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2007年2月

2007年2月26日 (月)

Dr.いのげによる大野病院事件第二回公判 傍聴記

 いのげ先生から大野病院事件 第二回公判の傍聴記をただ来ましたので、転記いたします。この裁判の注目されている方ならご存じのように「周産期医療の崩壊をくい止める会」HPには、公判調書に準ずると思われる、裁判の記録が掲載されました。

この「周産期医療の崩壊をくい止める会」HPは「公判調書」の役割が目的と思われますが、いのげ先生の執筆はそれに加え「傍聴記」の要素が多く含まれますので、一読の価値があると思われます。以下引用させていただきます。(紫色の顔の友達を助けたい)

傍聴記を書くと公約したが既に「周産期医療の崩壊をくい止め
る会」HPに
適切なる傍聴記が発表されたのでいのげはこれに対する補足的
注釈を加えるに留める
くい止める会には無断転載になるが御容赦いただきたい
わたくしの注釈に関する部分は著作権放棄 無断引用転載大歓
迎である

以下 【 】 内がいのげの記載 カッコなしはくい止める会
傍聴記原文である
-ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー-ーーーーーー
ーーーーーーーー
【勝手に命名された登場人物たち
(傍聴席から見た位置関係 )

正面:判事席
裁判長:小林興起似 語り口はマイルド
よしこ判事:櫻井よしこ似 右陪席(傍聴人から見ると左)
もたい判事:左陪席 もたいまさこ似 ワンレンぽい髪
手前低いところに書記官3人 録音も併用

左側:検事席 奥から巡
プラトン検事:真っ白白髪 哲学者ぽい風貌 語り口は弱弱し

ソリコミ検事:(=泉谷P?)今回8割程発言の主力 舌鋒も
ソリコミも鋭い
法源検事:オールバック 福永法源似
大仏検事:(=おさむP?)大仏パーマの人 残念ながら今回
は発言無し
後列に4人ほど検察事務方らしき人 その奥に修習生らしき人
数人

右側:弁護団席7人(発言の少ない人省略)
前列:4人
ロビン弁護士:ヒゲがロビン・ウィリアムぽい長身 反復質問
多い
たぬ弁護士:主任弁護士 狸ぽいキャラ
いさお弁護士:副主任 橋爪功似 医学に相当明るい能弁家

後列
レーザー弁護士:ヒゲと後方からの鋭い補足質問がイチローの
レーザビームを連想させる

被告人:不当逮捕された産婦人科医 一年前の拘留10日目に福
島地裁いわき支部の法廷で見たときより少し体重が増えた印象
  やつれがとれただけかもしれない
いのげは自分にも他人にも実名を使わないことにしている
他に表現が思いつかないので被告人にさせていただく】

<開廷>
加藤先生に対する証拠提示

加藤先生入廷 おじぎをされて着席

【弁護側提出証拠の追加である
被告人に示したのではなく 裁判官に示した証拠を
被告人に説明させている 
プラトン検事が席を立って被告人の
近くで証拠を説明する様子をチェックしている

甲36―40号証という名称から
裁判開始までに提出された証拠が
35本あったと推定される

甲36号証は摘出された子宮の写真 子宮の上下が写真では90度
回転して左右になってる
被告人が大野病院の手術室にてルーチンの作業として撮影した
もの
長径22cm(写真の左右 患者の上下) 短径16cm(写真の
上下 患者の左右)

(法廷の右奥に70インチはあろうかというモニタがあり
プロジェクタも用意されていたが臓器写真は人権に配慮してか
モニタに示されなかった。
この措置は「真実を明らかにしてほしい」という患者遺族の強
い要望に反し
重要な証拠を傍聴人から隠すものだ 傍聴人には医師も多数い

公表することでより正確な事実評価が得られる期待がおおいに
ある
遺族におかれては証拠を傍聴人から隠さないように
検察および裁判所に対して要望を出していただきたい)

(→当ブログ管理人 紫色の顔の友達を助けたい の意見

上記いのげ先生のご主張には賛成しかねます。
 刑事事件の真相を明らかにするのは、裁判所の仕事です。傍聴者が事実評価をすることよりも、遺族や亡くなった方の権利が尊重されるべきだと私は思います。)

甲37号証 胎盤と卵膜の写真 子宮内腔側
メモに「切れ目なし」とあるが自分で意味が分からない

甲38号証 37号の拡大写真

甲39号証 胎盤の母体面 子宮に接している面

甲40号証 39号の拡大写真】

加藤先生に対する証拠提示中

弁護側 卵膜はどこにあたりますか? ・・(以下、加藤先生
、説明)

弁護側 裁判官において、具体的にどの部分か同定できました
か?さしてください。

裁 ここですよね、いや、この周辺ですか? (苦笑)

【被告人が裁判長に歩み寄ろうとして制止される
裁判長は被告人との距離を保ちたいらしい】

弁護側 説明書を添付しましょうか?

【被告人が写真のコピーに説明の印を書き込んだ】

弁護側 臍帯はわかりますか?

裁 わかります。

証人喚問
<双葉厚生病院 産婦人科医長>
【濃い色の眼鏡とソバージュぽい髪型が全然似合ってない
本田勝一の様なちょっと怪しげな風貌 語り口は誠実さを感じ
る】

【ソリコミ検事】
検察 高宮から質問します。質問には簡単に答えてください。
証人は昭和56年から現在双葉厚生病院に医長として勤務。臨床
経験は32年、日本産婦人科学会認定医ですか?
【認定医試験が無くて学会出席で認定される時代だったと正
直に証言】

証人 はい。認定をとってから20年です。産科の分娩、帝王切
開を担当しています。

検察 癒着胎盤についてお尋ねします。証人は癒着胎盤をご存
じですか?

証人 はい

検察 証人が経験した症例はありますか?

証人 あります。

検察 何例ですか?

証人 3例です。

検察 癒着胎盤とは、胎盤の絨毛が直接子宮筋層に侵入する、
理解はそれで良いか?

証人 はい。

検察 定義は、狭義の、癒着胎盤がplacenta accreta,
広義がincreta,
穿通胎盤percretaの、三分類として分けられている。一般的理
解としてご承知か。

証人 はい。

検察 証人が経験した癒着胎盤は?

証人 2例は経膣分娩で、容易に胎盤を剥離できたので、accreta
と考えられる。一例は陥入と考えられる。

検察 これは胎盤と子宮がどのように分類されているのか?

証人 陥入、穿通は、なかなか剥離できず出血が止まらない。
癒着が容易に剥離できたので、accretaと判断した。

検察 子宮摘出実施はあるか?

証人 あります。

検察 どの症例か?

証人 陥入胎盤の一例です。5年前の症例。

検察 ちなみに子宮摘出例で、本人か家族から後に異議を出さ
れたことはあるか?

証人 ありません。

検察 陥入胎盤で出血がとまらない理由はなにか

証人 陥入胎盤では、絨毛組織が子宮筋層に深く侵入している
。剥離した部分の絨毛間腔が開いている、子宮の収縮が悪くな
り出血する。

検察 癒着胎盤の場合、大量出血に注意すべきという理解があ
るのはよろしいか?

証人 はい。

検察 癒着胎盤で大量出血のメカニズムは?

証人 先ほど、説明したように・・・、癒着胎盤で出血が起こ
るところで話したことと同じだが、絨毛間腔が開く。

検察 通常の子宮胎盤では、子宮収縮により止血がはたらく理
解でよろしいか?

証人 いいです。

検察 それを生理的結紮という。

証人 そうです。

検察 癒着胎盤では生理的結紮がうまくはたらかないので出血
する。これでよいか。

証人 良いです。

検察 母体への影響はあるか?

証人 大量出血をおこすと母体に出血性ショックやDICをきた
す可能性がります。

検察 出血性ショックの説明は?

証人 説明。

検察 DICの説明は?

証人 播種性血管内凝固症候群といい、

裁判官 え、何て、何て?

証人 播種性血管内凝固症候群です。私達はDICと言います。
以下DICの説明
【血液凝固因子が減少して出血しやすくなるといった趣旨】

検察 DICや出血性ショックが生じると、母体の生命に危険が
生じるということで良いですね。

証人 生じるんじゃなくて可能性がある。

検察 産婦人科の専門医は通常知っている知識ですか?

証人 はい。

検察 続けて質問します。癒着胎盤かどうかは、最終的には摘
出子宮の病理で診断するという理解ですか?

証人 はい。

検察 癒着胎盤発症のリスクは、前回帝王切開というのは知っ
ていますよね。
【いのげメモでは前回帝王切開と前置胎盤】

証人 はい。

検察 どういう理由か

証人 説明 子宮下部では子宮内膜が薄いので、おこりやすい

【↑これは前置胎盤における理由と思われる】

検察 前回帝王切開の妊婦でおこりやすい理由は

証人 帝王切開で子宮を傷つけることにより、内膜の形成不全
が生じ、また切った後縫うときに子宮内膜がめくれた状態で縫
ってしまうと、脱落膜が筋層に入り込みやすくなる。

検察 臨床上、術前検査で癒着胎盤の発症を疑うものは、どう
いう検査があるか?

証人 通常は超音波検査、カラードプラ検査、MRI、膀胱鏡、
特殊な検査として、胎児のつくるホルモンが母体で高くなると
いうことがあげられる。

検察 そのうちの一部で、エコー、カラードプラは具体的にど
ういうことをみるものか?証人 超音波はあらゆることの診断
に用いられているが、癒着胎盤については、あまりに稀なので
、通常の検査ではそこまで見ていない。

検察 カラードプラはどういうことをみるのか?こちらの質問
の回答に限って答えてください。

証人 血流をみます。

検察 血流豊富かどうかは、画像で確認できるというイメージ
で良いか?

証人 血管の太さや数がこうだから、ではなく、経験もあるが
、通常より多いなという感覚的なもの。

検察 血流が豊富なほうが、癒着胎盤に傾くのか?

弁護側 もう少し事実関係をきいてもらったほうが良いのでは
ないか。
【↑質問が不適切であるという異議 レーザー弁護士だったか

裁判 まあ、どちらかということだから、証人は答えられるよ
うなら答えてください。

証人 絨毛間腔が広がるので、血管が太くなる。癒着胎盤のほ
うが血流が豊富である。

検察 なじみやすいということか?

証人 いや、可能性があるということだけです。

検察 カルテで、所見をみると・・
【甲15号証 カルテ】

弁護側護 今まとめられた質問内容では、最後の質問、血流が
豊富であっても、それでなじむのではなく、あくまでも可能性
があると証人は答えられた。

裁判 検察官は言い直すときには同じように答えられた方が良
いですね。
【証言を勝手に拡大解釈してまとめ、証人に同意させようとす
る手法は
割り箸事件裁判においても検察の常套手段であった】

検察 豊富な血流を認めたときに、癒着胎盤の可能性は、高く
なるのか低くなるのか。

証人 私は症例をそうもっていないのでわからないです。

検察 ただ、証人のお考えとして、カラードプラで見たときに
、高めるのかどうかお答えください。

証人 高めるかどうかわかりません、診断の一助にはなるでし
ょうか。

検察 カルテの医師記録 12月6日を示します。(検察はカル
テ本物をもっている)これは患者さんの検査の写真です。16号
証に写しがあります。この下の写真はカラードプラ検査です。
これをご診断いただいてわかりますか?写真上は血流について
はどのように「ご覧になりますか?

証人 カラードプラは、カラーでみないと、白黒のコピーでは
ではわかりませんが(当たり前である。カラードプラはカラー
で血流を示す機会なのだから)、白いところが血流です。検察
 質問したのは、下の写真の、白い細長いところ、この部分が
血流だろうと見受けられると。よろしいですか?

証人 はい。

検察 この写真から、血流が豊富な印象なのか?

証人 一枚の写真をみてもね・・・ (一枚の写真で血流が豊
富か診断できるわけない)

弁護 豊富というのは、何を基準に豊富といわれているのか。
そういうあいまいな質問では答えにくい。
【↑いさお弁護士】

裁判官 いや、まあ証人は経験とおっしゃっているんだから、
まあ。

弁護士 でしたら、経験でカラードプラを癒着胎盤でしたこと
があるか? とか、そういうふうに質問をしたら。

検察 今のは疑義か?

裁判 では、これで判断できますか?答えてください。
【質問の適切性についての判断を証人に丸投げする訴訟指揮で
ある】

証人 無理です。

検察 12月6日の下の写真の欄外の文字を読めますか?

証人 はい。膀胱下に血流+とあります。

検察 このような表現は、どのような情報か?

証人 前置胎盤?ですから、膀胱の後ろに血流があっておかし
くないです。
【いのげメモも前置胎盤 胎盤の位置が低くてちょうど膀胱の
後になるという意か】

弁護 今の検察の質問は、血流があるということで、癒着胎盤
に結びつけようとするものですので、間違いです。

裁判官 疑義はいらないと思いますので却下します。

弁護 証人の答えたことと、検察のまとめとが符号していない
。前置胎盤?と癒着胎盤の区別なく議論しています。

裁判 今までのは違う疑義にはまとめていないので、棄却しま
す。

検察 通常、帝王切開の実施の際に、あくまでも可能性として
念頭に置いて、進めるというふうにうかがってよろしいか。

証人 えー。

弁護 異議あり。リスク、リスクでなく、順序でおききになる
べきではないか。
【いさお弁護士だったと思う】

検察 証人はリスク因子として、前回帝王切開、前置胎盤?を
挙げられましたね。

証人 はい。

検察 癒着胎盤の場合、出血性ショックのリスクもある。その
前提でうかがいたいが、前回帝王切開、前置胎盤?で帝王切開
を実施の場合、癒着胎盤の可能性も念頭において執刀されるの
ですか?

証人 まずですね・・・

検察 いや、結論だけ答えてください。

弁護 医学的に可能性、可能性、というと、みな可能性がある
ことになるので、そういう質問は不適切です。

裁判官 なるべく簡潔に答えてください。

証人 いや簡潔には答えられません。事前に検査を行い、検査
で100%はわからないが、念頭におく。

検察 MRIではどのようなことがわかるのですか

証人 筋層と子宮の付着部がギザギザ、不均一になるといわれ
ていますが、100%診断できるものではない。
【いのげメモには「筋層が少ない」とも書いてある】

検察 帝王切開の実施の局面で、癒着胎盤の可能性を疑う局面
があるというのは、認識ありますか?

証人 あります。

検察 具体的には

証人 臍帯をひっぱってはがれないとき、用手剥離に進むので
すが、それでもはがれてこないときに、疑います。

検察 娩出のあとに胎盤を引っ張ったときですね。

裁判官 胎盤でなく、臍帯ですね。

検察 あ、はい。

検察 臍帯を引っ張る前に疑う、肉眼的にわかる所見はありま
すか?

証人 漿膜までいっている場合は、肉眼的にわかります。

検察 それ以外にわかる可能性は

証人 私には無いです。

検察 実際に臍帯引っ張って出てこない場合、帝王切開の場合
、ひっぱって出てこない場合、どうやってその後の処置をとる
のですか?

証人 用手剥離を行います。

検察 具体的にどうするのですか?

証人 胎盤と子宮の間に手刀を入れていって、剥離を行うこと
をします。

検察 用手剥離の状況によって、癒着胎盤を疑う、

証人 はがしているうちに癒着の部分は索状物として触れる。
とにかく剥がれにくい。

弁護士 索状物を説明してください。

検察 私の尋問中なのですよ。

証人 ひもでつながっているような感じです。適当な言葉じゃ
ないかもしれませんが。

検察 指先の感覚ということですか?

証人 はい。

検察 accretaなら止血可能ということですね。incretaならで
きないと説明されましたね。

証人 私の経験では、しかし、筋層の侵入の程度により、increta
でもaccretaに近ければ止血可能でありますし。

弁護人 証人は先ほどaccretaなら剥離不能と説明していませ
ん。

検察 accreta、incretaの先は剥離中にわかるのですか?

証人 後の病理組織診断によります。

検察 証人は病理診断をされましたか?

証人 していません。

検察 では先の診断は証人の診断か?

証人 違います。

検察 どういうことですか?

証人 肉眼的に子宮断面を見て判断した。

検察 証人は子宮摘出をしたとき、子宮、用手剥離により剥が
れにくいから、子宮を摘出したのですか?

弁護士 そう誘導尋問せず、端的にきいたらどうですか?

証人 胎盤剥離は完了しましたが、出血が止まらなかったので
摘出しました。

検察 胎盤遺残が残ったのですか?

証人 残ったのだろうと考えた。

検察 剥離は完了しましたが、出血が続き、陥入だろうと判断
し、子宮摘出に踏み切ったのか?

証人 そうです。

弁護士 検察のまとめ方が

検察 まとめで、重要なところだからです。

裁判官 繰り返しはくどいので、端的に。

検察 子宮摘出時に、家族に説明しましたか?

証人 夫が立ち会っており、本人も腰椎麻酔で意識があったの
で、その場で説明しました。
【こういう場面では本当に患者に同情したい】

検察 本件発生当時の・・・今の質問は撤回します。
【ロハスメディカルブログ傍聴記にこの撤回に関する考察あり

検察 証人と被告人について、加藤医師を知っていましたか?

証人 はい。

検察 どういう関係でしたか

証人 同じ大学の医局なので、学会などで会うこともあった。

検察 どちらが先輩とか、位置づけはあるのか?

証人 私がどういう意識をもっているかですか? 年数だけ、
私が上です。

検察 同じところで勤務していましたか?

証人 一緒に働いたことはありません。

検察 個人的に知っていますか?

証人 はい。
【いのげメモ:酒呑んで話した】

検察 手術に先立って、被告人から連絡があったと

証人 はい。手術をこれからする。何かあったら応援をたのむ
かもしれない。

検察 妊婦についてはどういう説明をしましたか?

証人 私が一回目の帝王切開をした、二回目を受け持ってやる
ことになった。前置胎盤?と言っていた。
【いのげメモでも前置胎盤】

検察 証人はどういったのですか?

証人 MRIのことはききました。超音波検査はやったと聞きま
した。MRIはやらねばならんことはないが、一応やったかどう
か聞いた。

【検事:なぜMRIについて尋ねたのか?
証人:MRIも診断の助けになる なんでもすればいいものでは
ないが】

検察 【他に】被告人に対して説明したことはあったか?

証人 前回の傷に胎盤がかかっているかどうかきいた。

検察 被告は

証人 かかっているかもしれないと言った。

検察 証人は妊婦に対してどう思いましたか?

証人 ・・・・。

検察 答えにくいですか?

証人 はい

検察 妊婦に何かあったらというのはどういう場合と思いまし
たか?

証人 前置胎盤?は出血が多くなるのでそれを考えた。癒着胎
盤は考えた。

検察 連絡は、日時の連絡はあったのですか?

証人 当日で2時からという電話だった。
【なんで電話が当日だったかという疑問が生じた
重要な依頼にしては急すぎる話である】

検察 証人は連絡についてはどう思われましたか?

証人 通常30分で終わる。

検察 証人はどうしていましたか?

証人 病院にいました。

検察 待機していた?

証人 待機ではなく、通常勤務をしていました。

検察 連絡はきましたか?

証人 来なかったと思う。

検察 当時証人は手術についてどう思っていましたか?

証人 無事終わったと思っていました。

検察 証人の当時の認識として、今回の事件に関して検事から
事情をきかれた。証書にまとめられましたね。

証人 はい。

検察 それは当時の証人の認識をまとめられたということです
ね。

証人 はい。

検察 証人は当時、クーパーを用いた剥離が推奨されていると
いう認識はなかったということで良いですか?

証人 ・・・。

弁護 証人に文献はあるかないかきいて、無いと答え、それが
認識まで広がっていったと言える。
【ソリコミ検事は「文献の有無」を「証人の認識」にスリカエ
ている】

証人 私はクーパーを用いた経験がないということです。

検察 証人の当時の認識として、クーパーが証人されていない
、または根拠を持たない、または推奨されない理由として、
【無茶苦茶なまとめ方である】

弁護 だから、そういう訊き方はですね、
【↑たぬ弁護士】

検察 証人は剥離に、クーパーが、

証人 まず、クーパーを使う剥がし方だが、まず切ることを念
頭に置いた。私は切ることはしない、と答えた。しかしクーパ
ーの使い方が色々ある。剥がす又は少ない範囲を切ることは考
えられる。

検察 当時の認識について聞いている。

証人 ありません。

検察 当時はそのような、やってみよう、効果的だと思ったこ
とがなかったというのは?弁護 色々な場合があると証人が言
っているのに、やってみようと、ひとくくりにされている。証
人は実際、剥離が難しい癒着胎盤が1件しかない。

検察 異議に対して、水谷弁護人に対して、弁護人は検察官の
直前の質問の意義を理解せず、もう1人に対しては当時の証人
の認識について訊ねている。あくまで認識として訊ねている。

裁判 どうしても、まあ、証人の具体的な経験を強調しても医
師として、産婦人科としてどういう認識をもっているかという
程度ですよね、では質問をやって、当時はクーパーを用いた剥
離が推奨されていない、許容されていないと。
【証人は許容されていないとは言っていない
検事の勝手なまとめに丸め込まれている
若干 訴訟指揮能力に問題を感じる】

弁護 あらゆる考えていない事につき、その理由を問うても仕
方ないじゃないですか。考えるべきかどうかというのはわかり
ますよ。なぜ考えなかったのか、証人は念頭においていなかっ
たのだから、なぜかんがえていなかったか、と聞いても無駄で
しょう。

検察 証人が効果的でない・・・。

弁護 認識が違う。質問の中で検察は、許容していないと使っ
ている。許容されていないなんてことは証人は言っていない。

検察 その質問として、答えを得て尋問している。

裁判 認識していなかったのであり、証人は許容していないと
は言っていない。ここは質問を変えてください。
【弁護側の異議を認めたということである】

検察 証人がクーパーを使ってみようと当時思わなかった理由
は?

証人 いや、考えてもみなかったということです。

検察 事前に証人が事情をきかれたことがありましたね。18号
証、署名をみてください。

【この証人の供述調書(=18号証)は検察側提出証拠であり
弁護側はこれに不同意を(おそらく全面的に)出している
不同意を出されたものに証拠能力が無いので
裁判官は調書の写しを見ることが出来ないし
裁判においても使うことが出来ないのが大原則である

ここで弁護団から不同意した18号証を使用することに対する異
議があった

裁判長は署名捺印部分のみ 証人に示すことを許可した

訴訟指揮権の範囲内での措置として不適切ではない】

この内容についてはご自身で検察官の調書を読んで確認してい
ただいたことがありましたね。調書の中には器具の使い方につ
いて証人が示されたことが書いてある。記憶にありますか?

証人 ありません。

検察 では誘導しますか? 用手剥離の際には癒着の程度を確
認しながら指先で丁寧に剥離する。

証人 はい、正しいことです。

検察 癒着している胎盤を不用意に剥離することは危険である
。用手の場合は慎重に遺残がないように剥がしていく。

弁護 飛ばさずに、調書を全部読んでください、つくらないで

【弁護団は調書の写しを持っている。】

検察 癒着している。用手・・指先の感触で胎盤を慎重に剥離
していく。、無理ならその時点で用手剥離を断念しなければな
らないのです」 この通りですか?
【弁護団の異議は「指先の感触で」を省略したことに対するも
のか】

証人 はい
【当時の認識です】

検察 「従い、器具を使った剥離は危険な行為というほかなく
、私には考えられません」思い出しましたか?

証人 はい。しかしその当時はクーパーを使って切るというこ
とを想定したため、そのように答えました。

検察 言葉はその通りで良いですか?切る場合にはどういう認
識になりますか?

証人 ・・・当時の認識ですか? 私は考えたことがありませ
ん。

検察 危険だとういう抽象的な認識はあったのですか?

証人 認識ではなく、考えたことがなかった。

検察 証人は専門医として文献で知識を積んでいるのですね。

証人 はい。

検察 産婦人科学会の刊行物では、

証人 研修ノート

検察 どういう形で証人の手元にはいるのか

証人 産婦人科医として必須の知識が【学会から】郵送されて
くる。
【学会誌の後のページにも掲載される】

検察 49号証のことですか?

証人 先ほど、これは研修コーナーとは違います。
【↑いのげの記憶では「これは研修ノートではなく研修コーナ
ー」】

弁護士 全て不同意の証拠について、検察が示されているのは
、弁護人も今後同様にいたします。
【↑たぬ弁護士】

検察 研修コーナーとは、

証人 認定医の四角【資格】を得るのに必須のものです。
【検察 学会の文献ですか?産婦人科医会から送られてくるも
のですか?
証人:医会です】

弁護 48号証を示すのはっきていませんよ。ではこちらも不同
意証も示すことを前提にですね。
【48号証について
証人 文献の趣旨は変わっていない】

検察 検察からは以上です。

裁判官 時間がおしていますが、どれくらいかかりますか?

弁護 100分です。

弁護人の平岩からです。
【↑レーザー弁護士】

今あの検察から調書の一部をお聞きになった。最新【細心】の
注意をはらいながら、慎重に剥離していく必要がある。

証人 はい。

弁護 一例も証人は慎重に剥離されたんですね。それでも胎盤
の遺残があった。

証人 はい。

弁護 慎重にやってもあることはあるんですね。

証人 はい。

弁護 「微妙な感触が確かめられない器具を用いて」、これは
クーパーを【終始】切るように証人は理解されていたというこ
とですね。

検察 弁護人は、、、
【↑この異議は「終始」という表現についてだったと思う】

裁判 異議を棄却します。

弁護 終始ハサミのようにして、使うことを想定されたのです
ね。

証人 そうです。

弁護 この設定で、ハサミではなくそぐようにして、あるいは
ごく一部をクーパーとして使うことを想定されると許容されま
すよね。

証人 はい、そうです。

弁護 再度、おっしゃってください。

証人 クーパーをそぐように使用することは、許容されます。
ごく一部でしたら切ることもありえます。止血できることが想
定される場合です。

弁護 32年の歴史から、加藤医師と同じ【県立大野】病院に勤
務されたことはありますか?

証人 2年です。

弁護 いつ頃ですか?

証人 二十数年前です。

弁護 1人医長の期間は?

証人 32年のうち、30年です。【(ノД`)】

弁護 32年間、分娩は何件くらいですか?

証人 月30あるので、1万件を越えるくらいです。

弁護 約1万件のなかで、帝王切開は、

証人 15%くらいですから、1500例です。

弁護 残り8500例が経膣。

証人 はい。

弁護 中で2例の狭義の癒着胎盤の症例があった。

証人 はい。

弁護 お産の前に予見できましたか?

証人 できませんでした。

弁護 では、なぜわかったんですか?

証人 30分以内に胎盤娩出がふつうだが、出てこなかった。

弁護  【用手】剥離困難でしたか?

証人 はい。

弁護 剥離【完了】できたのか?

証人 はい。

弁護 出血おさまったのですか?

証人 はい。

弁護 1500例中、1件の帝王切開で癒着があった、それは一回
目の帝王切開ですか?

証人 2回目です。

弁護 本件と同じですが、癒着胎盤は帝王切開前にわかったの
ですか?

証人 わかりませんでした。

弁護 前回帝王切開の場合、癒着しやすくなるというが、術前
にはどのような検査をされますか?

証人 超音波検査をします。弁護 陥入胎盤が、発見できなか
ったということですね。

証人 はい。

弁護 このとき先生は、カラードプラをされましたか?

証人 やっていません。弁護 MRIはされましたか?

証人 やっていません。

弁護 先ほど筋層2/3にと表現しましたが、絨毛が入ってるの
についてですね。

証人 はい。

弁護 子宮を切って確認されたので、ある程度は確かですか?

証人 本当は病理検査なので、不確かなところはあります。

弁護 肉眼的には確かですね。

証人 はい。

弁護 前回の帝王切開の傷跡にはかかっていたのですか?

証人 かかっていなかった。

【レーザー弁護士:傷にかかってはいないけど近いところか?
証人 そうです】

弁護 前壁癒着と後壁癒着では、どちらが発見しやすいですか

証人 前壁が腹壁に近いのと、全体が観察しやすいです。後壁
は児が邪魔になり観察しにくい。前壁のほうが診断しやすい。

弁護 児は無事に生まれたのですか?

証人 はい。弁護 臍帯を引っ張ってはがれなかったのですか

証人 はい。

弁護 それでどのような操作をされたのですか?

証人 用手剥離です。

弁護 そのとき胎盤癒着とわかったのですか?

証人 はい。

弁護 どの部位から出血していましたか?

証人 剥離面からです(剥離した面、胎盤側)

弁護 胎盤剥離を中止して、子宮摘出しようとお考えになりま
せんでしたか

証人 考えませんでした。

弁護 なぜですか?

証人 剥離を完了させれば子宮収縮が完了して止血がはかれる
かもしれないと考えたからです。

弁護 止血についてはどう処置されましたか?

証人 ガーゼで圧迫しました。

弁護 剥離の前ですか後ですか?

証人 剥離の後です。【終わってから】

弁護 胎盤剥離中には止血できなかったのですか?

証人 胎盤があるとできません。

弁護 胎盤剥離で止血されなかったので、ガーゼで圧迫したの
ですか?

証人 はい。加えて収縮促進剤を使いました。

弁護 それで止血しましたか?

証人 しませんでした。

弁護 先生は輸血はよくされるのですか?

証人 あまりしません。

弁護 その症例にあたって、輸血は準備されていましたか?

証人 しません。

弁護 帝王切開の場合には不測の事態にそなえて輸血準備をし
ないのですか?

証人 通常はよほどのことがないかぎり、輸血はいらないので
しません。

弁護 輸血はどう準備するのですか?

証人 日赤にたのみます。

弁護 準備した輸血を使わないとどうなりますか

証人 10日ほどして使えなくなり捨てます。

弁護 前置胎盤?、前回帝王切開の場合は輸血準備されました
か?

証人 はい。

弁護 輸血準備量は

証人 1000mlから1200mlです。

弁護 1000とか1200とかいう数字はどういう意味ですか?

証人 昔は輸血が200cc単位だったが、今は400ccなので、それ
を3つたのみます。

弁護 先生は前置胎盤?の帝王切開は何人でされましたか?

証人 今年に入って、一月にやりましたが、それは人をたのみ
ました。

弁護 それ以前の9例は全部1人でしたか?

証人 そうです。

弁護 麻酔は?

証人 ひとりで全部やります。

弁護 助手は誰がするのですか?

証人 手術室の看護師です。

弁護 前回帝王切開、前置胎盤?の患者さんで、術前にわかっ
ており、大量出血の可能性がある場合も。

証人 はい。

弁護 前置胎盤?で搬送しようと考えませんか?

証人 これだけではhigh riskではないので、ひとりで対応で
きます。
【弁護 双葉病院と大野病院 どちらが大きいですか?
証人 大野病院です】

弁護 県立大野病院では、加藤医師の体制では、外科医1名、
麻酔科医1名、助産師などスタッフ全9名。この体制は不十分
だと考えられますか?

証人 私どもの施設に比べかなり恵まれていると思います。

弁護 同じような症例に対して先生はひとりでされているので
すね。

証人 はい。

弁護 加藤先生は術中にも超音波検査をされています。先生が
おやりになったとき、術中超音波検査はされていますか?

証人 やっていません。

弁護 なぜですか?

証人 滅菌の【清潔な】超音波検査機器がないからです。
【医学用語というより医療業界用語の「清潔」「不潔」は
「滅菌済み」「未滅菌」という意味であり業界外の使い方と異
なる】

弁護 術中の超音波検査でより鮮明な検査ができるのはご存じ
ですか?

証人 癒着位置ということですか。はい。
【いのげメモでは「付着位置が分かりやすくなる」】

弁護 本件当日、加藤医師が【電話で】癒着胎盤のことを言っ
ていましたか?

証人 言っていませんでした。私の記憶があやふやですが、癒
着胎盤のことは私から言いました。前回の傷にかかっているか
どうかと聞いた。これは癒着胎盤の可能性を念頭において言い
ました。

弁護 超音波検査のことを加藤先生は言っていましたか?

証人 後壁付着だから大丈夫だろうと言っていました。前壁に
はかかっているかもしれないと言いました。

弁護 手術の応援について、前回傷跡にかかっているかもしれ
ないといっても、そんなに切迫している感じはなかったのです
か?

証人 なかったです。超音波検査をきっちりやっていれば、わ
かるので。

弁護 先生がもし呼ばれて行っていたらどうなっていたと思わ
れますか?
【何が出来ますか?出来ることがありますか?】

証人 わからないですが、行っても難しかったかもしれません

【何ともいえないがこの出血では何もできなかったかもしれな
い】

弁護 先生は癒着胎盤の専門家ですか?

証人 いいえ、違います。

弁護 臨床経験はあるが専門家ではないと。

証人 はい。

弁護 検察には専門家の意見を聞いてくださいと言われました
か?

証人 言いました。

弁護 そうすると、どうでしたか?

証人 とりあえず、何もわからないので私の話をききたいと言
われました。

弁護 先生の調書の内容は、教科書等【医師としての文献・講
演・学会などからの知識】がベースですか?

証人 はい。

弁護 「用手剥離によって剥離ができない場合、子宮を摘出す
べきだと考えます」とありますが、具体的にはどういう癒着で
すか?

証人 穿通胎盤【又はそれに近い陥入胎盤】、漿膜まで達して
いる場合です。

弁護 穿通胎盤、陥入胎盤について、術前、術中の対応、子宮
摘出をするかについてお答えください。

証人 術前に穿通とわかった場合には子宮摘出をします。それ
以外の場合、術中にわかった場合はまず用手剥離をします。

【弁護 剥離中出血したらどうしますか?

証人 剥離すすめるしかない】

弁護 まず剥離、それで止血を期待するということですね。止
血しなければ子宮摘出をする。これは全く加藤先生がやったと
同じことだが、その内容は先生はご存じないのですね。

証人 はい。【 ↑三つの文章ごとに肯定した】

弁護 大野病院産婦人科の閉鎖はご存じですか?

証人 はい。

弁護 当然、近い双葉厚生病院に患者が行くと考えられるが、
どうでしたか?

証人 1.5倍になりました。

弁護 0.5倍分は大野病院の患者さんがいったと思いますが、
そういう患者さんから加藤先生の話を聞きましたか?

証人 誠実だということを聞いた。悪い話は聞かなかった。

弁護 加藤先生の施術について、不満は聞かなかったというこ
とですか?

証人 はい。

弁護 本件では出血量が剥離前【開始時】、羊水混みで2000ml
、剥離途中に2500ml【2555ml羊水コミ】、先生はこの場合、剥
離を続行されますか?

検察 異議あり。出血量だけで証人はそこまで判断できません

裁判 出血量だけで判断できるのであれば。

証人 体重50kgとして、循環血液量5Lになります。2.5Lは妊娠
中に増えるので、【(出血量)】2.5Lは自然に増えた量と変わ
らないので、血液1000cc準備しているいうことであれば、私
ならそのまま剥離を続けます。

【↓ロビン弁護士】
弁護2(眼鏡の遠位端前側) 帝王切開の癒着胎盤は1例、そ
の用手剥離中に剥離を継続した。継続の理由は、剥離をはじめ
たら完了しなければならないとおっしゃったのは、その通りで
すか?

証人 はい。

弁護2 一度剥離をはじめたら完了するというのが、お考えで
よいですか。用手剥離でだんだんはがしにくくなり出血も多く
なる。でも剥離を継続した。剥離を開始したからには完了しな
ければならないということですね。

証人 私の考えではそうです。剥離を完了させれば止血が期待
できます。

弁護2 子宮が収縮する結果、止血が可能またはプラスになる
ということですね。

証人 はい。

【専門外につき自信はあまりないので 専門家に補足していた
だきたいのだが
胎盤から分泌される胎盤ホルモン:hCG には子宮収縮抑制効
果がある
胎盤娩出後に急激な子宮収縮があるのはhCGの影響がなくなる
からであり
「胎盤剥離を完了すること」による「止血の期待」にはhCGの
影響を除く効果も含まれると思う
この機序に関する言及が一切 弁護側からも無かったのは非常
に残念である】

弁護2 他にありますか? 先ほど、胎盤が遺っていると止血
がしにくいということがあるのですか?

証人 異物が入っているのと同じで止血困難です。

弁護2 収縮の邪魔になるということですか?

証人 はい。

弁護2 あるいは止血のためのZ縫合などは可能ですか

証人 場所によっては可能です。胎盤をよけて見える範囲なら
可能です。

検察 正常胎盤かどうか明白にしてください。

弁護2 癒着胎盤の場合を前提に質問をしています。

裁判 続けてください。

弁護2 そういう状況下で胎盤が遺っていたら、

裁判 止血の種々の処置が、胎盤があったらできないのですか
? できるのですか?

証人 子宮動脈の遮断は可能です。ガーゼ充填圧迫は不可能で
す。
【双手圧迫・マッサージも不可能「(胎盤が)あったらできま
せん」】

弁護2 遺残の話、先生が帝王切開で子宮に胎盤遺残があった
のは、どの程度の遺残ですか

証人 正常子宮壁の3分の1しか残っていなかった。
【胎盤の三分の二しかとれなかった 三分の一残っている】

弁護2 検察調書の確認ですが、高宮検事が朗読された、「細
心の注意をはらって」というのは、帝王切開のとき、目で見な
がら行うというのは、細心の注意をはらうことになりますか?

証人 はい。【それも相当する】

弁護2 器具をつかっても微妙な感覚がたしかめられる場合、
細心の注意の用手剥離と理解して良いですか

検察 仮定の質問です。

裁判 異議却下、質問だけ先にしてください。
【裁判官としては 知識不足を補いたいという自覚が有るので
検察側弁護側両方の異議を基本的には棄却して
証人の見解を聞いておき、後から質問の適切性についても
考慮すればいいと思っているのかもしれない
訴訟指揮としてそういうのもアリかもしれない
裁判長の表情には困惑の色が隠せなかった】

弁護2 目視し、クーパーではがすことが、細心の注意にあた
ると考えられますか?

証人 切るのですか?

弁護2 先生のお考えの慎重な使い方を言ってください。

証人 そぐようにして、使うのであれば、細心の注意にあたり
ます。

弁護2 指先に索状物を感じたというのは?

証人 ひも状のものという意味です。

弁護2 目で見られる太さか

証人 【見えます】そのときの感じでは、症例が違うが、5カ
所くらいに索状物が垂れ下がった。

弁護2 索状物があったのを後で見て、どの程度の本数か?

証人 5,6本、脱落膜が索状物として触れる。

弁護2 先生のケースで脱落膜はあったのですか?

証人 病理検査をしていないのでわからなかった。
【患者本人と夫の同意があったので問題にならなかった】

弁護2 その手術前に子宮摘出の可能性は話していましたか?

証人 話していません。【術前に想定できなかった】
 
弁護2 想定外でしたか

証人 はい。

弁護2 経膣分娩の場合、見えませんね。手探りですか?

【証人 はい。】

【弁護士】輸血準備の際、帝王切開だからというだけでは準備
しないということですね。理由はなぜですか?

証人 通常は帝王切開では輸血が必要な出血量はないから。

弁護2 子宮摘出した例の出血量はどれくらいか

証人 1000ml。【と少し】でした。

弁護2 いつ子宮摘出を決断しましたか

証人 子宮剥離が終わっても出血が止まらないからです。

弁護2 あらゆる場合を想定して輸血準備するのが良いのでは
ないのですか?

証人 血液は買い取りになります。【返品できない】オーダー
して使わなければ10日以内に使わなければ破棄になります。

弁護2 無駄になりますね、行政から、血液の使い方の指導は
あるのですか?

証人 私自身は聞いたことがないです。【記憶に無い】

【弁護 安全のためにはどうしたいですか?】

【証人】無駄を承知で全例の血液を準備はしたいです。【ハイ
リスクなら大量に用意したい】

弁護2 どうしてそうしていないのですか?

証人 現実的ではないからです。high riskの症例について、
準備しています。

弁護2 日赤のオーダーの際に、理由はいるのですか?

証人 連絡はしません。

検察(高宮) 証人が子宮摘出をしたとき、胎盤を剥離したが
遺残があった。出血が続いていたので子宮摘出を決断したとい
うことですね。

証人 はい。

検察 一時的に帝王切開のとき、腹壁をひらいて表面をみたと
き、癒着胎盤のときには、穿通胎盤なら肉眼でわかるのですね
。それ以外ではわからない。これについて、検察に聞かれたと
きに、どう答えたか覚えていますか?

証人 怒張した動脈【いのげメモでは「静脈の怒張」】が子宮
表面から浮き上がって見えることがあると。

検察 動脈【静脈?】とは血管ですね、血管がどうなるのです
か?

証人 【太くなって】漿膜まで浮き上がって見える。

検察 【甲】15号証のカルテ、【医師記録】12月17日のペー
ジ、カルテの11行目、子宮前壁に血管怒張(+)とあります
ね、これを確認してください。

それから話題を変えますが、輸血について、【一般に】手術中
に輸血が必要となり、さらに追加が必要なときには、追加で発
注する。

証人 はい。

検察 双葉厚生病院でもですか

証人 はい。

検察 追加をたのむところはどこですか?

証人 日赤です。相馬でストックがあれば相馬で探します。【
無ければ福島】

検察 双葉厚生病院から相馬までは距離は

証人 30分くらいです。検察 弁護の確認、証人としては器具
を使うものとして、切るものと、先端を閉じて剥離するものと
ある。切るのとそぐのとで、生じる効果は違うという認識か

証人 はい。

検察 そぐ、という操作と用手剥離の間には違いがあるのかな
いのか

証人 用手剥離は見えない、クーパーは視野に入っている。同
等の効果はある。違いはあるのか、効果は、見えにくい所はク
ーパーがすぐれている。証人の調書には指先の感触を感じると
ある。クーパーで指先の感触があるのか

証人 私には経験がないのでわかりません。

弁護 経験がないからわからないといっているのです。

裁判 クーパーに意味があると証人が言う意味は

証人 クーパーではがす範囲が視野に入っている。危険な場所
かどうかわかる。

検察 用手剥離は指先の感覚あるんですよね

証人 はい。

検察 クーパーによって感触は

証人 実施したことがないのでわからない

裁判官 用手は指先見えないのですか

証人 見えない。

裁判官 先の見えないところにクーパーを差し込むのは証人は
考えていないのですか?

証人 考えていません。

検察 胎盤と子宮の間に指をいれていく。クーパーは胎盤と子
宮の間に先端を入れていく。

証人 はい

検察 太さが違うので、言っているのですか?

証人 いえ、指でやっていると目で見えません。

検察 そういう考えは、当時あったのですか?

証人 調書当時は、私の頭には、クーパーを使う認識がなかっ
た。

検察 剥離はできないなら、その時点で断念すべきということ
ですね、これはその時点で認識があったのですか?

弁護士 異議あり、できないという理由をはっきりすべきでし
ょう。

裁判官 異議を棄却します。

検察 認定医で学会にも所属しているそうですが、日本産婦人
科学会自体がクーパーは妥当とのべられていると証人はきいた
か証人 ありません。

検察 証人は前、弁護人と面談をしたことがありますか

証人 調書をとった平成18年3月3日【以後と昨日:第二回
公判の前日の計二回】です。

【↓法源検事】
検察2 (オールバックの五十嵐) 証人の子宮摘出例では、
出血が続き子宮摘出にいこうという、摘出は子宮の止血でもあ
るのか

証人 はい。

検察2 子宮摘出とガーゼ圧迫、どちらが確実ですか

証人 連続性【いのげメモでは「迅速性」】ならガーゼ圧迫、
確実性なら子宮摘出です。

検察2 輸血準備はhigh riskにはやるのですか

証人 やります。

【↓プラトン検事】
【検事 5-6XXなら全前置胎盤を摘出することはある?
証人 私はないがありえる】【XXは自分の字だけど判読不能】

検察3 (立ち上がる。しばらく間) 癒着胎盤については平
成16年、平成17年当時においては、癒着胎盤にクーパーを想定
していなかった。本日の弁護人に対する証人の証言は、具体的
にはさみについて、見解をもつようになったきっかけは?

証人 そぐという言葉が出てきました。刑事に最初あったとき
から2回目のときでした。

検察3 女性か男性か。平成19年に入ったときか。今年に入る
まえには意識もなかったということか。

証人 はい。

検察 検察官が、捜査のとき先生から伺い書類にまとめた供述
では、きわめて不適当と・・・

弁護 異議あり。当時は切ると考えていた。

証人 クーパーは切ることを想定して、危険だと言ったまでで
、そのような使い方は知らなかった。切るのは私も危険なのは
認識しています。【「切る」のは危険であるという認識は今も
変わらない】

【↓レーザー弁護士】
弁護 クーパーを使って切るのは危険なのか。索状物を切ると
危険か

証人 もし、限られた場合、縫合可能な範囲なら切ることも可
能。【可能かもしれないが経験ない】

弁護 15号証が、検察官から、子宮前壁、血管怒張+とある。
【これっておかしいことですか?】

証人 妊娠後期に静脈は怒張することが多いので、これをもっ
て癒着胎盤とは言えない。

弁護 怒張の表現で癒着胎盤を疑うか?

証人 【主に後壁付着なので考えることはできるが】これで診
断することはできない。

弁護 用手剥離は指先の感覚で剥離した。 【指先は見えた?

【証人】指先は見えない。

【弁護士】クーパーでそぐなら、目視下でやるので、その方が
適切な場合もあるということか。
【↑いのげメモにこの質問無し たぶん書き漏れ】

検察 (高宮) 癒着の程度、先生の考える癒着が剥離できな
い程度はどのレベルか。

証人 incretaの侵入の深いものとpercreta。

弁護 経験例はincretaの例ですね。それでも剥離はしたほう
がいいのですか

証人 そうです。

弁護 クーパーで目視下でというのは、伝わっていますか、ど
うですか? クーパーで【やり易い】あるというのは、目で見
える。手をいれると指で見えないということですね。

証人 はい。

弁護 索状物は目で見えるのですか

証人 見えます。【見ながらクーパー剥離は可能です】

【↓もたい判事】
右側の裁判官 摘出のとき輸血準備していなかったですね。準
備しないんですか?必要性は?

証人 1000mlしか準備していませんでした。必ずしも準備必要
ではありません。
【子宮をとるのが先決 取った時点で出血は止まるので輸血の
必要は無くなる】
【あればこしたことはないが準備しない】

裁判官右 血が止まらないので、子宮摘出の判断をしたという
ことですね。【判断までに時間は?】

【証人 15分ほど】

【よしこ判事】
【裁判官左 「妊婦ゼンパン」とは全般か前半か?
証人 通常の妊婦でみられるということだ】
【↑どの質問のことかわからない
学術用語や同音異義語は書記官泣かせである】

裁判官左側 前置胎盤?の場合、応援の可能性を連絡されたこ
とは、この手術の前にありましたか?

証人 なかった。

裁判官左 事情を聞かれたとき、どう認識されますか?【クー
パーの使用法について】

証人 【刃を開いて】切ったと認識しました。

裁判官左 本人がどうクーパーを使ったか、【検察から】説明
をうけなかったのですか

証人 受けていません。

裁判官左 MRIをとったか訊ねたとききましたが、

証人 超音波検査、MRIを利用することもあるので、確認のた
めにきいた。
【アメリカからの文献もあったので】

裁判官左 答えは

証人 していないと。かならずしもやる検査ではありません。
【しなければならないとは思っていない】

以上で休廷。
午後 証人:県立大野病院外科(当時)のM医師 帝王切開術
で前立ちを務めた

<検察側主尋問>
【↓法源検事】
検察(五十嵐):外科医ですね?

証人:はい。

検察:医師の資格を取得したのはいつですか?

証人:平成14年です。

検察:平成16年12月17日の被害者の帝王切開手術の助手をしま
したね?

証人:はい。

検察:【その1週間前】帝王切開補助の依頼は誰からどのよう
に?

証人:加藤先生から医局で前置胎盤?を合併した帝王切開と。

検察:加藤先生から「合併」という言葉はでたのか?

証人:「合併」と加藤先生が言ったか正確には覚えていません

検察:癒着については何か言われませんでしたか?

証人:癒着があるかもしれないと言われました。

検察:どういう内容でしたか?

証人:具体的にはあまり記憶がはっきりしていませんが、ぼく
の理解では腹壁と臓器の癒着だと思っていました。
【この会話を癒着胎盤と関連付けるのは相当無理がある】

検察:帝王切開創と腹壁との癒着という言葉はききましたか?
被告人がそのように言ったのですか?

証人:その辺は記憶にない。私の理解ということです。「癒着
」という言葉からそう解釈しました。

 (外科医で、癒着という語句から、癒着胎盤でなく、前回切
開創の癒着と解釈されたということでしょう)

<手術時の状況確認:患者の右手に証人、左手に被告人、頭側
に麻酔科医>

<現場見取図供覧>【甲35号証 第五図:この日初めて法廷
のモニタが使用された】

検察:当日の麻酔記録。手術開始は14時26分でよいですか?

証人:はい。

検察:被告人は手術をどのように開始しましたか?

証人:まず腹壁を切開しました。

検察:その後は。

証人:皮下脂肪、筋肉を切りました。

検察:その間、証人は何をしていたのですか?

証人:傷を切開しやすいよう、筋鉤で引っ張ったり、牽引して
いました。

検察:筋鉤とはなんですか?

証人:一般的に手術に用いられる用具で、牽引する用具です。
【かぎ型の道具】

検察:腹部切開後、真下に子宮があると。そこで超音波検査を
したのですか?

証人:はい。

検察:子宮表面に何か異常は。

証人:一部に静脈の走行が見えました。

検察:その形状は。

証人:男の手の甲の静脈くらいの太さ。

検察:本数は?

証人:1、2本というのではなく…数本くらいが子宮の一部に。

検察:子宮のどの辺りに?

証人:あまり記憶ははっきりしないが、自分の側だったような
気がする。

検察:色は?

証人:青紫色。

検察:肉眼ではっきり分かったということか?

証人:はい。

検察:帝王切開の助手は何例入ったことがありますか?

証人:10例弱。

検察:その経験の中で、そういう静脈の状態は見たことがあり
ますか?

証人:僕の記憶ではあまり見たことはありませんでした。

検察 患者さんの子宮切開時に証人は血液を吸飲していたので
すね

証人 はい。

検察:血液の混ざった羊水を吸引していたんですか。

証人:はい。

検察:【切開してから】被告人はどのような処置をしていまし
たか?

証人:赤ちゃんを出していました。

検察:そこまでに何か問題があるという認識はありましたか?

証人:ありません。

検察:(児娩出は)どのくらいの時間で?

証人:正確な時間は分らないが、自分の感覚としては1~2分く
らい。

検察:手術開始後11分後【14時37分】に娩出と記録にはあるが
、それはあなたの記憶とは矛盾しませんか?

証人:はい。

検察:その時、証人はどんな処置をしていましたか?

証人:子宮断端からの出血を鉗子で止めたり、吸引をしたりし
ていました。

検察:出血量についてどんなことを考えましたか?

証人:経験より多いかな、と。

検察:その時の出血の仕方を説明できますか?

証人:その時というのは。

検察:切った時です。

証人:切った時はいつもどおりなんですけど、断端からピュー
ピューと吹く出血があり、そこを処置したら止血しました。

検察:出血点は把握できるということですか?

証人:はい。

検察:止血はどのような措置をしたのですか?

証人:鉗子で挟みました。

検察:児娩出後、被告人は何をしていましたか?

証人:鉗子を確認したり…赤ちゃんの臍帯血をとったり。それ
から子宮収縮剤【アトミン】を子宮に注射したりしていました

検察:注射?

証人:子宮に直接、子宮収縮剤です。

検察:それで出血は止まりましたか?

証人:完全に止まってはいないが、その時点で多量に出血した
、というのはなかった。

検察:出血はコントロールされていたということですか?

証人:はい。

検察:収縮剤を注射したというが、児娩出後いつですか?

証人:はっきりとは覚えていないが、感覚的には1~2分後かと

検察:この時点で手術について何らかの問題があるという認識
はありましたか?

証人:ありません。

検察:その時の感想は?

証人:手術前に前置胎盤?があると聞いていたが、【思ったよ
り】手術がスムーズで安心していました。

検察:注射の後、被告人は何をしましたか?

証人:臍帯を引っ張って胎盤をはがそうとしました。

検察:胎盤はどうなりましたか?

証人:子宮の底のほうが持ち上がるようになりました。

裁判長:子宮全体が持ち上がるということですか?

証人:全体ではなく、底の部分が、こう(手で示す)

弁護人:底というのは後壁ということですか?

証人:その時の認識としては「底」という認識。いまどこかと
言われれば、後壁ということになります。
【ここでいう「底」は解剖学用語の子宮底部と明らかに異なる
 手術室の床に近い方の意の様だ】

検察:それまでの経験で、普通【通常】胎盤の剥離はどうでし
たか?

証人:スムーズに取れたこともあるし、残ったこともありまし
た。【残りをK医師が取ったりしてた】

検察:臍帯を引っ張って胎盤が取れなかった後、被告人はどう
しましたか?

証人:用手剥離をしました。

検察:出血の状態に変化はありましたか?

証人:剥離したところで少し出血し始めました。

検察:どのように?

証人:じわじわと。

検察:証人は出血にどう対処したのですか?

証人:吸引管で吸引していました。

検察:被告人はずっと用手剥離を続けたのですか?

証人:いえ、途中からクーパーをもらって使って。

検察:それまでにクーパーを使うのを見たことがありましたか

証人:いいえ。

検察:どのように操作したか見えましたか?

証人:先端はあまり見えませんでしたが、湾曲部分を上にして

【先端が上に曲がる持ち方か 湾曲が上に凸になる持ち方かで
 クーパーの表裏が正反対である  
 この時点ではいのげは後者だと解釈していたが 後の補足質
問で前者であるとわかった】

【検察: 湾曲の外が子宮 内が胎盤?
証人: そうです】

検察:クーパー使用前後で出血量は変化しましたか?

証人:クーパーを使ってから増加。

検察:どのように?

証人:面からじわじわと。【出血源が点(血管)ではなく 剥
離面全体からだったという意】

検察:出血箇所はどこだと認識していましたか?

証人:子宮の内面。

検察:剥離作業と出血の増加について、相関関係というか、関
連があるという認識はありましたか?

証人:あった。

検察:なぜわかったのですか?

証人:吸引回数が多くなったので。

検察:間隔が短くなった、ということですか?

証人:はい。

検察:目で見てどうでしたか?

証人:目で見ても少しずつ増えていた感じがしました。

検察:証人の位置から子宮内は見えましたか?

証人:加藤先生の手が離れた時に見えたこともあったが、基本
的には見えませんでした。

検察:出血の場所、もととなる血管はどこか特定できましたか

証人:ピンポイントに一点というわけではなく、面からじわじ
わ出血する感じでした。

検察:剥離した面からということでいいですか?

証人:そう思います。

検察:出血の速度はどうでしたか?

証人 だんだん増えるが大量出血ではありませんでした。

検察 帝王切開の今までの経験と比べてどうですか

証人:あまり帝王切開の経験が無いので。

弁護人:異議。出血の速度とはどういうことか。量とは違うの
か。

裁判官 たしかにわかりづらいです。質問を変えてください。

検察:質問の仕方を変えます。剥離が進行しますね、その際の
出血量というのは絶えず一定なのか、減少するのか、増加する
のか。

証人:要は、剥離が進むにつれて少しずつ増えていったという
ことです。

検察:被告人は剥離中に止血を試みましたか?

証人:いいえ。

検察:剥離中は出血が継続あるいは増えていたと。

証人:はい。

検察:剥離に要した時間は分かりますか?

証人:5分から10分くらいではないかなと思います。

検察:それは正確に測っていましたか?証人:測っていません

検察:通常はどのくらいの時間がかかるものですか?

証人:印象では2~3分。

検察:それに比べるとかなり時間がかかっていた、ということ
でよろしいですか?

証人:「かなり」かどうかはわからないですが、時間はかかっ
ていたと思います。
【時間がかかっていたのは間違いない】

検察:用手剥離とクーパーを使用していた時間、それぞれ何分
くらいか正確に分かりますか? あるいは、用手剥離とクーパ
ーを使用していた時間、印象としてどちらが長かったか。

証人:クーパーのほうが長い印象です。

検察:剥離中に臓器に損傷があったということはありませんか

証人:ありません。

検察:では出血の原因はどこにあると考えていましたか? ど
の部分から出血しているか、見当は付いていましたか?

証人:ぼくの印象では胎盤をはがしたところからかな、と考え
ていました。

検察:患者の出血について、看護師もガーゼで吸っていました
が、看護師から報告はありましたか。

証人:あります。

検察:それはどういった形で伝達されましたか?

証人:口頭で。おもに麻酔科の先生に向けてですが、大きな声
で報告されています。

検察:それはあなたにも聞こえていましたか?

証人:術野に集中すると耳に入らないこともありますが、聞こ
えます。

検察:口頭以外に出血量はわかりますか?

証人:手術室の隅にホワイトボードがありまして、それに書い
てありました。

検察:それは術者には見えますか?

証人:見えません。術野から顔をあげて見ようと思えば見えま
したが。

検察:意識してそちらを見れば把握することはできたというこ
とですか?

証人:意識すれば見えたかもしれません。

検察:看護師からの報告で印象に残っていることはありますか

証人:2000と7000の報告が印象にある。

検察:どう思いましたか?

証人:2000から7000の間は短時間で、その間に(出血が)多く
なったな、と。
【それほど時間が経過してなかったのでびっくりした】

検察:その間、看護師からの報告はありましたか?

証人:あったとは思いますが、【わからない】ぼくの記憶に残
っているのは2000と7000です。

検察:被告人はどのような措置をとっていましたか?

証人:子宮を持ち上げ、双手圧迫していました。ガーゼ充填を
していました。

検察:子宮収縮剤は使いましたか?

証人:もう一度使いました。

検察:止血効果はどうでしたか?

証人:圧迫すると一時止血しますが、圧迫している手を離すと
出血する状態でした。

検察:証人は何をしていましたか?

証人:吸引や、交代で圧迫をしていました。

検察:吸引すると出血点が確認できるとか、そういうことはな
かったですか?

証人:ガーゼ圧迫から出血が出てくるので、わかりません。

検察:双手圧迫の経験はそれまでにありましたか?

証人:ありません。

検察:被告人から証人への指示は何かありましたか?

証人:交代で圧迫するように、言われました。

検察:どこから出血しているのだと思っていましたか?

証人:子宮内面ということしかわからなかった。

検察:麻酔科医はpumping【ポンピング】していたのですか?

証人:圧迫している時は術野から目を離せるので、麻酔科医の
方を見ることができましたが、そんな(pumpingをしているよ
うな)印象でした。

検察:pumpingとはどういう処置ですか?

証人:注射器で、圧すことで短時間で注入することができる処
置です。

検察:手術前に準備した血液製剤で足りましたか?

証人:足りなかったので、周りの病院に応援(血液を回しても
らうよう)を頼みました。

検察:被告は止血処置は他にどういう処置をとりましたか?

証人:【充填したガーゼを抜いて】子宮内面を糸で縫合したり
、子宮動脈が入っている膜(靱帯)を鉗子で挟んだりした。

検察:それで止血出来ましたか?

証人:できませんでした。

検察:最終的に子宮を摘出したわけですね。すぐには摘出に移
れなかった?

証人:輸血が来るのを待ってすぐ摘出に移りました。

検察:あなたは応援の医師を頼もうとはしなかったのですか?

証人:しました。

検察:誰を呼ぼうとしたのですか?

証人:外科部長の先生を手伝いに呼びますかといいました。

検察:それは大野病院の外科部長。【実名の述べた】

証人:はい。

検察:進言したのは一度ですか?

証人:2回くらいしたと思います。

検察:なぜ2回も言ったのですか?

証人:子宮摘出時は2人より3人のほうがスムーズかな、と思い
ました。

検察:出血コントロールされていなかったのも理由ではないの
ですか?

証人:それも理由のひとつでした。

検察:被告人は何と言ったのですか?

証人:「大丈夫」というようなことを言いました。

【検察:何と思った?
証人:そう言うなら大丈夫だろう】

検察:他に誰かが応援を勧めたことはありましたか?

証人:たまたま院長が来て、外科部長を呼ぶかと言いました。

検察:被告人は何と?

証人:その時も「大丈夫」ということを言っていました。

検察:応援を断った時、証人はどう思いましたか、不安な気持
ちはありませんでしたか?

証人:少しありました。

検察:なぜですか?

証人:ぼくは子宮摘出をしたことがなかったので不安でした。

検察:それ以外には不安はなかったですか?

証人:どういうようなことですか?

検察 輸血が来るまで待ったと言いますが、時刻は覚えていま
すか?

証人:【正確には】記憶にありません。

検察:輸血到着まで手術室内、病院の状況で印象に残っている
のは?

証人:輸血が周りの病院にないということで、日赤に注文した
り、職員から献血を募ったほうがいいとかあった。

検察 それは誰から言われましたか?

証人:麻酔科医や院長から。

検察:そのとき看護師はどうしていましたか?

証人:全麻になるので、バタバタしていました。Pumpingとか

検察:臓器損傷による大量出血はありませんでしたか?

証人:ありません。

検察:臓器損傷は?

証人:ありました。

検察:いくつ、何を。

証人:膀胱だけです。

検察:どのように?

証人:膀胱を損傷したので修復したことがありました。

検察:出血は?

証人:ほとんどありませんでした。【いのげ注:膀胱壁はさほ
ど血行は多くない】

検察:他に傷つけたことは?

証人:子宮断端にガーゼを縫いこんで縫い直したことがあった
が、明らかに大量出血の原因となるようなことはありませんで
した。

検察:【麻酔記録にある】VT【=心室粗動】とはどういう意味
ですか?

証人:死亡する危険性のある不整脈。

検察:いつVTと言われましたか?

証人:子宮摘出後。膀胱を修復して、閉腹しようという時だっ
たと思います。

検察:その後、どう処置しましたか?

証人:麻酔科の先生が心マを始めました。

検察:あなたはどうしましたか?

証人:加藤先生に手を下ろして(誰も突っ込んでなかったが「
手を下ろす」の意味は裁判官わかったんだろうか)【わかって
ないと思います】【「手を下ろす」=滅菌手袋を外すこと。 
術野をさわることができなくなる】いいか聞いて、手を下ろし
て交代で心マを。電気ショックもしました。

検察 でも結局、患者さんは亡くなったんですね。

証人 そうです。

<検察側、高宮【ソリコミ】検事に交代>

検察:胎盤剥離の時間は5~10分とおっしゃいましたね?

証人:はい。

検察:調書では「10分ちょっと」と記載されているが、これも
証人の感覚的なものですか?

証人:はい。

検察 確認だが、記憶の感覚的なもので答えられたわけで、正
確な時間を計測したものではないということでよろしいか

証人 はい。

検察:止血の際、ガーゼを取り出して縫合したとおっしゃいま
したが、その場所は証人の記憶ではどこですか?

証人:子宮内面。

検察:内面の出血部分、ということですか。

証人:そうです。

検察:子宮全体の構造からいうとどこに当たりますか?

証人:印象としては後壁。

検察:そこからの出血が多い、面としての出血として認識して
いたのですか?

証人:はい。

検察 先ほどガーゼ圧迫しても出血が続いているとのことだっ
たが、

証人:はい。

検察:出血しているところを直接目視できなかったのですか?

証人:圧迫しているときは見えません。

検察:圧迫しているときはどこから出血しているという認識で
したか?

証人:圧迫しているときは分かりません。ガーゼを取り出して
内側を見たときに比較的よく出血したところを塗って【縫って
】いた。

検察:それは子宮の胎盤剥離面ということでいいのですか?

証人:はい。

<弁護側反対尋問>

【ロビン】弁護人(一番裁判官側水谷):子宮内面、剥離面か
らの出血というのは、クーパーで剥離したところから出血して
いたのか、それ以外の所から出血していたのか、その時分かり
ましたか?

証人:クーパーではがしたところ以外からも出血していた。

弁護人:麻酔科の先生がpumping【←パンピングとナイスな発
音】していた時、三方活栓を使っていましたか?

証人:使っていたと思います。

弁護人:少し不安があったとおっしゃったが、子宮摘出手術中
はその不安はどうでしたか?

証人:摘出手術中は目の前の操作に夢中だったので感じません
でした。

弁護人:子宮摘出後、不安だったなと思いましたか?

証人:ありません。摘出が終わってほっとしました。

弁護人:「癒着があるかもしれない」というのは加藤先生から
言われたのですか?

証人:「かもしれない」と言われた。

弁護人:(癒着が)どこかは言われましたか?

証人:特にどことは言われませんでした。

弁護人:帝王切開の立ち会いはどのくらい経験がありましたか

証人:1年で10例弱です。

弁護人:骨盤内外科手術で帝王切開10例以外には何例くらいの
経験がありましたか?

証人:20~30例くらいだと思います。

弁護人:今まで立ち会った帝王切開は大野病院で行われたもの
以外にはありますか?

証人:ありません。

弁護人:いずれも立ち会ったとき、加藤先生が執刀したと。

証人:はい。

弁護人:本件以前に加藤先生と10例くらい帝王切開をしたとい
うことだが、加藤先生の産

婦人科医としての資質に疑問などは感じませんでしたか?

証人:ありません。

弁護人:手術の一週間前に助手を依頼された時、どのようなこ
とを聞かされたのですか?

証人:週数、前回帝王切開をしたこと、前置胎盤?の合併があ
ることを聞きました。

弁護人:「合併」というのは「妊娠と前置胎盤?の合併」とい
うことですか? 加藤先生は合併と言いましたか?

証人:加藤先生が「合併」という言葉を使ったかどうかは覚え
ていません。

弁護人:前置胎盤?の知識を得たのはいつごろですか?

証人:学生時代です

弁護人:国試対策ということですか?

証人:そうです。

弁護人:前置胎盤?でどのような危険があると認識していまし
たか?

証人:出血のリスクが高いのではないかと思いました。

弁護人:加藤先生から何か聞きましたか?

証人:前置胎盤?だが、手術には差し支えないと聞きました。

弁護人:創にかかっている、あるいは、かもしれない、と言わ
れましたか?

証人:記憶していません。

弁護人:助手として手術に加わったのがどうして先生になった
のですか?

証人:外科には3人医師がいたが、ぼくと同じようなもうひと
りとが担当で、あいている方がつとめることになっています。

弁護人 M先生が助手担当ということで、加藤先生は承認した
のですか?

証人 はい。前置胎盤?例だけれど、僕で良いかききました。

弁護人 加藤先生から、癒着について聞いたとき、臓器間の癒
着と思ったわけですね。外科において、癒着というのはよくあ
るのか?

証人:よくあります。

弁護人:クーパーでそぐように剥がすことはありますか

証人:【よく】あります。

弁護人:切ることもある?

証人:あります。

弁護人:外科で癒着をはがす時につかうクーパーというのはど
ういうものですか? 両鈍の曲がり丸クーパー?

証人:はい。

弁護人:手術前カンファか何かで加藤先生から患者について何
か聞きましたか?

証人:特に聞いていません。

弁護人:児娩出までの状況をお聞きします。腹壁からの出血は

証人:産婦人科の手術ではあまり止血しないが、ほとんどなか
った。

弁護人:子宮表面に異常はありましたか?

証人:特に印象はありません。

弁護人:印象がないということは、例えば暗紫色とか、そうい
うことはなかったと。

証人:ありません。

弁護人:血管走行が見えたとは、盛り上がっていたということ
ですか?

証人:盛り上がった…というか…虚脱するでもなく、普通に。

弁護人:虚脱というのは。

証人:(血液量が少なくて、血管が細くつぶれていること 説
明)

検察官:異議。量については言っていない。

弁護人:血管の太さは。

証人:5mmよりは細いくらい。2~3mmとか4mmとか、そういうこ
とは分からない。

弁護人:子宮表面の血管走行を見るのは初めてでしたか?

証人:他でははっきりと覚えていません。

弁護人:前置胎盤?の帝王切開の助手は初めてでしたか?

証人:はい。

弁護人:術中の超音波は他の手術ではしていましたか?証人:
していません。

弁護人:赤ちゃんはどうでしたか?

証人:チアノーゼ無く、仮死も無く元気でした。

弁護人:肌の色は。

証人:ピンクでした。

弁護人:児娩出後についてうかがいます。切開創からの出血は
どのようなものでしたか?

証人:血管の断端が見えて、そこからぴゅーぴゅーと吹く出血
がありました。

弁護人:一部からですか? 全体からですか?

証人:一部からです。

弁護人:どのように思いましたか?

証人:いつもと同じだと思いました。

弁護人:加藤先生はあわてた様子はありましたか?

証人:ありませんでした。

弁護人:断端の出血の止血はどのように?

証人:鉗子ではさんで止血し、出血のコントロールはついた。

弁護人:37週未満の帝王切開の経験はありましたか?

証人:【わからない。週数を】覚えていません。

<甲15号証(カルテ原本)麻酔記録>

弁護人:2000と7000くらいが印象的、とおっしゃった。それは
羊水込みですか?

証人:はい。

弁護人:羊水と血液を吸引していたわけですが、羊水の色はど
のようでしたか?

証人:血と混じっていましたが、濁っているというわけではあ
りませんでした。

弁護人:量は多いと感じましたか?

証人:専門外で経験が少ないので量についてはわかりません。

弁護人:胎盤剥離中の状況について。まず被告人はどうしまし
たか?

証人:臍帯を手で引っ張りました。

弁護人:どうなりましたか?

証人:子宮後壁がもち上がりました。

弁護人:子宮はお腹の中ですか? 外ですか?

証人:中です。

弁護人:今思うとはがれにくかったのはどこですか?

証人:後壁。当時は分からないが。

弁護人:剥離操作は見えましたか?

証人:手先は見えません。

弁護人:手の甲は上を向いていましたか?

証人:はい。

弁護人:用手剥離前にも子宮内部の出血はありましたか?

証人:あまりありませんでした。

弁護人:最初からはがれにくかったのですか?

証人:違います。

弁護人:どんな出血ですか?

証人:じわじわ出てくる感じ。

弁護人:用手剥離で何割くらいはがれたか分かりますか?

証人:わかりません。

弁護人:最初はスムーズだったということですか。

証人:そうです。

弁護人:クーパーを使い始めて出血が増えたというが、にじみ
出る状態は変わらなかったのですか?

証人:はい。

弁護人:証人はどうやってそれに対処していましたか?

証人:吸引していました。

弁護人:血はどんな感じで。

証人:溜まったりしてはいないので、しみ出てくるのを空気と
一緒に吸う感じでした。弁護人:はがれにくいというのを見て
いましたか?

証人:どこがはがれにくいのかは分からなかった。

弁護人:今回のクーパーはどんなものですか?

証人:両鈍の曲がり、長いクーパー。

<甲35号証写真4(クーパーの写真)>
【モニタに表示される 柄の長さが刃の3倍ほどもある。骨盤
腔内用】

弁護人:先(クーパーの先端)の状態は?

証人:曲がっていて、鈍い。

弁護人:尖っていないということですね?

証人:はい。

弁護人:加藤先生が剥離中、子宮を摘出しなければならない出
血はなかったのですね。

証人:剥離中は無かった。

弁護人:クーパーの使用はリスクが高いと思いましたか?

証人:いいえ。

弁護人:クーパーの使用がいけないとは思わなかったのですね

証人:はい。

弁護人:クーパーを使っても出血がさほど急激に増えたという
わけではないということですか?

証人:はい。

<麻酔記録で出血2555ml確認>

弁護人:剥離中の出血は555mlですね?

証人:はい。

弁護人:剥離中は出血のコントロールはできていましたか?

証人:コントロールの必要が無い程度で、大げさな出血でなか
った。

弁護人:クーパー使用後、胎盤ははがれにくかったのですか?

証人:印象にない。

弁護人:するりとはがれた、と。

証人:はい。

弁護人:娩出後の止血はどのように?

証人:中にガーゼを詰めて双手圧迫したり、(子宮動脈の通る
)靭帯を鉗子で挟んだりして。

弁護人:双手圧迫とは?

証人:中にガーゼを充填して、両手で圧迫する。

弁護人:ガーゼを充填というのは。

証人:(説明)【どういうガーゼかはきおくにない】

弁護人:縫合はどこをどのように縫合したのですか?

証人:子宮内側の出血が多いところを。

弁護人:子宮動脈にペアンをかけるというのはどういう方法で
すか?

証人:(説明)

弁護人:応援の医師を呼んでいたら、出血が止まっていたと思
いますか?証人:【直接は】関係ないと思います。

弁護人:子宮摘出時に、2人で手が足りないとかそういうこと
はありましたか?

証人:特に【困ったことは】ありませんでした。

弁護人:摘出の手技は?

証人:専門外なのでよく分かりませんが、滞りなくスムーズで
した。

弁護人:子宮摘出を完了したときの気持ちは。

証人:【少し】ほっとした。

弁護人:その時の患者の容態は?

証人:全麻なので分かりません。子宮摘出で出血はなくなった

弁護人:そして患者さんはVT(心室頻拍)になり大変悲しいこ
とですが19時5分に永眠された。当時は死亡原因をどのように
考えましたか?

証人:循環血流量の低下、あるいは急速な輸血で電解質バラン
スが崩れて不整脈が起きたのではないか。

弁護人:医師法21条の異状死体届出義務を知っているか。

証人:はい。

検察:異議。反対尋問は主尋問の範囲内で行われるべき。医師
法21条については主尋問に無い。

弁護人:争点の一つであるので、無駄ではない。

<裁判長、検察側、弁護側で協議>

弁護人:検察側は「手術中の状況」を尋ねると言って、(実際
は手術)前の状況を訊いている(のだから、弁護側が手術後の
状況を訊いても問題はない)。

裁判長:(それは主尋問の)範囲外ということで。

弁護人:事実関係を聞くだけです。

裁判長:それならいいです。

弁護人:届け出について会議などを開いたことはありますか?

証人:2回。翌日と数日たってから。

弁護人:メンバーは。

証人:1回目は医局の先生、医師だけ。2回目は手術室の看護師
さんも含めて。

検察:異議。手術後のことは主尋問の範囲外。

裁判長:不同意調書の範囲外のことを聞くのは、それはルール
違反。
【弁護側の質問は検察の質問に対する反対尋問ではなく主尋問
である
弁護側が主尋問をしたいのなら弁護側証人として申請するべき

【裁判長「これはもう明確に主尋問ですから」】
【この訴訟指揮は正しい。ただし、とりあえず弁護側に質問さ
せておいて
それに対しての反対尋問を検察がすぐにできないというならど
うするか
ゆっくり検討する方法も有ったと思う。かくして この証人は
また呼ばれることになった】

弁護人:では後日、もう一度証人尋問請求をするということを
条件に、ここではやめます。
【なんで公判前整理で請求しなかったのか】

<弁護側、平岩主任弁護士に交代>【たぬ】

弁護人:クーパーは外科で剥離するときには普通に使うという
ことですか?

証人:はい。

弁護人:切ることも普通にするのですか?

証人:原則は剥離ですが、安全が確認できれば切ることもあり
ます。

弁護人:そういう時に使うのは両鈍の丸クーパー?証人:はい

弁護人:今回のクーパーと同じものと。【いのげ注:形は同じ
だが長さは短いときもあるだろう】

証人:そうです。

裁判長:(クーパーの名称について確認? クーパーはもとも
と丸くなってるから「曲がり」は要らないとか何とか)【証人
:「クーパー」に曲がりのニュアンスも含まれる】

弁護人:後ろから胎盤をはがしていったということですか?

証人:後壁側から。

弁護人:少し難しくなってクーパーを使った。その後はするり
とはがれたということですか?

証人:スムーズに。

弁護人:スムーズなのは前壁ですか? 今の認識では。

証人:はい。

【↓レーザー弁護士】
弁護人:子宮摘出時に膀胱を損傷したということだが、帝王切
開ではよくあることですか?

証人:自分の経験では、無い。専門外なので一般によくあるの
かどうかはわからない。

弁護人:臍帯をひっぱったとき、胎盤の残りを取り出すという
のはどういうことですか?

証人:一部残ったことはよくある。【K医師がガーゼでこすり
落としていた】

弁護人:残った、というのは卵膜?

証人:そうです。

<検察側>検察(高宮):クーパーについては、上側の面を上
に、胎盤子宮の間にさしいれたということですね。そういうク
ーパーの使用法が見えたのはどういうことですか?

証人:全く見えないというわけではない。

検察:クーパー先端は見えていたのですか?

証人:途中から。

検察:証人から見て手の甲側が子宮側、手の平側が胎盤側。

証人:はい。

検察:指先は見えましたか?

証人:指先は見えました。

検察:子宮摘出前の状況ですが、輸血の到着を待ってからおこ
なったということですか?

証人:はい。麻酔科の先生から摘出に移るのを待ってくれと。

検察:追加の輸血を頼む話が出ていた。

証人:はい。

検察:他から取り寄せる以外のことは何かありましたか?

証人:献血を職員から募ろうか、という相談はありました。

検察:輸血到着から子宮摘出までに、完全に止血はしていない
ということですか?

証人:していません。

検察:出血には波があったのですか?

証人:圧迫していると勢いが弱まる、ということはありました

検察:そういう経験はありましたか?

証人:なかった。

検察:そういうことに対して、不安はありましたか?

証人:双手圧迫しても止まらないのには心配でした。

【甲15号証麻酔記録】
検察:2000、【7000以外の出血量報告は有った? 証人:記憶
にない】

検察:被告人は具体的に言っていたということではない?時は
覚えていませんでした。

検察:麻酔記録の記載は記憶と矛盾しませんか?

証人:しません。

検察:手術記録には8475、9600、12000などと記録されている
が、この報告を聞いていた時どういう気持ちでしたか?

証人:押さえても止まらないので、どうなるんだろうか、と思
っていた。数字を聞いて、ではない。

検察:証人は心配していたのですね。

証人:はい。

【↓法源検事】
検察(五十嵐):「癒着があるかもしれない」と言われたのは
確かですか。

証人:はい。 検察:でも被告から具体的に言われたことでは
ない。

証人:はい。

検察:クーパーを使用している際に、同時に吸引できたのです
か?

証人:無理です。

検察:開口部から手を入れ操作したということですね。開口部
が小さいので、

証人:はい。

検察:クーパーを抜いて吸引を入れて、ということですか?

証人:はい。

検察:血が溜まっていく?

証人:たくさん溜まるというような状態ではなかった。

検察:溜まっていくから見えにくくなるかと思うんですが、

弁護人:異議。証人は溜まるとは言っていない。

検察:手術中、DICの話は出ましたか?

証人:はい。

検察:どういう会話ですか?

証人:出血が多くてDICが心配だな、という。

検察:DICとはどういうものですか?

証人:(説明)

検察:DICについてはどうだという判断?

証人:ダグラス窩にコアグラというか、血腫が固まっていたの
で、DICは大丈夫かな、と。

検察:DICは心配しましたか?

証人:個人的にはDICより循環血液量低下が問題ではないかと
おもいました。

検察:具体的には?

証人:不整脈。VTやVf。

検察:患者の気道を確保しましたか?

証人:私がですか?

検察:証人でも、誰かほかの人でも。

証人:麻酔科の先生が。

検察:何をするためですか?

証人:全麻をするためです。

検察:なぜ全麻では気道確保するのですか?

証人:全身麻酔の際には必要だからです。(以下説明)

裁判長:また主尋問になっています。 【反対尋問の後の主尋
問はできない】

検察:気道確保は全麻のため以外の理由は何かありませんか?

証人:ありません。

検察:患者さんが異常を訴えたことはありませんか?

証人:一度、患者さんが、「気分が悪い」「息苦しい」と言っ
た。 検察:「息苦しい」というのは呼吸困難と言えるもので
すか?

証人:呼吸困難というより血圧低下によるものではないかと思
いました。

<弁護側>

弁護人(平岡弁護士?):血腫があってDICが無いと判断した
のはいつですか? 証人:子宮摘出後。血腫あり→DIC無しは厳
密なものではない。

弁護人(水谷弁護士):<甲15号証>抗DIC剤は投与したとい
うことでいいですか?

証人:抗DIC剤【ミラクリッド】は循環不全でも使うので、両
方の意味で使ったのだと思います。

弁護人(一番傍聴席側の人):「気分が悪い」というのはいつ
ごろですか?
【↑いさお弁護士】

証人:…………胎盤娩出後…だったか…

弁護人:全麻に移った時刻は?

証人:(チャート見て)15時35分です。 【Tの記号が書いてあ
る時刻】

弁護人:裁判長に分かるように説明してください。 <麻酔チ
ャートを読む>
【マスキュラックス ケタラール サクシン等の薬剤名があっ
た様子】

弁護人:帝王切開で全麻しないのはなぜですか?

証人:胎児への影響がわからないという点で。

弁護人:それだけですか? 子宮収縮に影響しますよね。 【
全身麻酔では筋弛緩剤を使う 子宮収縮は止血効果があり 筋
弛緩剤は収縮を阻害する】

証人:あ、はい。それもあります。

弁護人:その子宮収縮への影響が重要ですね?

証人:いや、それが重要かどうかは分かりませんが。

弁護人:子宮摘出の決定後に全麻に移行したのですか?

証人:記憶がはっきりしません。

弁護人:子宮摘出を決断した時間は?

証人:双手圧迫しても止まらない、ということで。

弁護人:2000と7000の間に子宮摘出の考えはありましたか?

証人:ない。

弁護人:子宮摘出しなければならないと証人が考えた時期はい
つごろですか?

検察:異議あり、

証人:双手圧迫で止まらない時点です。

弁護人:子宮摘出について会話しましたか?

証人:麻酔科の先生から子宮摘出した方がいいですか、という
話はありました。
【問いかけは有ったが 医師間の相談はなかった】

弁護人:それはいつ。

証人:「7000」より後。

弁護人:子宮摘出が終わった、と感じたのはいつですか?

証人:子宮摘出が終わり、色々な処置、膀胱の傷も修復できた
頃です。

弁護人:その時点で止血は完璧ですね?

証人:細血管の止血が難しいところがあった。それでDICかも
しれないと思った。

弁護人:子宮摘出の完了でだいたい止血したのですか?

証人:膣断端縫合で完了した。

弁護人:そこで止血完了、と。

証人:止血操作を要する出血は無かったということです。

検察:異議。証人は「止血操作が必要ない」と言ったのであっ
て、止血ができていたとは言っていない。

弁護人:閉腹に移れるくらい、ということですね?

証人:はい。

弁護人:その後は。

証人:膀胱損傷の修復の漏れを調べるために色素を注入しまし
た。
【いのげメモでは色素を注入する直前にVT】

弁護人:証人は蘇生を最大限したのですか?

証人:はい。

弁護人:原因について麻酔科医、加藤先生と話しましたか?

証人:話していません。

弁護人:ほかの誰かを交えて(原因について)話しましたか?

証人:話していない。

弁護人:さっき原因について答えたのは、個人的な意見という
ことですか?

証人:はい。

<弁護人交代>【ロビン弁護士】

弁護人:クーパーの持ち方について、クーパーの輪に入れる指
は何指と何指ですか?

証人:親指と薬指です。

弁護人:人差指と中指は。

証人:人差し指は刃の方へ伸ばして支える感じ。中指は輪の根
本に当てる。

弁護人:【刃の先が】あたかも手指【人差し指】の延長に見え
る、ということですね?

証人:はい。

弁護人:子宮の収縮についてのイメージは?

証人:収縮が悪いかも、という会話はあった。その後、収縮剤
を打って収縮は大丈夫だった。

弁護人:膀胱への色素の注入方法はどのようなものですか?

証人:おしっこの出る管があったのでそこからだと思います。

<検察側>

検察(高宮):癒着胎盤とはどういうもので、どういう危険が
あって、どういう処置が必要か、という知識はありましたか?

証人:ありませんでした。

検察:子宮摘出終了、その後まもなくVTという理解で良いか

証人:そうです。

<裁判官>

【↓もたい判事】
裁判官(弁護側に近いところに座っていた人;向かって右):
手術中クーパーはずっと見えていた?

証人:見えていない。手を深くまで突っ込んでいたら見えない
。角度によっては見えるが。ずっと見えているわけではない。

【よしこ判事】
裁判官(反対側;向かって左):用手剥離をしている指先は常
に見えるということではない、ということですか?

証人:はい。

裁判官:子宮に胎盤が載っていますよね?(以下理解できず。
上向き?とか。おそらく位置関係を混同されている)【いのげ
の解釈では 証人の「上向き」という表現が混乱の元。 結局
 クーパーの曲がりが子宮側に凸 胎盤側に凹 先端が子宮か
ら離れる方向に曲がる持ち方だったということ 当然のことな
がらそうでないと子宮壁を傷つけやすくなる持ち方なので問題
外】

証人:刃先で撫でるようにそいでいきます。

裁判長:クーパーは切るための道具ということでいいのですか
?【他に剥離のための道具は無いのか?】

証人:剥離にも使う。

裁判長:14時40分2000ml、14時52分で2555ml、15時6分で7675ml
。同じくらいの時間で7~8倍。急激に出ているという印象はな
かったですか?

証人:それなりには出血していたが、感覚以上に増えていたの
でびっくりした。

裁判長:その後はまた減っているが。証人:圧迫で止血したり
していた。(手術の出血量カウントは、リアルタイムに出血量
を反映しないこともある、カウントした時期に足し算していく

弁護人:「見えない」というのは証人から見て、ということで
すね。

証人:そうです。

裁判官(向かって右):「撫でるように」ということからすぐ
はがれる、という印象を受けましたが。

証人:クーパー使用と癒着の強さは別。

裁判官:安全性が確認される、とはどういうことですか?

証人:「切る」のは侵襲性が高いので、切っても安全なことを
確認してからでないと切らない。

検察(高宮):外科で用手剥離あるということですか?

証人:あります。

弁護人(傍聴席に近い人):クーパーは指より細いから便利?

証人:そういう面もあるかと思う。

<閉廷>

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2007年2月23日 (金)

心臓血管外科専門医認定機構医療安全講習会

心臓血管外科専門医認定機構医療安全講習会

「女子医大の経験」-再発を防ぐために-

37回 日本心臓血管外科学会学術総会

心臓血管外科専門医認定機構医療安全講習会

「女子医大の経験」-再発を防ぐために-

講師:黒澤博身 東京女子医科大学心臓血管外科主任教授

座長:川島康生 国立循環器病センター元総長

2007222(木) 14:10 ~ 15:00

ABC会場 京王プラザ 本館5F コンコード

この学会のパンフレット(日程と演題抄録)が配送されてから、この講習会「佐藤が何かをやらかすのではないか。」という噂が流れ、私の周囲でもいろいろありました。学会員として、「公開質問状」を措いて、2つのお話をしました。

 

1.            

悪しき医療報道について

このことは、以前の ブログ

「医者」と「記者」 MedicalとMedia-「医療と報道」 カウントダウン4 http://kazu-dai.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/post.html 

において、しっかり述べました。

 講師が最初に、「女子医大の事件の件はマスコミ報道で、皆さんご存知だと思いますが・・・。」と述べられましたが、これが一番、危険な考え方です。更に、女子医大が主導した、内部調査委員会、すなわち22例(私の事件後、証拠保全、カルテ開示、異議申したて等)に対する調査をした委員会の中には、病院内医師の他に患者両親、家族会代表、新聞記者が入っていました。この二つのことから、私は、発言することを最終的に決めました。

 マスコミの医療報道は、特に医療事故報道は、「

東京大学医療政策人材養成講座」によれば、「悪しき医療報道」に分類され、特に女子医大事件は「悪しき医療報道」と名指しされていました。「事故ジャーナリスト」普段は、殺人事件や誘拐事件などを報道している警視庁記者クラブ所属の社会部記者によって報道されています。(最近の裁判で分かったある)新聞社などでは、女子医大の内部報告書を数時間読んだ程度の警視庁記者クラブの「事故ジャーナリスト」が書いたことが分かりました。

 国民に医療に対する共通認識、国民的合意が必要であるのですから、それを伝えるマスコミは重要なので、我々はそれをどのように活用していくかを考えなくてはならないと思います。

2.            

人工心肺中のトラブルに対する対処法の明文化

 患者さんに、脳障害が発生したと、プレゼンテーションやその原稿にはありましたが、患者さんに発生したのは、脳低還流ではなく、脳うっ血です。この点に関しては、内部報告書も「上大静脈症候群」という言葉を用いています。すなわち、患者さんの上半身は異常の膨れ上がるほど浮腫が発生していたのに、下半身には全く症状がなく、GPTなどの酵素の上昇もなく、ICUチャートの「肝腫」の欄は(-)がずっと記載されています。

 このことは、「脱血不良が発生したときに、」脱血管に空気が入ったので、脱血管が鉗子で閉塞され、「所謂『吸引回し(サクション回し)』をして対処しようとしたのに、下大静脈だけが、パーシャルバイパスになっていて、上大静脈はトータルのままだった。」ことを意味します。

 事故後、人工心肺のハードに関するガイドラインや、人工心肺側の操作に関連したマニュアルが次々と作成され、テキストにも書かれています。ところが、術野側の対処、すなわち、「脱血管からの脱血ができなくなったときに、上下大静脈を着実にパーシャルバイパスにして、『吸引回し(サクション回し)』にする」ことは、あまりに当たり前すぎるためかどの教科書にも、マニュアルにも書かれていません。裁判で証拠として提出しようとしましたが、明文化されていないのです。当たり前といえば当たり前の事なので、書かれていませんが、患者さんの命に関わることなのですから、明文化して、記述すべきです。

以上

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2007年2月17日 (土)

医学書院 医学大辞典

医学書院 ホームページより。想像してください。

http://www.igaku-shoin.co.jp/misc/igakudaijiten.html

http://www.igaku-shoin.co.jp/seigo/200608_01.html

以上。

参照:獄中執筆記-傷害防止特殊ボールペンによる医学書院「医学大事典」の執筆-

http://kazu-dai.cocolog-nifty.com/blog/2006/08/post_6862.html#comments

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2007年2月12日 (月)

東京女子医大“マッチポンプ”事件-概要

 200728日、私は、学校法人東京女子医科大学と東間紘元泌尿器科教授を被告とする損害賠償等請求訴訟を東京地方裁判所に提起しました。

 本件、提訴に関するメディアからの報道も増えていない様子ですので、提訴当日にメディア側に連絡いたしました本件訴訟の概要を当ブログに掲載いたします。

概要

1 当事者

原告:当ブログ管理人

2001年3月1日東京女子医大で行われた心臓外科手術(「本件手術」)において人工心肺を操作していた医師。2002年6月28日業務上過失致死容疑で逮捕され、その後起訴されるが、東京地方裁判所刑事15部は、2005年11月30日、同人を無罪とする判決を出した。

被告:

学校法人東京女子医科大学(「東京女子医大」)

東間紘(本件手術当時、東京女子医大の泌尿器科教授)

2 事件名・係属部・事件番号:

       損害賠償等請求事件・東京地方裁判所民事11部、平成19年(ワ)第2740号

3 請求の原因(要旨)

(1) 内部報告書による名誉毀損

 被告東京女子医大は、本件手術に関連して、内部調査委員会(委員長:被告東間)を設置した。同委員会は、2001年10月3日、「故平栁明香殿死亡原因調査委員会調査報告」(「内部報告書」)を作成しその後公表したが、内部報告書は、患者が脳障害により死亡した原因は、人工心肺中に生じた脱血不良による脳循環不全にあり、その脱血不良が生じた原因は、術野からの吸引ポンプの回転数を、通常1分間に40回転のところ、原告が100回転以上に上げたままで人工心肺を作動させたことによる脱血回路内の圧上昇である」という誤まった事実を摘示した。すなわち、内部報告書は、専門性を有するべき医師である原告が、手術中の不適切な人工心肺の操作というミスにより本件患者を死亡させたと伝えるものであり、原告の名誉を毀損する。

 被告東京女子医大は、本件調査委員会を設置し、内部報告書を対外的に公表した主体であり、被告東間は、本件調査委員会の委員長として内部報告書を作成した責任者である。よって、被告らは、原告に生じた損害を、連帯して賠償する責任を負う。

 内部報告書によって原告が蒙った精神的苦痛に対する慰謝料は、それを原因として原告が逮捕、勾留、起訴されたことや、原告の心臓外科医としてのキャリアが著しく毀損させられたことなども踏まえるならば、金50,000,000円を下らない。

(2) 不当解雇による未払賃金の請求

 被告東京女子医大は、2002年8月15日、本件手術において、原告が人工心肺装置の操作を適切に行わず本件患者に重度の脳障害を生じさせて死に至らしめ、業務上過失致死罪にて逮捕、起訴されたこと等を理由として、原告を諭旨解雇した。

 しかし、原告が業務上過失致死罪を理由として逮捕、起訴されたこと自体は事実であるが、これは被告女子医大自身が、虚偽の内容を含む内部報告書を作成・公表した結果、捜査機関が捜査を誤って原告の逮捕、起訴に及んだからであって、そのことを根拠として被告女子医大が原告を諭旨解雇することは、いわゆるマッチポンプに他ならない。解雇には何ら理由がなく、当該解雇は無効である。

 これまでの未払賃金の額は、25,550,000円を下らない。

                                                            以上

(なお、メディアが報じた請求額は、上記の損害賠償請求に弁護料を可算した額です。概要の中にありましたが、省略いたしました。)

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2007年2月 8日 (木)

東京女子医大事件関連訴訟提起のご連絡

本日(200728)、私は、学校法人東京女子医科大学と東間紘元泌尿器科教授を被告とする損害賠償等請求訴訟を東京地方裁判所に提起しました。

本件訴訟の概要等につきましては、追って本ブログにてお知らせします。

1 当事者

原告:

2001年3月1日東京女子医大で行われた心臓外科手術(「本件手術」)において人工心肺を操作していた医師。2002年6月28日業務上過失致死容疑で逮捕され、その後起訴されるが、東京地方裁判所刑事15部は、2005年11月30日、同人を無罪とする判決を出した。

被告:

・学校法人東京女子医科大学(「東京女子医大」)

・東間紘(本件手術当時、東京女子医大の泌尿器科教授)

2 事件名・係属部・事件番号:

損害賠償等請求事件・東京地方裁判所民事11部、平成19年(ワ)第2740号

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東京女子医科大学に対する公開質問状(再掲載)        カウントダウン1

東京女子医大に対する公開質問状を再掲載いたします。

2007年2月7日 (再掲載)

公開質問状参考送付の件

                  佐藤一樹

拝啓 時下ご清祥のことと存じ上げます。

私は、200132日、東京女子医大で施行された心房中隔欠損症及び肺動脈弁狭窄症手術の際に人工心肺装置の操作を担当していた医師です。

2006年6月2日付けで東京女子医科大学に対して、添付の公開質問状を送付いたしました。ここまでに至る経緯につきましては、質問状(下記1の文書)の本文にある通りです。

 今回、あわせて、日本の安全な医療の発展を真剣に考えている機関、団体、個人及び報道機関に、公開質問状の写しをご参考までに送付させていただきます。皆様に公開させて頂きました書類は、以下のとおりで東京女子医科大学に送付した書類のコピーの全てです。

1.    学校法人 東京女子医科大学 吉岡博光理事長に対する公開質問状

2.    東間 紘 前病院長に対する公開質問状別紙 1

3.    笠貫 宏 現循環器内科主任教授に対する公開質問状別紙 2

4.    黒澤博身 現心臓血管外科主任教授に対する公開質問状別紙 3

5.    「本件で使用されたレギュレータの作動原理図」(上記2.参照、2007年2月7日の本ブログに掲載)

6.    「体外循環における補助脱血方法」と題するプレゼンテーション(上記2.参照2007年2月7日の本ブログに掲載

7.    「黒澤訂正プリント」(上記4.第1の⑤参照、2007年2月7日の本ブログに掲載

 なお、この公開質問に対する東京女子医大からの回答等を含めた経過につきましては、2007年2月6日の本ブログ「紫色の顔の友達を助けたい」―東京女子医大幹部不正事件と公開質問状 カウントダウン 2-(下記アドレス)で、発表ましたので、御参照いただければ幸いです。

http://kazu-dai.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/post_7d95.html#comments

敬具

公 開 質 問 状

学校法人 東京女子医科大学 

理事長 吉岡博光殿 

200662

医師 佐藤一

第1 公開質問に至る経緯

1 質問人は、200132日、東京女子医科大学病院付属心臓血圧研究所(以下「女子医大心研」)にて施行された平栁明香氏に対する心房中隔欠損症及び肺動脈弁狭窄症の手術(以下「本件手術」)の際に人工心肺装置の操作を担当していた医師です。

2 質問人は、貴院の東間紘前病院長が2001103日に作成した「故平柳明香殿死亡原因調査委員会調査報告書」(以下「内部報告書」)は、その内容が科学的に、すなわち、物理学的にも工学的にも医学的にも誤っていることが以下①②③等により明らかになったため、2006126日に貴院に対して「女子医大は、内部報告書の誤りを認め、内容の公式撤回をする意向があるかどうか。」という主旨の催告状を内容証明郵便で送り、文書による回答を求めました。しかしながら、貴院からは、顧問弁護士を通して「回答しない。」旨の電話連絡があっただけでした。そこで、回答しないのであれば、回答しない旨記載した書面を出すよう求めましたが、それも拒否されました。

①「3学会合同 陰圧吸引補助脱血体外循環検討委員会 報告書」

委員長 高本眞一 東京大学教授、委員 許 俊鋭 埼玉医大教授、同 四津良平 慶応義塾大学教授、同 坂本 徹 東京医科歯科大学教授。以下「3学会報告書」)2003年5月、日本胸部外科学会、日本心臓血管外科学会、日本人工臓器学会が発行。(本件手術が行われた女子医大心研の第5手術室および慶応義塾大学病院や東京医科歯科大学における実験、学術的文献、専門書により詳細な検討が行われ作成されています。)

なお、この「3学会報告書」又はその抜粋は、学会誌「人工臓器」、「Clinical Engineering」といった専門誌で発表されただけでなく、3学会の学術集会でそれぞれ配布され、また、日本心臓血管外科学会専門医認定施設約500施設に配布されました。さらに、同報告書中に含まれる勧告は、上記3学会の各専門誌及びホームページに収録されるとともに、厚生労働省の科学研究である平成14年度厚生科学研究医療における危険領域のリスク分析とフェイルセーフシステムに関する研究分担研究『人工心肺の安全マニュアル作成に関する研究報告書』(平成15年3月)にも収録されました。

②「黒澤回答書」

3学会合同 陰圧吸引補助脱血体外循環検討委員会(以下「3学会委員会」)から貴院に対して行われた照会(「内部報告書」の作成にあたって女子医大が実施した実地見分に関するもの)に対して、同実地見分に立ち会った医師が、貴院心臓血管外科 黒澤博身主任教授の代理として、「内部調査委員会の施行した検分は不十分で、しかも具体的なデータが残っていません」と回答した書面(以下「黒澤回答書」)。

③刑事無罪判決

2005年11月30日に東京地方裁判所刑事第15部が出した無罪判決(以下「本件判決」)。裁判では、上記「3学会報告書」「黒澤回答書」、裁判所が行った2日間におよぶ女子医大心研の手術室での実験結果、海外在住者を含めた女子医大内外の医師11名、医学工学博士(ダブルライセンス)、臨床工学士4名、看護師、本件で使用されたレギュレータの販売メンテナンスの責任者など多くの証人による公判調書、100編を超える文献、専門書、多数の警察調書、検察調書などが証拠とされました。 

3 貴院は、その病院案内ホームページ「基本理念」で「科学的根拠に基づいた十分な説明で、納得していただき、来院される方のご意見やご要望をお聞きしたうえで、最も適した診療を心がけます。」と記載しております。しかしながら、社会的に問題となった本件においては、「科学的根拠に基づく十分な説明」がされるどころか、「科学的に全く誤った内部報告書」を作成し遺族に交付し、厚生労働省や上記「3学会委員会や警視庁捜査第一課等に提出しております。

4 貴院は、本件が審理中であった200529日までに、本件判決の前にもかかわらず、特定機能病院の再承認を厚生労働省に申請するという行動を起こしました。(当然のごとく承認はされませんでした。)

さらに、「黒澤回答書」が提出され、「3学会報告書」や「東京地方裁判所の無罪判決」で「内部報告書」の誤りを指摘された後も、その撤回や謝罪を一切せず、質問人の催告に対しても何の返答もしないという極めて不誠実な態度を貫いております。このような態度を貫いている女子医大は、遺族および国民に対してその社会的責任を全く果たしておりません。

5 質問人は、貴院が不誠実な態度を改め、真摯に本質問状に対して回答されるよう求めます。

尚、本質問状を貴院に送付しましたことは、日本の安全な医療の発展を真剣に考えている機関、団体、個人及び報道機関に通知し、ネット上でも発表することを申し添えます。 

第2 質問

1 女子医大に対する質問

(ア)   3学会など医学界から、および裁判所からも根本的に否定された「内部報告書」を撤回し謝罪しますか。

(イ)   撤回も謝罪もしないと回答される場合、理由は以下①②③のどれですか。①②③以外であれば、文章を作成してお答えください。

      「内部報告書」には全く誤りがないので、撤回も謝罪もする必要はない。

      「内部報告書」には、誤りがあるので、誤りを科学的に根拠に基づいた手法によって修正する。

      「内部報告書」が誤っているのは理解しているが、撤回も謝罪も修正もしない。

(ウ)   東京地方裁判所刑事第15部 岡田雄一裁判長は、無罪判決、すなわち質問人には、注意義務違反はなく、「諸事情をも併せ考慮すると、このような客観的にみて危険で瑕疵がある構造というほかはない人工心肺回路を設置し、心臓手術での使用に供していたことにつき、女子医大の責任が問題となる余地がある」としています。

この判決にかかわらず、女子医大の責任はないとお考えですか。

(エ)   貴院の人工心肺室では、本件人工心肺に使用されたレギュレータの純正のフィルターを使用せずに、「薬事法上適応外のガスフィルター」を使用し、しかもその「使用上の注意書き」には、「使用は1回限りです。再使用はできません。」と記載されていたものを繰り返し使用していましたが、このことに、問題はあったとお考えですか。

2 「内部報告書」の作成やその後の取り扱いに関与した教授への質問

貴院の責任において、以下の各個人から、該当する質問(別紙)への回答をそれぞれ取り付け、貴院自身の回答とともに返信してください。

a.       東間 紘 前病院長 (泌尿器科前主任教授)

b.      笠貫 宏 前心研所長 (循環器内科主任教授)

c.       黒澤博身 心臓血管外科主任教授

d.      

第3 回答に関する催告

質問人は、貴院に対し、本質問状到達後、3週間以内に、書面により上記の質問全てにおいて回答されるよう催告いたします。 

 以上

公 開 質 問 状 別紙 1

a.    東間 紘 前病院長 (泌尿器科前主任教授) 

第1 東間紘前病院長への質問の経緯

「内部報告書」は死亡調査委員会の委員長である東間紘前病院長(当時の副院長)が心臓外科医の意見やアドバイスを全く聞かないで、自らが責任をもって作成し、遺族に手渡しています。また、本件刑事裁判でも宣誓下に出廷していますので質問いたします。

第2 東間紘前病院長への質問

(ア)  現時点において、「吸引ポンプの回転数を上昇させて長時間使用すると、静脈貯血槽が陽圧化する。」という「内部報告書」の主旨は誤りであったという認識はありますか。

(イ)   「内部報告書」は、「3学会合同 陰圧吸引補助脱血体外循環検討委員会 報告書」と「本件判決」において客観的には医学的にも司法的にも誤りであるとされています。「内部報告書」を誤って作成してしまった理由は何ですか。以下の「①」または「②」または、「①②の両方」でお答えください。

      当時から故意に偽りを記載したため。

      初歩的な物理学、医学的知識、工学知識の欠如および科学的思考が欠如していたため。

(ウ)   「黒澤回答書」では、「内部調査委員会の施行した検分は不十分で」あるとされています。現時点において検分は十分であったと考えますか。

(エ)  「内部報告書」を作成するにあたり、心臓手術の経験が全くない医師だけで委員会を設立し、心臓外科医にアドバイスを受けなかった理由は、心臓外科医が関われば、「フィルターに問題があった。」ことや、脳障害の原因は「脱血不良時の吸引回し中に、上大静脈をパーシャルバイパスにしなかった。」こと等が明らかにされてしまうからですか。

(オ)  「内部報告書」に、「フィルターの目詰まりは、回路内に発生した水滴による。」「水滴が発生することは決して特別のことではない。」と記載していますが、「フィルターが目詰まりしてしまうこと」は特別のことではないとお考えですか。

(カ)  陰圧吸引補助脱血法を導入する施設に対してレギュレータ(コントローラ)を取り扱うバクスター社のプレゼンテーションの写しを添付します。ここに、「リザーバーに流入するベントやサクションの流量のバキュームに対する影響は? バキュームコントローラは-20mmHgの設定で毎分15~20Lの流入するエアーに対応する能力があるため、サクションやベントの流量は全く問題にならない」とあります。このプレゼンテーションの内容は、「内部報告書」の内容と全く反対の内容です。どちらがより正しいと思いますか。なお、本件で使用されたレギュレータを扱うオメダの販売メンテナス責任者は宣誓下の証人尋問で、「その構造は基本的に同様である」旨証言されています。

(キ)  「内部報告書」には、「もちろん静脈貯留槽内の圧は、(脱血管からの血液流入圧+術野からの吸引流入圧)-(送血圧+壁吸引圧)の総和で表され」と12頁に記載されています。この記述は現在でも正しいものだとお考えですか。

以上  

公 開 質 問 状 別紙  2

b.        笠貫 宏 前心研所長 (循環器内科主任教授)

第1 笠貫 宏 前心研所長への質問に至る経緯

死亡調査委員会は笠貫 宏循環器内科主任教授(当時の心研所長)の依頼により組織され、同教授は東間前病院長とともに遺族に「内部報告書」を手渡しています。また、当時心研の所長として医局員に圧力をかける発言をされたので質問します。

第2 笠貫 宏 前心研所長への質問

(ク)   内部報告書を作成する委員の選定に関与しましたか。

(ケ)  内部報告書を家族に渡す前に、内部報告書の誤りに気づきましたか。

(コ)   2001年12月に本件の報道があってから、質問人が逮捕されるまでの間に、内部報告書の誤りを知っていましたか。

(サ)  2002年2月に、心研医局室で当時の循環器小児外科医局長、循環器外科医局長、循環器小児科医局長が「内部報告書」を閲覧し、一同が、その内容の真実性を否定する趣旨の発言をした直後に、医局長室で同席していた循環器内科医局長からその会話の内容の報告を受け、「内部報告書に意見するのは天に唾するようなものだ。」という発言をしたことがありますか。          

以上

公 開 質 問 状 別紙 3

. 黒澤博身心臓血管外科主任教授

第1 黒澤博身心臓血管外科主任教授への質問に至る経緯

黒澤教授は、現在のところ第37回日本心臓血管外科学会および第43回日本小児循環器病学会の総会・学術集会会長をされる予定ですが、以下①ないし⑥の記述のごとく、質問人や医局員が「内部報告書」の批判する書類を作成しようとしたことに圧力をかけて阻止し、3学会に非協力的な態度をとり、さらに「内部報告書」に対して否定的な「3学会報告書」を強引な手段を用いて修正させましたので質問いたします。

         2002年4月に警視庁捜査第一課の白鳥陽一警部補が浜野恭一理事に、「心研の医局員が、『内部報告書』について批判をしようとしているので、困る。」と電話連絡した後、黒澤教授は医局員と質問人に「内部報告書」を批判しないように圧力を加えました。

         2002422日、黒澤教授は、質問人に、「君も日本国内で心臓外科を続けたいのなら、私(黒澤)の言うことを聞いて「内部報告書」を批判しないように。批判をすると私の力で君(質問人)は心臓外科を続けられなくなるだろう。」旨発言しました。

         2002430日、心研一階の応接室において、質問人、喜田村洋一弁護士、二関辰郎弁護士が、心研医局員と「『内部報告書』に記載された実験結果は虚偽であり、内容が理論的にも誤っている」と指摘する書類の作成を完了しようとしたところ、黒澤教授が女子医大側の弁護士と現れ、「『内部報告書』は厚生労働省に提出した。今、特定機能病院の認定を剥奪されるかどうかのぎりぎりのところである。『内部報告書』は間違っているが、こんな大切な時に女子医大心研の内部に別の意見があって、『内部報告書』を批判する動きがあることがマスコミに知られたら大変なことになる。特定機能病院の問題が終了するまでは、『内部報告書』を批判する書類を作成してはいけない。」旨、発言して、自らが「内部報告書」が誤っていることを認めたにもかかわらず、書類の作成を阻止しました。

         20028月に、3学会委員会は、本件の手術記録、麻酔記録、体外循環記録、事故当時の体外循環回路、本件で使用した体外循環システムのマニュアル等の資料を女子医大に請求しました。これに対し、黒澤教授は「請求されたものは警察に押収された。」として請求されたものは何も提出せずに、「事故後に作成した体外循環システムのマニュアル」と「内部報告書」等を3学会委員会に提出しました。

         2003515日 第33回日本心臓血管外科学会学術総会 3学会合同陰圧吸引補助脱血体外循環検討委員会報告 シンポジウム 「安全な陰圧吸引補助脱血体外循環を目指して」の会場で、配布するために「3学会報告書」(「オリジナル版」と呼びます)が作成されました。「オリジナル版」の25頁勧告の下の一文では、「本委員会の検討により、東京女子医大で起こった事故は本来陰圧であるはずの静脈貯血槽が急激に陽圧になったためであり、その原因は吸引回路の回転数が非常に高かったためではなく、陰圧吸引補助ラインに使用したフィルターが目詰まりを起こし閉塞したためであることが模擬回路による実験でも示された。」という記述があります。黒澤教授は、NHKの職員とともに、3学会委員会の委員を訪れ、「オリジナル版」の配布を中止すうように働きかけました。さらに、その配布の中止が困難であると知るや上記文章の「ためで」を修正するように求め、結局「可能性が」に訂正するプリント(以下「黒澤訂正プリント」)を発行させました。(「黒澤訂正プリント」のコピーは巻末に添付)なお、NHKの職員とは、当時、「女子医大の変革が、当時の東間院長や黒澤教授によって行われている」という趣旨の番組を制作していたことに関連する職員を指します。

         2003519日午前820分からの女子医大の心臓血管外科モーニングカンファレンスで「委員会にいって『オリジナル版』に修正を加えさせた。」旨の発言をしたため、心研内の日本人工臓器学会の理事である医局員から「そんなことはしては、まずいのではないですか。」と指摘されました。

          本件手術直後に、患者さんの頭部には異常な浮腫の所見があったのに対し、肝臓腫大や肝酵素値の上昇等、下半身の浮腫や異常所見は全くありませんでした。このことは、「脱血不良時後、吸引回し中の術野での操作が不適切であった」、すなわち、「両脱血管をクランプして上大静脈をパーシャルバイパスにせずに、下大静脈のみをパーシャルバイパスにした」等が裁判で指摘されていました。

その裁判継続中で判決が下される前の2005年に、黒澤教授は、医局員の反対を押し切って、本件手術の術者をカナダに留学させてしまいました。

第2 黒澤博身心臓血管外科主任教授への質問

(ア) 上記①②③で、医局員や質問人に圧力をかけ「内部報告書」を批判する文書の作成を阻止したのは、御自分の判断ですか、警察指示ですか、女子医大上層部の指示ですか。

(イ) 上記④で、3学会委員会が女子医大に請求した「本件の手術記録、麻酔記録、体外循環記録、事故当時の体外循環回路、本件で使用した体外循環システムのマニュアル等」のコピーは大学内に存在していましたか。

(ウ) 上記④で、3学会が「本件で使用した体外循環システムのマニュアル」を請求したのに対して、「事故後に作成した体外循環システムのマニュアル」を提出したのは、御自分の判断ですか、女子医大上層部の指示ですか。

(エ) 上記⑤で、「黒澤訂正プリント」を発行させたのは、御自分の判断ですか、女子医大上層部の指示ですか、NHKの要望ですか。

(オ) 上記⑥で、「静脈貯血槽が急激に陽圧になった原因が、陰圧吸引補助ラインに使用したフィルターが目詰まりを起こし閉塞したためである」という文書を「可能性がある」と修正させたからには、根拠があるはずです。「フィルターの目詰まり」以外にどのような可能性があるのか具体的に御教示ください。またその説明を、科学的にかつ明確に御教示ください。

(カ) 上記⑦で、判決前に医局員の反対を押し切って、本件手術の術者を留学させた理由は何ですか。

 上記質問に対しては、添付いたしましたホームページに記載された基本姿勢に違うことなくご回答されることをお願い申し上げます。

東京女子医科大学 心臓血管外科 ホームページより

Department of Cardiovascular Surgery, Tokyo Women's Medical University For the patient Accountability

「 ・・・2002年より私共教室員は、黒澤博身主任教授以下、従来とは全くといっても過言でないほど異なる、新たで開かれた心臓血管外科チームへの進化をはかってまいりました。以来私共は、国民のみなさまのニーズにこたえるために、常に偏りのない知識と確実な技術をもった最善の治療と同時に、これまでにいただいてまいった国内最大の経験を活かし、最高の安全性を実現しうる厳格なリスク管理を遂行する事こそが最大の責務と考えております。従来諸問題を人事を含め根底から見直し、安心して受けていただける最良の医療とは、患者様がたと同じ向きを向き一致協力してはじめて達成されるものであると信じます。どのような事でも何かお気づきの点がございましたら、お気軽に当科スタッフにお申し付け下さい。何卒よろしくお願い申し上げます。」(下線は質問者)

以上 

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2007年2月 7日 (水)

東京女子医大への公開質問状 再掲載 別紙添付書類   カウントダウン1

公開質問状に添付された書類の再掲載です。

「REGYURATOR.JPG」をダウンロード

「vavr_0.JPG」をダウンロード

「vavr_57.JPG」をダウンロード

                            カウントダウン1

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2007年2月 6日 (火)

東京女子医大幹部不正事件と公開質問状             カウントダウン2

東京女子医大と私との間の紛争についてのブログをまとめて見ました。

I. 東京女子医大「内部報告書」と社会保障審議会「議事録」

2006年12月7日(改訂版)-

1.内部報告書一般論 

 病院や企業内で事故があったときに、内部で報告書を作成してもそれが、「病院や企業を守ろうとするために文書にすぎない」ことが多々あるということだと思います。 

2.女子医大内部報告書は私の逮捕前から信用されていない

 2002年2月28日の第3回社会保障審議会「医療分科会」議事録 議題 「東京女子医科大学病院の完全管理の確保状況等について」が私の手元にあります。「鴨下重彦、木村静子、桜井秀也、猿田亨男、全田浩、福島龍郎、水野肇、三宅祥三、山浦晶(以上敬称略)」の委員からなり、女子医大側からも出席者がいて事実関係(真実ではない)を発言しています。内容は調査報告書に依拠しているので、誤っています。この8頁にこのようなやりとりがあります。

前提:

 調査報告者は学内第三者が内部調査が行ったこと、特に心研外の人が行ったと女子医大側から説明されていました。しかしこの場では指摘されていませんが、実は心研循環器内科楠元教授がメンバーでした。楠元教授は主任教授ではありませんが、いわゆる「平教授」だったのです。循環器小児外科を目の敵にしていた笠貫教授が空席になっていた心臓血管外科教授選の利害関係に関連して楠元教授採用されたと予想される。

以下 議事録 8頁からの抜粋

(委員)

「質問というより教えていただきたいのですが、『より詳細な調査を学内第三者が行うことを決定した』とありますが、『学内第三者』というのはどういう意味ですか。私が聞きたいのは、心研にいなければ学内第三者だとう解釈なのかどうかです。」 

(女子医大)

「そのつもりで書きました。」

(委員)

「それを第三者と言いますか。メンバーを見ると、私どもの知っている先生もだいぶいらっしゃいますので、女子医大の中の方だと思うのですがね。こういうのを学内でやっても国民はあまり信用しないとうことを私は言いたいのです。例えば日本医大でもややこしい事件があったときに、学内の先生は全部外して、学外の先生でやったのですが、そういうやい方は女子医大では話が出なかったのかどうかも伺いたいのですが。」

(女子医大)

 「これは訂正させていただきます。かなり緊急を要するという判断であり、6月20日で検討した結果、とにかく虚偽隠ぺいなきように、極めて第三者的な立場でやれということは申しましたが、確かにご指摘のとおり、純粋な意味では第三者ではなかった。それは反省しております。」

 このご意見も当たり前のことだと思います。しかも、「心研にいない」というのも嘘ですから、酷いものです。第三者とは、「女子医大幹部および笠貫教授にとって不都合な人間以外の人という意味が正しい解釈でしょう。

II. 黒澤博身心臓血管外科主任教授との電話(一部)

2006717(改訂版)-

200667日 1755

女子医大内線電話

佐藤(S)○○病院の佐藤ですけれども。

黒澤教授(K)ああ一樹君。おうこんにちは。

S こんにちは。お電話いただきましたので。

K公開質問状こちらに来たので驚いたのだけれども、先生はこれからいろいろやることがあるだろうし、あのー、当面僕は何すればよい?僕の方では、今回の先生の手紙とは関係なく内部調査報告書自体が問題あるっていうのは前からずっといっていたんでね、落ち着いたらみんなでレビューしなければいかんだろうとそういう話はしていたのだけれども。みんなでやったらどうですかということを今、提案しているのだけれど

S私としては、質問にお答えしていただければ結構です。

K大学が答えるということになっているので何らかの答えがあると思うよ。・・・

細かい点なのだけれと、こちらから情報が十分伝わってないことがあるようだけれど、・・・。そっちでは、内の教室員と誰か会う。話するの。だったらその時に聞いてみたら。・・」

等と会話が続きます。

以下、会話の要点

    会議がいろいろあって、内部報告書の撤回を求めた佐藤からの内容証明に対する会議があったかどうかも忘れた。(佐藤が、「一月に東間元院長、尾崎麻酔科主任教授(内部報告書の作成に関与)、黒澤心臓血管外科教授、院内実地検分に立ち会った医師、児玉弁護士(医師とのダブルライセンス)で会議をしたはず」であることを指摘したが、)記憶にないとのこと。

・公開質問状から読み取れる情報の中には、私が誤解していることがあると思う。教室内の情報は正確に把握してから、発言してもらいたいので、それを私に近い医局員に聞いてみたらどうか。

これに対して、複数の医局員に質問したところ、

「術者の医師の留学に反対していたのは、一部の人なので、そのことに関しては医局の多数派の意見とは言えない。他は、誤解というところはないのではないでしょうか。」

「黒澤先生には、あれくらいのことやらないと分からないんですよ。今でもわかってないんだから、もっと強くやってくださいよ。」

他、三教授に関する処分の予測などが、いろいろ言われているとのこと。

中には、厳しい処分にすべきだという意見があるとのことでした。

III. NHKの放送と公開質問に対する回答

     -2006年6月11日(改訂版)

 医療関係者が参加するm3 com.のスレッドで、女子医大に勤務されている医師から貴重なメッセージをいただきました。

「東間院長を中心とした大学上層部の発表を鵜呑みにしていた自分が今となっては恥ずかしく思います。」

 あれだけ、どうどうとテレビや新聞でも話をして、自分達に都合のよいことを言っていれば、内部の医師でも信じてしまうでしょう。東間教授、黒澤教授は伴に、外見は一見温厚そうで、語りも和やらかいので正義感のある人物のように映像からは伝わってきます。その内面については、皆様に判断していただきたいと思います。

 NHKで女子医大の改革が、東間教授、黒澤教授の両教授の旗手によって進行しているというような主旨の番組作りがされ、2003年に放送されましたが、それを書き取りました。

東間院長(当時)

「自分達の技術の進歩、自分達の業績の進歩、そういったことが第一になって患者さんが置き忘れられているということになっているわけですね。それが、今度の事件で明らかになったわけですけれど、私達は、それはやっぱりとことんそうであってはいけない。自分達がやったことをなんかこうちょっと恥ずかしいことがあったらなんか隠そうというのでははく、何でも見て欲しい。そして、おかしいところがあったら指摘してほしい。そして私達は信頼をされる病院となるんですよというように言い切れると思います。」

 東間先生、黒澤先生、そして笠貫先生と女子医大は、

「自分達がやったことをなんかこうちょっと恥ずかしいことがあったらなんか隠そうというのでははく、何でも見て欲しい。」

との言葉に偽りなく、公開質問状に回答していただきたいと思います。

 私は、女子医大、東間先生、黒澤先生、笠貫先生に、

「おかしいところがあったので、指摘しました。」

IV. 東京女子医大からの公開質問状に対する返答(改題)

     -2006年7月7日(改訂版)-

「counterreply_from_twmu.pdf」をダウンロード

6月27日付けで女子医大から返答が来ました。

まったく予想通りでした。以下写しです。

             平成18年6月27日
佐藤一樹殿

学校法人東京女子医科
 平成18年6月2日付で当法人理事長宛に送付された
公開質問状については、同質問状に係る刑事裁判が現在
係属中でありますので、回答は差し控えます。

「公開質問状に係る刑事裁判が現在係属中でありますので、」

とありますが、質問に答えると女子医大にとって刑事責任が追及され悪影響があるとしか理解できません。

「女子医大は、公開質問状に答えると、病院が佐藤に責任をなすり付け、病院の責任を隠し通そうしたことが、裁判で明らかにされていくから、質問に答えない。」というようにこの返答をうけとります。

女子医大の現在までの態度は、内部報告書を作成しそれを受け渡したり公表した以下の人や機関に属する全員に対する侮辱と言えます。

1.亡くなった患者さん

 女子医大の東間元病院長、笠貫教授、黒澤教授は、この内部報告書を手に亡くなった患者さんの墓前にもう一度立つことができるでしょうか。

2.遺族

 遺族は本当の事故の原因を知りたいと思っているはずです。この内部報告書で混乱させられてしまったはずです。

. 厚生労働省

 2001年12月特定機能病院の認定剥奪を回避するためにこの報告書は提出されました。これを取り下げないのであれば、厚生労働省は絶対に再認定することはないでしょう。現病院長は、再度、2007年に特定機能病院申請すると表明されたそうですが、この報告書の取り下げ、関わった、東間元病院長他の委員、笠貫宏現循環器内科主任教授、黒澤博身現心臓血管外科主任教授の処分を行ってから申請してほしいものです。

4.日本心臓血管外科学会、日本胸部外科学会、日本人工臓器学会

 学会は、科学者として、労力を惜しまずにこの事件を真面目に検討し報告書を作成しました。これに対してその調査に非協力的であった女子医大、特に黒澤博身教授はどういう評価を下しているのでしょうか。非協力的であったことは、結果をだされるのを恐れていたからに他ならないのでしょう。

5.メディア各社と国民

 メディアを通し誤った情報を提供された国民も同様です。

6.警察

 警察も途中からこの報告書が誤りであることに気づいていました。詳細は執筆に記載しようと思いますが、警察と女子医大は私と医局員の電子メールを許可なく閲覧し、私と女子医大内の内線電話を検閲していました。(さすがに頭に来た医局員が浅井という司法警察員にくってかかったところ「警察だからねー。」との答え。警察だから不正をやってもよいという意味にしかとれません。

 現段階において、検察が味方に付けようとする機関は全世界中、女子医大のみでしょう。個人的には、フィルターを設置した臨床工学士さんに頼らなければならないのでしょう。検察官は、控訴後に最低でも2回彼を訪れ、

「三学会の報告書の内容は本当か。」旨

質問したそうです。逮捕前の捜査段階では、この技士さんの責任について検討がされていたようです。彼が現場検証でどんな発言をし、どのように追いつめられ、何を話ししたかは警察調書、検察調書や公判で私には分かっています。そのことをとやかくいうことは避けますが、そのような立場の臨床工学士の発言と、東京大学と慶応大学と東京医科歯科大学と埼玉医科大学の各教授の名前で発表された「三学会報告書」を比較する検察官も破れかぶれになっていると思います。

                      カウントダウン 2

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2007年2月 5日 (月)

無罪判決記事からの自己紹介                     カウントダウン3

2006年6月2日の再掲載です。執筆途中でしたが、諸事情により、途中のまま掲載しました。

今回の「福島病院事件 傍聴記」をきっかけにブログ読者が増加しています。ブログのトップページ以外では一番閲覧数が多いデータが出ていますので、初回掲載時のまま再掲載します。

1.あるお医者さんの死と無罪判決

 平成171212日。元国立小児病院心臓外科部長 常本實先生が肝臓癌で亡くなられました。1130日に、私の無罪判決を見届けた直後に倒れ、12日後に永訣。同じ肝臓癌で苦しんでいた奥様を自宅で介護すること約1年弱。敬虔なクリスチャンであった愛妻を追われるように終の道をいかれました。外科学大系全集の小児心臓外科の主幹編集者であった名医は、小学校3年生から私の主治医でした。我が心の恩師。小児心臓外科学に私を導いてくださった。驕りのない優しいお医者さんだった。

(なお、元国立小児病院循環器科 松尾準雄先生が日本小児循環器学会誌 (第22巻第2号 平成1831日発行)に 「追悼・常本 實先生 常本 實先生(1926^2005)を偲ぶ」を寄稿されています。

2.二つの新聞記事

 1.「無罪判決にも冷静」佐藤医師 笑顔なし 『私も同じ手術受けた』言葉つまらせ・・・(東京新聞 平成17年12月1日 )

 「無罪判決を勝ち取った佐藤医師は弁護士と並んで会見に臨み、「医学的に検察の主張が間違っていることはわかっていた」と、冷静に公判を振り返った。

 佐藤医師は「起訴状は東京女子医大の調査報告書を追随する内容だが、報告書は心臓外科以外の医師がまとめたもので、学会も間違っていると判断している」と指摘。

 理路整然と質問に答えていた佐藤医師だが、遺族に対する思いを問われると「実はわたしも同じ病気で手術を受けています」と切り出して、言葉を詰まらせた。

 佐藤医師は小学三年生のとき心臓手術を受け、医師を志した。大学生時代の講師が、そのときの執刀医だったことで心臓外科の道に進んだ。

 「小学生で手術をうけることはつらいこと。(明香さんの)カルテを見ると不安な心境で手術に臨んだことがわかる。残念でならない」。佐藤医師は無罪会見でも笑顔をほとんど見せなかった。

2.風の軌跡 (140) ある心臓外科医(セキュリティー産業新聞 2005年12月25日 8面

「・・・「ニュースを見て、彼がでているよ」

慌ててチャンネルをまわすとT女子医大の医療事故の判決だった。心臓手術中に、機器の故障で12歳の女子児童が亡くなり、2人の医師が逮捕されたが、今回機器担当のS医師が無罪判決を受けた。

「最初から無罪と思っていました」「この症例は生涯忘れられないでしょう」

テレビ画面のS医師の表情は硬く、素っ気なくさえ見えた。子どもを失った両親は、死んだ子は帰ってこないのに、と無罪判決に失望を隠さなかった。

頬の削げたS医師の当姿を見ながら、子ども時代の彼とオーバーラップする。はじめて会ったのは彼が小学低学年の頃、ふっくらした頬の美しい子どもだった。両親の寵愛を一身に、何不自由ない家に生まれながら、彼は先天的に心臓に異常があった。小学校5年(ママ)の時に手術を受けて健康体になったが、周りには、手術を受けられない紫色の顔色の子供たちが何人もいた、という。症状の重い友達を気遣って母親に何度も尋ねた。「なぜ、僕だけが手術を受けられるの?

 次に彼の姿を見たのは中学3年生、彼の母親の葬儀の時だった。朝、夫や子供たちを送り出した後、彼女は11時ごろ心臓の発作で倒れ、そのまま亡くなったらしい。中学校の制服姿で小学生の弟の手をひき、大きな目にいっぱいの涙をあふれさせながら、母親の棺の側でけなげに葬列者に頭を下げていた。

彼が心臓外科医の道を目指したのは、誰もが当然、運命的とさえ思えた。

亡くなった女児は、彼が手術を受けた年齢と同年齢(ママ)。「助けてあげたかったでしょうに」「紫色の顔の子供たちを助けるのが願いなのに、死んだ責任を問われるとはね」「生涯忘れられない症例」一言に込められた痛みの深さは、性善を一瞬にしてひっくり返され、性悪の役割が与えられるような、運命の理不尽さに涙した者のみが推し量れるのかもしれない。来年は良い年になりますように。三林和美」

3. 女子医大の心臓病患者から女子医大の心臓外科医へ

生後四ヶ月の女子医大の患者

 生後四ヶ月目の乳児健診で、「心臓に雑音」がることを指摘された。「心房中隔欠損症」左右の心房を隔てる心房中隔欠損症。他の合併症がなければ、先天性奇形の中では、軽症である。とはいっても、放置すれば、長生きはできない。教科書には30歳の生存率が約70%とあるものがある。幼児から学童期での手術が必要で、現在の欧米では、カテーテルによる治療(アンプラッツァー)も一般的になってきているが、日本の現状では「小学校に上がる前に」手術する。心臓病の子供をもつお母さんは辛い。4か月といえば、そろそろ寝返りをうち始める子もいていよいよ可愛い盛りになりはじめたころであろう。

 私の結婚式で、常本先生がされたスピーチで知ったことは、私の両親は最初に東京女子医科大学病院をを受診したとのことだ。子供のころから、このスピーチまでは、幼児期に東京大学病院に入院した記憶は明確にあったので、「お父さんが通っていた大学の病院だから、入院した」のだと思っていた。私の父は当時全国紙の新聞記者で、女子医大の中山恒明教授の取材をしたことがあり、日本で心臓病といえば女子医大と思っていたようだ。家族や担当医の都合で、女子医大から東大、国立小児病院と病院を移った。1970年代初頭はまだ、小学校に入ってからの方が安全に手術ができるとされていたようで、小学校3年生で手術を受けることになった。

心臓病を持つ子のおかあさん

 母は、私を過保護にしなかった。しかし、いつも見守っていた。手術前には、担当医師に中止されていた学校での水泳教室以外は、他の子以上に運動していた。5回表裏制の少年野球で一日に3試合完投したこともあった。「一樹のかあさんは、野球が好きで一樹がピッチャーで四番だからいつも応援にきている。」とチームメートは子供の解釈をしていた。勿論、自分では分かっていた。「僕がいつ倒れるか心配して見に来ている。」と。

 小学生になって手術を受けるのは辛い。手術当日はまだ日が昇る前に目がさめた。病棟の廊下にあるみんなが見ることの出来る黒板には、今日の手術の欄に「さとうかずき」とあるのが、ベットのガラス越しから読めた。

               カウントダウン3

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2007年2月 4日 (日)

「医者」と「記者」 MedicalとMedia-「医療と報道」        カウントダウン4

プロローグ

 このブログの大きなテーマの一つである、「医療報道」について体系的に考え学問的な立場で研究を行っている講座の公開フォーラム(2007年2月3日)に最初の1時間だけ出席してきました。

 ここでは私が考えていたことと似かよっている部分が多くありましたので紹介します。

最初に、今年のテーマを選択するにあたり昨年の同フォーラム(2006128日)のについての「おさらい」がありましたが、これをまとめてみます。

26日フジテレビ本人訴訟(弁論準備期日)27NHK本人訴訟 弁論 (証人尋問)と28日の準備のため、極めて簡単になることを御考慮お願います。)

なお、ウエッブサイトに詳細がありますので、こちらを参考にしてください。

ただし、実際のフォーラムのプレゼンテーションにはここに記載されていないものもありました。

医療従事者全員が、重要と考える事柄です。

http://www.hsp.u-tokyo.ac.jp/

文部科学省科学技術振興調整費 医療政策人材養成

東京大学医療政策人材養成講座

東京大学医学部教育研究棟鉄門記念講堂

 2006年1月28日

「報道は医療を良くできるか?」講演録より>

1.医者(医療)と記者 Medical とMecica

(ア)  父と叔父

 私の父は「記者」(産経新聞東京本社の文化部。司馬遼太郎は同社大阪本社で同じ部。)でした。母の兄は「医者」(東京医科歯科卒後内科医局入局後、病気などで埼玉医大耳鼻科に転科)でした。生涯独身を通した叔父は、心房中隔欠損症をもった甥である私を大変かわいがってくれました。私の恩師であり主治医でもあった常本先生が埼玉医大の客員教授(当時はどういう身分か不明ですが)であったこともあり、先生との出会いも叔父が関わっています。

 月に一回以上は私を訪れる叔父は、父とともに一番身近な「働いている人」で、それが「医者」と「記者」でした。自分も医者になりましたので、職業人としての「医者」と「記者」については、考える機会が山ほどありました。

 そして、現在の私の立場になっていよいよ、「ISHA」と「KISHA」、Medical Media

と日本語でも英語でも音声的には近い両者の関係について考える立場になっています。

(イ)  医者と記者の類似点-ひとつだけ誤り

 今回のフォーラムでは、最初に医療者と報道者の間には、大きな溝と誤解、対立の存在が否定できないので、これを融合して真剣に考え本気で話しあう必要性を前提としていました。弁証法的な考え方で新しい医療政策の方向性を導きだそうとしているのだと理解しました。

 しかし、対立している医者と記者は結構、類似点があるのではないかと指摘されています。

    組織的弊害

     特権的意識

・ 世間知らず

・ 職能集団として世間の疑問に答えていない

  といくつかあり確かにそうであると思いましたが、この中で「ひとつだけ共通点ではない」と思う項目がありました。

     「体系的教育の不在」ですが、医師は、最低医学部レベルでは学問として体系的教育を受けていると思います。

2.             悪しき医療報道とは-「期待は高く、質は低い」医療報道

 昨年のアンケート結果では、「現在の医療報道は」おおむね「質が低い」と評価されたことが発表されました。しかしながら影響力は大きいので「期待は高い」。

 ここで、プレゼンテーションのモニター上では、悪しき医療報道が具体的に羅列されていました。メモの順番からいくと・・

     ランキング本

     医療政策

     医療事故-東京女子医大事件報道 

     あるある大辞典

     ・・・・・

とありました。

現在もウエッブ上には、

 「医療提供者が問題だと考えているもののひとつとして、東京女子医大で心臓手術を受けた女児が死亡した事件があります。私を含めてマスコミは逮捕された医師の人工心肺装置の取り扱いについて問題があったと報道したのですが、一審判決は無罪でした。現在、検察が控訴しており、判決は確定していませんが、今後、医療事故をどのように報道していくべきかを考えるひとつの材料にしたいと思います。」

とあります。

「このプレゼンは去年の1月にされていますので、私の無罪判決の2ヶ月後、「大野病院事件」と「あるある大辞典問題」はまだ報道されていない時でした。

 プレゼンテーターは、「東京女子医大事件」とはいわず、「医療事故」とだけいって次に「あるある大辞典」といったので、場内苦笑。

  なお、このプレゼンテーションのPC上では「『東京女子医大事件報道』が悪しき医療報道である」と指摘したのは、ある全国紙の記者のように書かれていました。このフォーラムを知ったのは、昨年末です。私が昨年の春に「名誉毀損で提訴しなかった全国紙」が一つだけあります。偶然の一致か、必然か、指摘したのは新聞社の記者でした。

3.             「医療報道の質が低い」と評価するのは「医者」と「医療ジャーナリスト」

 医療報道の質の評価をした人は複数の「医療従事者」と「医療ジャーナリスト」「医療政策作成者」「患者」。現在の医療報道の質の評価は真っ二つの傾向。

現在の医療報道の質が高いと評価-「医療政策作成者」「患者」

現在の医療報道の質が低いと評価-「医者」と「記者」

「医療ジャーナリスト」は正直であることがわかりました。

4.             事件ジャーナリストと医療ジャーナリスト

まず、自己批判も含めてジャーナリストの視点から見てみます。代表的な問題点として、ジャーナリストが、医療事故を報道する際に医療機関と被害者(患者、家族)の対立をあおるかのような報道をすること、倫理観や根拠なしにセンセーショナルな報道をしがちなこと、記者の中に医療に関する専門的な知識がない者が多いことが挙げられます」

全てその通りです。全く正解です。

プレゼンテーションでも、

・「事件ジャーナリスト」の医療報道には「悪しき医療報道が多い」。

・「医療ジャーナリスト」の医療報道には「悪しき医療報道が少ない」。

とう分析でこれも、全くそのとおり。

私の言葉でいいかえれば、

・「科学文化部」「科学班」「文部科学省記者クラブ」「厚生労働省記者クラブ」の医療報道には「悪しき医療報道が少ない」。

・「社会部」「警視庁記者クラブ」の医療報道は、「悪しき医療報道だらけ」である。

共同通信が配信する、医師のための情報サイトm3.com.では、毎日新聞が医療報道では最悪という評価ですが、「同社会部」には「医療問題調査班」というものがあります。上記発表を鑑みれば、この講座でも最低という評価になるでしょう。

 その他、興味深い内容が盛りだくさんでしたが、本ブログの内容とモロニ合致した部分で今日は終えます。

 興味のある方は以下サイトを御覧ください。

http://www.hsp.u-tokyo.ac.jp/

文部科学省科学技術振興調整費 医療政策人材養成

東京大学医療政策人材養成講座

              カウントダウン 4

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2007年2月 3日 (土)

「速報 大野病院初公判傍聴記」の改訂のお知らせ他。     カウントダウン5

「速報 大野病院初公判傍聴記」

1.改訂のお知らせ。「15.      遺族の心情」に一部、書き加えを行いました。その他誤字脱字の修正をしました。

2.東京大学医療政策人材養成講座 メディスン&メディア(医療者・報道者)公開フォーラム「医療を良くするために、医療者と報道者ができること」に1時間だけ参加することができました。私のためにあるフォーラムですが、当然のように「東京女子医大事件」についのスライドがありました。今日中の「レポート作成」が間に合いませんので、「カウントダウン4」に掲載予定です。

                                      カウントダウン5 

                                                                                    

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2007年2月 2日 (金)

「医療を良くするために、医療者と報道者ができること」       カウントダウン6

下記公開講座に出席したかったのですが、いくことができない可能性が高くなってしまいました。

ブログ読者で出席が可能である方がいらっしゃいましたら、是非出席され、可能であればコメントお願いいたします。

東京大学医療政策人材養成講座

メディスン&メディア(医療者・報道者)公開フォーラム

「医療を良くするために、医療者と報道者ができること」

■開催日時、会場
開催日時:2007年2月3日(土) 13:00 - 16:30
会場: 東京大学医学部教育研究棟鉄門記念講堂(東京都文京区本郷7-3-1)
■内容
【第1部】(13:00~13:40)
○「本講座は、医療とジャーナリズムの課題をどう捉えてきたか」
埴岡 健一(本講座 特任助教授)
【第2部】(13:40~15:20)
○プロジェクト報告:「日本版メディア・ドクター実証実験」から
・プロジェクトの概要
(評価結果。評価から見えてきたこと)
・チーム1報告
・チーム2報告
・チーム3報告
【第3部】(15:30~16:30)
○パネルディスカッション
「医療を良くするために、医療者と報道者が共にできること」
(本講座1、2、3期生から、医療者とメディアそれぞれの立場のメンバーが討論します)
・医療者からメディアに求めること。
・メディアから医療者へ求めること。
・医療者とメディアの共同プロジェクトの可能性。
○メディスン&メディア共同宣言
○東京大学医療政策人材養成講座のご案内
○閉会のあいさつ
高本 眞一(東京大学医学部教授、本講座 プログラムディレクター)

                                       カウントダウン6

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2007年2月 1日 (木)

大野病院事件の傍聴メモができたのも「先生」のおかげ      カウントダウン7

1.   弁護団を助けたい

 ブログのサブタイトルをはじめとして、検察をこれだけ批判してきた私のブログにモトケンさんからエールをいただきました。1月30日のブログのコメントからの抜粋です。

 「審理が始まった以上、ターゲットにすべきは検察官ではなく裁判官です。
 そして裁判官を説得すべき、そして説得できる立場にあるのは弁護団です。
 となると支援の対象とすべきは弁護団ということになります。」

2.   名実ともに・・・

 今日の朝日新聞 夕刊一面より

反権力の精神 息子らに

ニッポン人脈記 弁護士の魂⑦ 

 

 「権力にあらがう人々の弁護に生涯をかけた森川金寿が昨年10月、93歳で逝った。・・・・

 森川が人権活動にのめり込むのは、戦後47年に自由人権協会の初代事務局長になったことが大きい。60年後の今、代表理事の1人が弘中惇一郎(61)。ロス疑惑の被告を弁護し、保険金殺人を無罪に。薬害エイズでも元帝京大副学長に一審無罪をもたらした。

 これらの事件で弘中の右腕になった喜田村洋一(56)89年、最高裁大法廷に法廷メモの自由を認めさせ(所謂レペタ裁判 注 佐藤)、05年にも「在外選挙権の制限は違憲」の判決をださせた。自由人権協会では理事。

 その喜田村の好きなクイズ。

「憲法に一つだけ書かれた民間の職業はなんだ?」。答えは「弁護士」。刑罰などの国家権力の行使から、ときには世論の風向きと対立しても、個人を守る。それを憲法が認めているのは市民全体の自由のためだと喜田村は思う。」

3.   伴に闘う

 リヴァイアサンは、医師一人を口からはいた炎で消し去ることなど朝飯前である。個人が権力と闘うためには弁護士さんが絶対必要である。実感している。

 刑事事件も民事事件も一緒に闘わせていただいている。

 前々回のブログで「私の弁護団は二人だが、不足していると感じたことはない。」と書いた。一人は青春期に机を並べて学んだ仲だ。一人はこの記事でわかるだろう。私にとっては最強のコンビだ。

カウントダウン7

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