていた。人工心肺装置のポンプの回転数を上げすぎて血液が循環しなくなり、現場がパニック状態になったと書いてあるが、そんなことは逆立ちしても起こりえないと思ったのだ。ところが、これは紛れもない事実だった。心臓外科医たちの間ではこの事故についての情報が矢のように走り、数時間後にはそれが笑い話でないことが分かってきた。」下線部は心臓外科なら誰もがそう思います。しかしその後の「ところが、これは紛れもない事実だった。」というのはどういう根拠からそのような虚偽が書けるのでしょうか。「心臓外科医たちの間ではこの事故についての情報が矢のように走り、数時間後にはそれが笑い話でないことが分かってきた。」そんなことあるわけないでしょう。そんなことは「笑い話」なのです。この著書が発行されたときにはすでに三学会報告書によって、そのような「笑い話」はやはり「虚偽である」ことがわかっていたのです。今後を楽しみにしていてください。

   

番組のネット送信差し止め

YOMIURI ONLINEより「インターネットを使ってテレビ番組を視聴できる有料サービスを提供している東京都内のサービス提供会社に対し、NHKと在京の民放5社が、放送事業者の権利を侵害するとして、サービス差し止めを求めた仮処分申し立ての抗告審で、知財高裁(三村量一裁判長)は22日、申し立てを却下した東京地裁決定を支持、テレビ局側の抗告を棄却する決定を出した。」とのことです。

 私は、逮捕後におそらく、いろいろなテレビ局で私の名誉を毀損する放送がされたのではないかと思っています。そのため、これを調査するためにこの提供会社に「2002年6月末から7月のテレビ報道を録画していたら視聴したい。」と直接連絡をとりましたが、本件裁判のこともあったためか、同社の営業目的とは異なる以来ということで、丁寧に断られました。本件高裁で勝訴したのであれば、おそらく上告されても勝つでしょう。この会社が訴訟に役立てば、報道被害者にとっては朗報です。

 放送と人権等権利に関する委員会(BRC)という第三者機関があります。放送番組による人権侵害を救済するため、1997年5月にNHKと民放により設立された「第三者機関」と同機関のホームページにはありますが、深刻な報道被害者にとっては、何の役にも立たない機関です。私は連絡しましたが、全くお役所仕事。人を馬鹿にしているかの対応でした。竹田稔先生が審理委員に顔をだされていますが、形だけではないでしょうか。窓口の電話対応は最低でした。この機関にかわって、この提供会社が真剣に「放送と人権等権利に関する問題」に対応していただけるように期待いたします。

2.拘置所出所時の被告人の撮影と公表-姉歯被告人と肖像権

   

姉歯被告人の場合

 姉歯被告人保釈の報道の記事の構成は読売新聞では以下のようになっています。「耐震強度偽装事件で、建築基準法違反や議院証言法違反(偽証)などの罪に問われ、今年9月に保釈が認められていた元1級建築士・姉歯秀次被告(49)が21日、保釈保証金500万円を東京地裁に納付し、今年4月の逮捕から約8か月ぶりに東京拘置所から保釈された。

 姉歯被告は薄茶色のセーターにスラックス姿。私物を詰めたカバンを自ら台車で運び、無言のまま車に乗って千葉県市川市内の自宅に戻った。判決は今月26日に言い渡される。」(東京拘置所を出る姉歯被告が台車を押している写真の掲載。)

   

この記事の読み方。

(ア)報道されている情報によれば、姉歯被告人は問われた罪を認めています。そうなると、証拠を隠滅する可能性はない。自宅に戻ったということですから、保証人もしっかりいて、住居も確実にある。保釈決定がされたのは9月。保釈まで約3ヶ月。なぜ保釈されなかったのか?おそらく、保釈金が支払われなかったからでしょう。勝手に想像すれば、保釈金が工面出来なかったためと思われます。

(イ)私の経験では保釈金の支払いが済んで、実際に出所が決定した瞬間に報道関係者がメディアスクラムを組んで東京拘置所に集結。写真を見ると夜間ではなさそうなので、白日のもと出所した様子。写真だけでは、どこで撮影されたかはわからない。

(ウ)「無言のまま」ということを報道がわざわざ書いているのは裏では「撮影が白日のもとに行われて、明らかに撮影をしていることを姉歯被告人は認識していたにもかかわらず、それに対して、撮影を拒否する抗議をすることもなかったので、撮影は無言の内に承諾された。よって、撮影を行い、これを掲載してもなんら肖像権の侵害にはならない。」という主張を含んでいると読めます。写真からすると「撮影は公道からの撮影であり、被撮影者も撮影が許可されているもの場所にいる場面での撮影である。」ということが言えるかもしれません。

(エ)もっと深読みすると、「私物を詰めたカバンを自ら台車で運び、」とあるのは、「荷物が沢山あるのであれば、先に荷物を搬送して、自分は後から逃げるように車に飛び乗ることもできたのに、あえてせずに、多くの荷物をゆっくり運び撮影の機会を充分に与えたので、暗黙の内に撮影を承諾した。」と読めます。

(オ)保釈金500万円。これを決定するのは裁判官ですが、年収2000-3000万円、奥さんの医療費が高額であったと報道され、今後も無職の可能性がある姉歯被告人にとってはなかなか作れない額だったかもしれません。

(カ)2006年6月20日の本ブログ 「失ったものを取り返す(その2)」でも保釈金のことを書きましたが、私は一回決定した1500万円の保釈金による決定を検察官の準抗告によって高裁裁判官により棄却されました。逮捕後一回きり支給された女子医大から最後の給料30万円をもらった後に、女子医大が作成しその虚偽があきらかになった内部報告書により逮捕され、その逮捕が理由で論旨退職させられました。無職で、月約18万円の住宅ローン残り20年という状態で保釈金1500万円は安すぎるということで、結局2000万円。民間サラリーマンの父の退職金や亡くなった妻の両親の遺産を親戚から借りてなんとか保釈金を払いました。

(キ)姉歯被告人が年収2000万円から3000万円、私は女子医大の給与は30万円、出張した病院によっては、医師8年目で年収400万円以下のところもありました。裁判官がどういった計算をすると姉歯被告人が500万円、私が2000万円になるのかわかりませんが、罪を認めているか否かが関連しているのかもしれません。(つづく)

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2006年12月 7日 (木)

内部報告書と社会保障審議会

1.事例の御教示 

 病院や企業内で事故があったときに、内部で報告書を作成してもそれが、「病院や企業を守ろうとするために文書にすぎない」ことが多々 あるということだと思います。このブログでも何かよい判例や事例がないか皆さんにお尋ねしたろころ、m3 com.の方に事例を御教示いただきました。 

2.女子医大内部報告書は私の逮捕前から信用されていない

 2002年2月28日の第3回社会保障審議会「医療分科会」議事録 議題 「東京女子医科大学病院の完全管理の確保状況等について」が私の手元にあります。「鴨下重彦、木村静子、桜井秀也、猿田亨男、全田浩、福島龍郎、水野肇、三宅祥三、山浦晶(以上敬称略)」の委員からな り、女子医大側からも出席者がいて事実関係(真実ではない)を発言しています。内容は調査報告書に依拠しているので、誤っています。この8頁にこのようなやりとりがあります。

前提:

 調査報告者は学内第三者が内部調査が行ったこと、特に心研外の人が行ったと女子医大側から説明されていました。しかしこの場では指摘されていませんが、実は心研循環器内科楠元教授がメンバーでした。楠元教授は主任教授ではありませんが、いわゆる「平教授」だったのです。循環器小児外科を目の敵にしていた笠貫教授が空席になっていた心臓血管外科教授選の利害関係に関連して楠元教授採用されたと予想される。

以下 議事録 8頁からの抜粋

(委員)

「より詳細な調査を学内第三者が行うことを決定 した」とありますが、「学内第三者」というのはどういう意味ですか。私が聞きたいのは、心研にいなければ学内第三者だとう解釈なのかどうかです。」

(女子医大)

「そのつもりで書きました。 」

(委員)

「それを第三者と言いますか。メンバーを見ると、私どもの知っている先生もだいぶいらっしゃいますので、女子医大の中の方だと思うのですがね。こういうのを学内でや っても国民はあまり信用しないちうことを私は言いたいのです。」

 このご意見も当たり前のことだと思います。 しかも、「心研にいない」というのも嘘ですから、酷いものです。第三者とは、「女子医大幹部および笠貫教授にとって不都合な人間以外の人という意味が正しい解釈でしょう。

 講談社訴訟の裁判官にはこのような当たり前の感覚がなかったということです。

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