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2007年8月27日 (月)

勝訴 フジテレビ訴訟 本人訴訟第1号

2007年8月27日。刑事事件一審だけで50回、刑事控訴審と民事訴訟、民事控訴審、傍聴、手続き等で、100回近く通った東京地裁。13時前の入り口カウンター付近には、10人以上の学生風の20代前半くらいの人が傍聴する訴訟を書類で検討している。夏休みならではの光景。721号法廷には、17人の傍聴者。内一人は、いつも傍聴にきているフジテレビの社員。相手側弁護士は、6人が名を連ねている事務所だが、代理人席にも、傍聴席にも姿は見えない。

裁判所書記官は、私に対して大変友好的。親切で、気軽の話しかけてくれた。今日も会話するときの顔は真剣だが、視線が柔らかい。(詳細は、控訴審中であるので避けるが、一審の刑事事件の書記官との関係と似ていた。)

裁判官3人が入廷。裁判所の内で、道に迷った私に気軽に案内をしてくれたことがある土肥章大裁判長。部内の4畳程度の狭い部屋で、会食するようなテーブルで行われる弁論準備期日でのフレンドリー、気さくな感じとは雰囲気が違う。テレビドラマに出てきてもよいくらいカッコいい裁判長。「裁判官とはこういう人」だというイメージ通り。一見学者風かもしれないが、「公正な視線」は、堅苦しくなく、形式的でもない。

いつもよりも、低音で響くはっきりとした若々しくも威厳のある落ち着いた声。    「主文 

1.被告は、・・・」この出だしで、勝訴を確信する。

「・・・原告に対し、100万円及びこれに対する平成17122日から支払い済みまで年5分の割合による金員を払え。

2.原告のその余の請求を棄却する。

3.訴訟費用は、これを15分し、その1を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。

4.この判決は、1項に限り、仮に執行することができる。」

「詳細は、12階6部で、正本を受け取ってお読みください。」

自然と丁寧に頭が下がった。本人訴訟での勝訴判決第1号。

私の後を追うように、2人の学生風の傍聴者が退廷。私の判決だけを傍聴しに来ていた様子。13時30分からは、集英社と毎日新聞医療問題取材班の各記者を個人で訴えた別訴訟の最初の弁論期日が行われる705号法廷に向かった。

 この集英社と毎日新聞の記者を訴えた弁論期日の後に判決を手に入れる。刑事判決が52ページだったのに対して、この判決も36ページ(40字x26行)。

 判決の理由には、一部不満なところもありますが、ごく一部を抜粋すると、

「・・・本件刑事事件が原告に対し無罪の言渡しをしたとうはいうものの、実際には、原告が、未熟で、その過失があったために、本件事故が生じた可能性があるとの印象を受けることは、否定できないのであって、当時第一審で無罪判決を受けた直後であった原告の人格的価値を損ない、その社会的評価を低下させるものであったというべきである。・・・・原告に対する無罪判決に疑問があることを示唆する内容の情報も多数提供しており、(別項目でこのことには真実性も相当性もないと判示)さらに、その構成も、冒頭部分と最後に本件刑事事件判決に批判的な本件患者の遺族による記者会見でのコメントを挿入し、他方、判決直後になされた原告の記者会見(甲12)でのコメントは用いていないなど、これを全体的に観察すると、原告に対する無罪を言い渡した本件刑事判決に批判的な視点で構成されているというべきであり、・・・・実際には、原告が、未熟で、その過失があったために、本件事故が生じた可能性があるとの印象を与えることは否定できず、原告の社会的評価を低下させるもので、原告の名誉を毀損するものといわざるを得ない。」

 と主たる部分ではしっかりと判示してくださいました。

この訴訟における私の「陳述書」は前回のブログに掲載しましたが、再掲載します。

平成18年(ワ)第5889号 損害賠償請求事件

原 告 佐藤一

被 告 株式会社フジテレビジョン

陳  述  書

2007511

原 告  佐藤一

第1 報道被害者として

はじめに

 私には理由があって、本件訴訟を自分自身で提訴しました。法律の専門家ではない私が、素人なりに名誉毀損と肖像権侵害の法理や判例を調べて、訴状や準備書面を自分の言葉で書いてきました。その訴状や準備書面の中で、私が主張したいことは、既に述べてきましたが、裁判所から本人尋問の機会を与えていただきましたので、改めて報道被害者本人の立場から陳述させていただきます。

心臓外科学と私

 私は、末尾に添付させていただきました東京新聞、産経新聞、セキュリティー産業新聞の各記事コピーにありますように、自分が本件患者さんと同じように先天性心房中隔欠損症のため心臓外科手術を受けたことをきっかけに、心臓外科医になりたいと思い医学を志し、この道に進みました。

 そして、逮捕されるまで10年以上心臓外科学に従事してきました。時には一週間の平均睡眠時間が1時間程度になっても手術室や集中治療室で患者さんの診療を行い、研究室で心臓外科の研究に没頭し、国内だけでなく国際学会でも研究成果を発表し心臓外科学の発展に寄与してきました。小児心臓外科学研究により医学博士を取得し外科学会の認定医や胸部外科学会の認定医、心臓外科専門医の資格も取得しました。

 これに対し、何の取材の努力もしない放送局の誤った認識によって、いとも簡単に、私が未熟な医師であって、当初は罪を認めていたのに裁判になって一転して無罪を主張、本来は有罪であるところ、無罪判決を言い渡された元医師で、現在は医師でない人間との印象が全国の視聴者に植え付けられてしまったのです。

 科学的素養も有さない、何の医学知識もない、心臓外科医に対して何の取材も行わなかったフジテレビが、何故今回のような放送をすることができるのでしょうか。

 そもそも、事件の当事者であり、心臓外科医である私に対する取材を一切行なおうともせずに、このようないい加減な放送を行う姿勢は、許されるものではありません。 

本件放送視聴者の印象

  今回、最末尾に添付いたしました、ブログ「シーガルアイ公式ブログ 『カモメの目』」気になる記事から(11月30日)には、「当初この医師は、自分のミスを認め遺族に謝罪したそうです。ところが裁判になると一転、自分に過失はないと主張し無罪を勝ち取りました。医療裁判というのは、こんな違和感のある行動をした医師すら罰することができないくらい難しいのでしょうか?「無罪」はないんじゃないかなぁ~。」との書き込みがあります。この書き込みは、2005年11月30日の「FNNスーパーニュース」を視聴したブログの筆者が、その放送から受けた印象をブログに書いたとしか思えません。私は、2005年11月30日の全国ネットのテレビ報道番組と新聞社や通信社が発信するネットニュースの記事を可能な限り全てチェックしましたが、「当初この医師は、自分のミスを認め遺族に謝罪したそうです。ところが裁判になると一転、自分に過失はないと主張し無罪を勝ち取りました。」といった印象を与える放送した放送局や新聞社、通信社はフジテレビ以外には皆無だったからです。

 準備書面でも高等裁判所刑事判例集からの引用を陳述しましたように、「「週刊誌や芸能誌、テレビのワイドショーなどを中心として激しい報道が繰り返されたが、こうした場面では、報道する側において、報道の根拠としている証拠が、反対尋問の批判に耐えて高い証明力を保持し続けることができるだけの確かさを持っているかどうかの検討が十分でないまま、総じて嫌疑をかける側に回る傾向を避け難い。・・・ところで、証拠調べの結果が右のとおり微妙であっても、報道に接した者が最初に抱いた印象は簡単に消えるものではない。それどころか、最初に抱いた印象を基準にして判断し、逆に公判廷で明らかにされた方が間違っているのではないかとの不信感を持つ者がいないとも限らない。」のです。

 このような状態であった視聴者が、さらに「FNNスーパーニュース」の放送を視聴すれば、上記ブログのような印象を持つと思います。

 さらに、このブログを読んだ不特定多数の閲覧者も、ブログの内容が真実であるという印象を持ったと思いますので、フジテレビの放送自体の視聴者とブログ等二次的な波及によってこの内容が真実であるとの印象を持った人は、莫大な数に上ると思います。

「未熟な医師」「元医師」

 いままでの準備書面でも繰り返し述べてきましたが、「未熟な医師」と評されたことは、専門家としての心臓外科医として、耐え難いことであり大変苦痛を感じました。

 また、判決当日の午前中にも診療を行っていたにもかかわらず、「元医師」と繰り返し何回も放送されたことはさらに腹立たしいことです。視聴者は、私が本件刑事事件に関連して、「医師免許取消処分を受けた」または、「医業停止処分を受けた」等の印象を持つと思います。そもそも、医師として就業している私を「元医師」と評すること自体が、私の社会的信用を低下させる上、私の医療行為の妨害にもなります。

 先日、私が提訴している別の本人訴訟裁判を傍聴された慶応義塾大学の学生8人とお話する機会がありました。彼らは皆私が、刑事事件で無罪判決を言い渡されたことを知っていながらも、医師として勤務していないと思っていた様子で、「現在はどのようにして生計を立てているのですか?」と質問されました。このことは、私が「元医師」と繰り返し放送されたことにも関連すると思います。

待望の判決日

 私は、2005年11月30日の判決の日を楽しみにしていました。

 そもそも、手術直後に、私のミスで患者さんが死亡したと考える人は、私を含めた東京女子医大の心臓外科医にはいませんでした。そして、熱心な審理を3年以上重ね、甲第7号証の「3学会合同陰圧吸引補助脱血体外循環検討委員会報告書」を読み、東京女子医大で行った検証実験を目の当たりにした東京地裁刑事第15部の裁判官は、絶対に無罪判決を言い渡すと信じていたからです。特に、最終弁論要旨が完成した後は確信していました。

 楽しみにしていた理由は、無罪判決が言い渡された後には、以前に私が逮捕、起訴され、マスメディアに散々虚偽の事実を報道されて、完全に心臓外科医としての社会的信用を低下させられたことが、少しは回復する報道がされると思っていたからです。

記者会見

 判決の何ヶ月も前から、絶対無罪判決が言い渡されると予想していていましたので、判決直後にメディア側から取材が申し込まれ、記者会見を行うことになることも予想していました。私は、その場において、少しでも自分の名誉が回復できるように、自分自身の言葉で無罪について語ろうと考えていました。

 実際、東京高裁記者クラブにおいては、「午後6時からのニュース番組に間に合うように」と急いで私に対する質問が開始されました。

 この記者会見が終了してから、記者さんたちから個別の取材を受け、しばらく時間が経過した後に、私は、千代田区紀尾井町にある「千代田放送会館」に行きました。ここで、NHKの6時からのニュース番組を視聴いたしましたが、ここでは、既に私の記者会見も模様が放送されていました。

各局の放送

 友人の協力等を得て、2005年11月30日17時から12月1日午前中に東京地区で放送された全国ネットの各テレビ局のニュース番組の録画を可能な限り手に入れました。

 それらの内、フジテレビ以外の放送で、亡くなった患者さんの遺族の記者会見だけを一方的に放送したり、私に対して悪意を感じさせるような放送したりものはありませんでした。

アナウンサーの表情

 しかし、FNNスーパーニュース」に始まるフジテレビ一連の放送は、私に対して悪意をもって個人攻撃をしたように感じました。

 まず、「FNNスーパーニュース」の冒頭には、西山喜久恵アナウンサーが登場しています。この西山アナウンサーが話す様子は、怒りをこめて険しい表情であり、以前に他の番組で見た同アナウンサーとは全くの別人に見えました。

家族の記者会見

 この放送では、家族の記者会見の様子が、冒頭と最後に二回もあるのに対して、私が記者会見した様子については全く放送がありません。このような一方的な放送を行った放送局は他にはありませんでした。

勾留されていた私の映像

 放送では、拘置所敷地内で、勾留する側の職員といっしょに歩行する38歳当時の私の容貌の映像が、撮影され放映されたことにより、私の肖像権が侵害されました。

 なぜ、無罪判決を受け、まだ控訴も未だされていない42歳当時の私の記者会見の映像を入手しているのに、このような映像をわざわざ掘り起こして放送する必要があるのでしょうか。

 被告は、そもそも、保釈当時にこの映像を流したということも明らかでないのに、何故この映像を無罪判決後に流すことの正当性や必要性、公共性、公益性を主張できるのでしょうか。

 保釈時の撮影状況は、2006年6月7日付け準備書面、準備書面(2)準備書面(3)、甲11号証 私の妻の「陳述書」にも書かれていますので、繰り返しはなるべく避けますが、故安部医師、三浦和義氏、皇太子妃の例で示した、被撮影者がどのような態度で対処しても、結局放送局は、衝撃的な映像を求めてこれを撮影し、放映してきました。妻が撮影を中止するよう求めても、撮影、放映は行われ、肖像権の侵害はなされてしまうのです。この映像は「めざましテレビ」「とくダネ!」でも繰り返し放送されました。

 なお、証拠として録画映像を入手できませんでしたが、フジテレビが放送した同年 2005年12月3日放送「土曜LIVE ワッツ!?ニッポン」<THE・VOICE>「東京女子医科大学医療事故裁判・担当医に無罪判決」という放送でも午前11時4分46秒からと11時7分21秒からも、私の保釈時の映像が放映されたのを視聴しました。

「当初罪を認め遺族に謝罪し示談が成立」

 上記のようなテロップを表示して、「佐藤被告は当初は罪を認めて遺族に謝罪し、示談が成立。」とう放送に対しても大変憤慨しました。これも準備書面で再三述べてきましたように真実ではありません。このような放送では、私があたかも、業務上過失致死罪の罪を認めて謝罪したため、遺族が私に対して求めた損害賠償請求に対して示談が成立したという印象を視聴者に与えますが、そのような事実はありません。

「法廷では一転して過失を否定」

 さらに自白に等しい行動をとっていた私が、裁判では一転して過失を否定したような印象を与える放送になっていますが、これも真実ではありません。私だけでなく、事件当時、心臓血圧研究所に所属していた心臓外科医は、皆私に過失があるとは考えていませんでした。事故当時から現在まで、一貫して、過失を認めていないのです。

判決文を無視した西田弁護士の意見

 本件訴訟における、被告の主張からは、西田弁護士さんが、この放送の前に、判決文の内容や、判決要旨を把握していたか否かは、全くわかりません。私には法律の専門家である西田弁護士さんが、判決の要旨の情報を得た後に、判決とは関係のない以下のような話しを迂闊にするとは思えないのです。

「①いろんなあの危険を回避する義務というのはやっぱりあると思うのですね。②それを放置してまああのそういうことを怠ってですね③未熟な医師にあの二重三重にそういうことが起こらないように、④あの予防体制を取りながら本当はやるべきだったでしょうと・・・。」

 このような口語、話し言葉を視聴すると、①の時点では、「危険を回避する義務」があったのは私であるという印象しか残りません。そもそも刑事事件とは、個人の過失が問われるのですから、「危険を回避する義務」は私にかかるとしか思えません。②も同様で、「危険を回避する義務」を放置し、怠ったのは私と理解されます。③でも明らかに未熟な医師は私を指します。被告準備書面(第2)7頁1行目では、「仮に未熟な医師がいたとしても・・・とういのが西田弁護士のコメントの趣旨である。」と述べられていますが、私はこのような主張をおこなう被告の態度に呆れ返りました。私が罪を問われた判決の話をしている最中に、そのような未熟な医師存在を仮定して話をするはずがありません。この準備書面は、西田弁護士さんが本当にそのような趣旨でコメントしたかどうかを確かめてから書かれたものとは思えません。

繰り返される「元医師」保釈時映像

 フジテレビが判決日の深夜に放送した、「ニュースJAPAN」の中の「Flash JAPAN」では、保釈時映像の放映もなく、「医師」と放送しています。これに対し、翌日の「めざましテレビ」「とくダネ!」においては、再び保釈時映像の放映を行い、「元医師」と放送を繰り返しています。このことから、フジテレビの会社としての一貫性のなさが見受けられます。

以下、放送とは直接の関係はありませんが、「なぜ私が逮捕までされてしまったのか」に関連して知っていただきたいので、第2では「逮捕までの経過」を述べ、第3「まとめ」としました。

第2 逮捕までの経過

1.         本件手術と脳障害とフィルターの閉塞について

私は、2001年3月2日の本件手術、すなわち心房中隔欠損症と肺動脈狭窄を有する12歳の患者さんに対する根治手術において人工心肺装置の操作を担当し、その中で陰圧吸引脱血法を用いました。

本件手術中に、脱血不良が発生したことは事実です。しかし、患者さんには肝臓をはじめとして下半身には全く脱血不良による症状がなかったのに対し、上半身には、顔面の浮腫を伴った脳障害が出現しました。患者さんの下半身に症状が出なかったにもかかわらず、頭部に障害が出たのは、脱血不良の原因が、人工心肺装置の操作を誤ったためではなく(この場合には、患者さんの下半身にも症状が出ます)、上大静脈からの脱血が十分でなかったためであることを示しています。

また、血液が逆流する脱血不良が発生したこと自体は、フィルターが閉塞したことによるもので、このことは、人工心肺終了後すぐに技士の点検で明らかになり、手術当日の段階で心臓外科医と臨床工学士の間では全員がこの認識になっていました。

2.         調査報告書(乙第5号証)の作成者とその後について

前心臓血管外科の教授が退官され、教授が不在の間、東京女子医大の心臓血圧研究所の循環器内科笠貫 宏教授は、この事故に対して原因を追究する遺族の要求を受けて、死亡原因調査委員会を発足させました。ところが、本件さらに、心臓手術についても人工心肺についても素人同然のこの委員会は、心臓外科医に何の意見も求めることなく報告書を作成し、遺族にこれを渡したのです。事故が心臓手術中に生じたものであったにもかかわらず、この会の委員(3人)には心臓外科医が1人も含まれていませんでした。もちろん、人工心肺を操作した経験のある医師もいません。

私が、この報告書の存在を知ったのは、報告書が遺族に渡された後でした。もちろん、内容を読んだのも遺族に渡された後ですが、その内容のいい加減さには驚きました。大学側と私の連絡窓口であった管理課金子次長に内容について苦情をいいましたが、遺族に既に渡してしまったからという理由で取り合ってもらえませんでした。

3.         調査報告書の誤りについて

調査報告書の記述の誤りは、陰圧吸引脱血法を一回でも操作したことがある医師や臨床工学技士であれば容易に分かることです。刑事事件では、58箇所について意見を述べた34ページに渡る「故平柳明香殿死亡原因調査委員会調査報告に関連する意見書」を提出しましたが、ここでは、根本的な誤りのいくつかにとどめます。

         報告書12頁20行目「もちろん静脈貯血槽内の圧は、(脱血管からの血液流入圧+術野からの吸引流入圧)-(送血圧+壁吸引圧)の総和で表され」という記載は、「圧力とは表面のある一点で垂直におよぼす、あらゆる方向に均一に作用する単位面積あたりの力のこと」や高校理科で学ぶニュートンの法則を理解していれば、全く誤りであることがわかります。圧力は、長さや重さといった「量」ではありませんから、これを足したり引いたりすることはできないのです。さらに、そもそも「静脈貯血槽」を「静脈貯留槽」と平気で記載し間違えていること自体が、人工心肺についての無知のあらわれです。

         報告書12頁25行目「したがって脱血管からの脱血量がたとえ減少していても、術野からの吸引量が多ければ静脈貯留槽内の見かけの液面はあまり変化しないこともあり得るわけである。しかしこの場合静脈貯留槽内の圧は上昇しており、そのためにますます脱血管との圧較差は小さくなりついには全く脱血されなくなり、さらには逆に脱血管内へ静脈貯留槽から空気や血液が逆流することも起こりえるわけである。」などと書いてありますが、人工心肺の基本を全く理解していない記載です。「液面が変化しないこと」そのものが、良好に人工心肺が運転されている証拠です。そして、「しかしこの場合静脈貯留槽内の圧は上昇しており、」とされる理由が全く説明されていません。良好に人工心肺が運転されていて、液面が変化しない安定した状態から、「さらには逆に脱血管内へ静脈貯留槽から空気や血液が逆流することも起こりえる」わけがないのです。「吸引ポンプを上昇させたこと」と、「脱血管内へ静脈貯留槽から空気や血液が逆流すること」は全く関係がありません。

         「静脈貯血槽内の圧は槽内の血液面の上下する動きで間接的に知ることができるだけであり」という記載も、誤りです。どんな脱血方法であっても、静脈貯血槽の液面の上下は、脱血管ないし吸引ポンプから静脈貯血槽に流入してくる血液量及び送血により静脈貯血槽から出て行く血液量のバランスによって生じるものに過ぎないので、圧の上下とはまったく関係がないことなどは、人工心肺を扱ったことがある医師や臨床工学士なら誰でも知っていることです。

4.         調査報告書の誤りと客観的資料

陰圧吸引脱血法において「吸引ポンプの回転数をあげても静脈貯血槽が陽圧化することはない」ことが書かれている医学論文は、陰圧吸引法に関して外国の医学雑誌にも投稿がある大阪大学の論文や、人工臓器学会の当時の理事長が教授を勤める埼玉医科大学の論文や静岡県立こども病院の論文等があります。

また、甲第9号証の医療機器関連会社であるバクスター株式会社は、「陰圧吸引脱血法」による人工心肺装置に関するプレゼンテーションを1999年以前から行っていました。そのプレゼンテーション57頁にも「バキュームコントローラは-20mmHgの設定で毎分15~20Lの流入するエアーに対応する能力があるため、サクションやベント*の流量は全く問題にならない」ことが記載されています。なお、吸引ポンプの回転数は最高で250回転まで上昇させることが可能です。そして、本件の吸引ポンプは一回転で、13mlのエアーないし血液を人工心肺内に取り入れますから、1分間100回転では、1.3Lということになります。仮に本件の人工心肺に設置してある4つの吸引ポンプをフル回転させると250回転X4=1000回転になりますが、これは13mlX1000=13000ml=13Lに当たりますので、この程度の流量であれば、全く問題ありません。(*サクションやベント:吸引ポンプの名称のこと。乙17号証の末尾の図「陰圧吸引補助脱血法」の「吸引、ヘント」のこと。なお、「ベント」が正しく「ヘント」は誤りです。)

5.         原告および医局員による調査報告書の批判

 調査報告書に対する批判は、大学側の管理課金子次長にいっても取り合ってもらえなかったことは、先に書きましたが、2001年12月末に、本件が報道された後、私は、女子医大の医局員と共に、この報告書に対して批判をしようとしました。そのことを知った黒澤教授(現心臓血管外科主任教授)は、医局員と私に「調査報告書」を批判しないように様々な手段で圧力を加えました。

 2002年4月22日、黒澤教授は私に、「君も日本国内で心臓外科を続けたいのなら、私(黒澤)の言うことを聞いて「調査報告書」を批判しないように。批判をすると私の力で君は心臓外科を続けられなくなるだろう。」旨発言しました。

 2002年4月30日、女子医大心研一階の応接室において、私と喜田村洋一弁護士と二関辰郎弁護士が、心研医局員(現エール大学教授)と「『調査報告書』に記載された実験結果は虚偽であり、内容が理論的にも誤っている」と指摘する書類(なお、この書類には追って確定日付をもらう予定でいました)を作成しようとしたところ、最後の署名と捺印で完了しようとする直前になり、黒澤教授に阻止されました。書類に署名をしてくれる予定であった医局員を待っていたところに、黒澤教授が女子医大側の弁護士と現れ、「『調査報告書』は厚生労働省に提出した。今、女子医大は、特定機能病院の認定を剥奪されるかどうかのぎりぎりのところである。『調査報告書』は間違っているが、こんな大切な時に女子医大心研の内部に別の意見があって、『調査報告書』を批判する動きがあることがマスコミに知られたら大変なことになる。特定機能病院の問題が終了するまでは、『調査報告書』を批判する書類を作成してはいけない。」旨、発言しました。「調査報告書」が誤っていることを自ら認めたにもかかわらず、医局員の書類作成を阻止したのです。

 以上の経過から、東京女子医大は、薬事法上適応外のフィルターを一回限りで使用しなくてはならないところ、これを繰り返し使用して閉塞してしまったことの、大学病院の責任を回避するため、非科学的な理由をこじつけて私個人の責任にしたことが推測されます。遺族に対して、大学の責任を、私個人の責任にすり替えようとしたのだと思います。

6.         警察の任意捜査段階 

逮捕前の本件刑事事件初期の警察捜査における主任であった警視庁捜査第一課の白鳥陽一警部補は、私に過失責任がないということを認識していた様子でした。

 2002年2月9日、5回目の事情聴取の最中、私の取調べ担当であった牛込署の諏訪警部補と白鳥警部補がいっしょになって「吸引ポンプの回転数を100回転以上にすると静脈貯血槽は陽圧化するのではないか。」という女子医大の調査報告書の主旨を根拠に、私に過失があることを認めさせようとしましたが、私は図が描かれた紙を利用して、「吸引ポンプの回転数を上げても、その空気はレギュレータを通して壁吸引に吸引されるので、陽圧化しない。」ことを説明しました。

2002年4月20日11回目の事情聴取の最中、18時頃、白鳥警部補は、「もう遺族との示談も済んでいるが、これだけ大きく報道され社会問題になると、誰かが悪者にならなければいけないんだ。おまえは、心臓外科をやめてはいけない。これからはこんなに辛い科を選ぶ人間がいなくなる。10年かけて医者をトレーニングすることは大変なことなんだ。」旨、感情的に興奮しながら話していたことを記憶しています。

一方では、先の心研医局員(現エール大学教授)が、韓国で行われた学会に参加している間に、元循環器小児外科主任教授や東京女子医大濱野専務理事に、「心研循環器小児外科の医局員が『調査報告書』の批判をしようとしていて、困る。」旨連絡を入れて圧力をかけたと聞きました。

以上のことから、警察官も「調査報告書」には誤りがあることを認識していたにもかかわらず、私を逮捕したと考えられます。

第3 まとめ

現在、文部科学省科学技術振興調整費による東京大学医療政策人材養成講座では、医療者・報道者が参加して「医療報道内容の評価」を行っています。この中で、「悪しき医療報道」と評価される報道には、「医療事故報道」があり、特に「東京女子医大事件」が取り上げられました。この講座では、「悪しき医療報道」と評価をうける報道は、社会部等の「事件ジャーナリスト」に多いといわれています。

国民の尊い生命を扱う医療に関する報道は、科学的であり、正確である必要があるのに、高度に専門化された医療に関して、専門家の意見を聞かずに、センセーショナルな事故として医療報道を行うメディアは、国民になんの利益も与えません。

今後、フジテレビが国民の利益になる正確な医療報道を行うためには、本件を担当した担当者の取材方法を根本的に改めるか、スタッフを一新して、医学や科学に関する取材がしっかりできる担当者による報道を行うべきだと思います。

 今回の私の人権を無視した名誉毀損報道、不必要な放映による肖像権侵害放送を考え直していただき、最近報道された不祥事も併せて反省していただき、会社としての基本的な方針を考えなおしていただきたいと思います。

以上

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コメント

判決を傍聴させていただきました。
わずかではありますが先生の名誉がわずかでも回復されたことをうれしく思います。
知りませんでしたが、あの後すぐに別の戦いがあったのですね。
一連の裁判は医療バッシングに大きな影響を与えると期待しています。陰ながら応援しています。

投稿: 砂岩焼死体 | 2007年8月27日 (月) 20時57分

 何という偉大な勝利だろうか.しかし,まだ,まだ,持続します.決して追撃する手をゆるめず,容赦なく徹底的に完膚無きまでたたきつぶしてください.先生の完璧な勝利とはすべての裁判で勝たねばなりません.一つでもまけたらダメです.すべてで勝利する,そこを目標にしてください.かって,ロシアの巨大戦艦を一隻残らず日本海に沈めたという,あの東郷提督のように.

 ついで,まず,先生の御体験,出版なさるべきだと思います.

投稿: 遊牧民 | 2007年8月27日 (月) 20時58分

砂岩焼死体先生
傍聴ありがとうございました。カジュアルな格好をした方が二人私の判決を聞いた後に、退廷されましたが、どちらかが先生でしょうか。ご挨拶できず残念です。通常は、自分の直後の同法廷の判決を聞くこともあるのですが(特に今日は国が被告になっていたので)、13時30分から原告としての陳述がありましたので、急いで退廷してしまいました。次に、このような機会があれば是非お声をかけてください。

投稿: 紫色 | 2007年8月27日 (月) 21時35分

遊牧民 先生コメントありがとうございました。
民事も結構大変ですが、メインはやはり刑事です。
権力(検察、警察、女子医大)が相手でこちらは、個人。取調べの白鳥警部補のl「お前は、女子医大と喧嘩するとうわけだな。おもしろい。蟻が象にむかっていくようなものだな。歯型一つつけられたれあ拍手してやる。」旨の発言がありましたが、彼が正直ならいまごろ拍手しているかもしれません。勿論そんな正直な人間が女子医大とグルになったり、盗聴したりするわけがありませんが。

投稿: 紫色の顔の友達を助けたい | 2007年8月27日 (月) 21時41分

瀬尾あゆみさま
 前々回のブログにコメントを戴いた際に、メールアドレスをいただき、そちらに返信しましたが、送信できていない様子です。
 今一度、コメントをいだき、送信可能なアドレスを御教示ください。

投稿: 紫色の顔の友達を助けたい | 2007年8月27日 (月) 21時47分

おめでとうございます。まだまだ原告としての仕事があるのですね。引き続き報道被害が認定されるよう祈願します。

投稿: cobonzu | 2007年8月27日 (月) 21時56分

cobonzu先生コメント有り難うございます。
原告としての仕事もありますが、被告人としての仕事を続けなければならないことに怒りをもち続けています。
検察側に控訴する権利が与えられていない英米ではなく、ここは、日本国ですからその法律のルール上で闘っていくしかありません。現実を見て頑張ります。

投稿: 紫色の顔の友達を助けたい | 2007年8月27日 (月) 22時14分

おめでとうございます。陰ながらではありますが、応援しております。

投稿: 道標主人 | 2007年8月27日 (月) 22時39分

 勝訴おめでとうございます。
 悪辣な巨大マスコミの横暴に泣き寝入りせず、奪われた医師としての名誉を取り戻されました、先生の御努力にはただただ、頭が下がる思いです。
 刑事第二審でも再び、勝利を勝ち取られますよう、心から応援させていただきます。

投稿: akagama | 2007年8月27日 (月) 23時10分

道標主人先生
コメント有り難うございます。ブログも拝見させていただいています。

投稿: 紫色の顔の友達を助けたい | 2007年8月27日 (月) 23時15分

akagama先生コメント有り難うございました。
刑事事件も頑張ります。

投稿: 紫色の顔の友達を助けたい | 2007年8月27日 (月) 23時17分

勝訴おめでとうございます。感動して涙が出ました。

これを一般人にも広めたいのですが
素人にも分かるように図解して書かれた人工心肺の
#女子医大側の作成した誤った事故報告(物理学的に有り得ない冤罪誘発報告書)
#学会が作成した事故報告(物理学的客観的真実)
図などはないでしょうか?
わかりやすい図があれば、この冤罪の分かりにくさが無くなり、一般にも広めやすいと思います。
また、自分でも学会が作成した事故報告書を手に入れたくなりました。報告書が書かれている、文献の名前やページなども分かりましたら可能なら御教示をよろしくお願いします。

投稿: 準僻地救急医 | 2007年8月28日 (火) 02時47分

準僻地救急医先生コメント有り難うございました。
「素人にも分かるように図解」作成してみたいと思います。現在刑事事件の準備もありますので、早急には無理ですが、近日中にやってみます。
「学会が作成した事故報告書」は、
「日本人工臓器学会」 http://www.jsao.org/
「お知らせ」とうところをクリックするとPDFファイルで閲覧できます。
http://www.jsao.org/PDF/vavd_report.pdf
抜粋ですが、オリジナルは、学会で配布された冊子です。学会誌「人工臓器」には確か全文が掲載されましたが、これは調べないといつだったか分かりませんので調べてみます。

 自分としては、静脈貯血槽の陰圧力を維持する等式・不等式とレギュレータ内の力学の等式を不定積分を用いて理解しています。これを、人工心肺装置に詳しい工学博士(京都大学)に確認したところ、「間違えないです。」との回答を得ました。

投稿: 紫色の顔の友達を助けたい | 2007年8月28日 (火) 05時52分

勝訴おめでとうございます!

ほんというと、賠償金がすくない!と思いますが、
(そもそも費用も15分の1しか被告は負担をしなくていいなんておかしい!なぜ全額負担じゃないんでしょう?)

でも、でも、勝訴でほんとうに嬉しく思います。
これからもがんばってください。

投稿: pyonkichi | 2007年8月28日 (火) 08時19分

 勝訴おめでとうございます.
 長い道のりはまだまだ続くのですね.一つ一つ勝訴が積みあがっていくことをお祈りしています.

投稿: sui-m | 2007年8月28日 (火) 08時57分

遅ればせながら、勝訴おめでとうございます。
医療報道を検証するシステムの構築を始めております。
ぜひともご指導賜れれば幸いです。

投稿: ロハスメディア・川口 | 2007年8月28日 (火) 12時18分

おめでとうございます。
判決としては当然なのですが、そこに至るまでに必要とした膨大な労力、判決が出たからといって取り戻せない損失などを考えると、単純に喜ぶことで終わってはいけないような気がします。
このような報道を垂れ流した安易な報道姿勢を引き締めて、マスコミの襟を正す必要がまだまだあると感じます。
勝訴をお喜びすると同時に、今回の判決がマスコミの正しい報道姿勢につながることを期待します。

投稿: hirakata | 2007年8月28日 (火) 12時44分

紫色・・・先生
ひとつずつ、ひとつずつ復権の道を進まれておりますこと、衷心よりおめでとうといわせてください。

先生の歩みは一人でのものですが、この道は誰かがあとを広げていく獣道のように思います。
どなたかが書かれていましたが、ネット以外での経過録としていつか世に出ることを願っています。

投稿: 雪の夜道 | 2007年8月28日 (火) 13時08分

あっという間に多くのコメントが付いて、出遅れました。
遅ればせながら勝訴のお祝いを言わせて頂きます。
おめでとうございます。

当たり前のことを勝ち取るために多くの努力が必要だという現実、お察しします。本命の刑事裁判での勝訴、お祈りいたします。

投稿: bamboo | 2007年8月28日 (火) 14時18分

先生、おめでとうございます。自分のことのように大変嬉しいです。まだまだ道のりは長いですが、1つ1つ勝利して、当たり前のことが当たり前に認められるようになることを切に願っています。ずっと応援しています。

投稿: 開業医M | 2007年8月28日 (火) 18時36分

私も遅ればせながら、おめでとうございます。
今夜はペライアのゴールドベルク変奏曲を聞くことにします。

本丸である刑事事件のほうに今後も注目していきたいと思います。

投稿: 腎臓内科医 | 2007年8月28日 (火) 20時25分

情報ありがとうございました。

早速人工臓器学会のpdfを読んでみました。これはたしかに、冤罪ですね。
フルパワーで吸引をかけても逆流はしません。初期報道の過剰な吸引をかけたから逆流したという論理は有り得ませんね。

過剰な吸引が原因ではなく、不適切なフィルターが原因だったわけですね。それを吸引した人のせいにするとは!

ここまで明確に原因が分かっていて、なぜ検察は控訴したのか!権力とは恐ろしいものですね。遺族に嘘を教え、先生に冤罪をかぶせた大学側が、アッサリ特定機能病院に復活したのも解せませんね。いったいどんな審査をしたのでしょう。権力とはどんなものか、垣間見た気がします。

先生のことは応援しております。
福島の産科医逮捕事件よりもはるかに冤罪度が高いですね。もし、義援金など募集されておりましたら、寄付させていただきます。日本にいて重症患者をみている限り、明日はわが身ですから。

投稿: 準僻地救急医 | 2007年8月29日 (水) 00時04分

心底、おめでとうございます。
陰ながら応援している循環器開業医です。
私は、医師になる前、法律関連の出版の仕事をしていました。裁判の大変さは実感しています。まだまだ先がありますが、ちょっと一段落、お疲れ様です。

先生には、この先、心臓外科医として腕を磨くのは諦めていただき、現在、そして未来の心臓外科医の模範となる医師像を築き上げていって欲しいです。いや、全ての医師の心の糧となる人間像を、ますます大きく膨らませていってください。

もちろん、名誉を挽回することも大事でしょうが、先生にはもっと、もっと医療業界全体を牽引する役目があると思います。それが先生に課せられた本当の天職なのかもしれません。

これからも前向きに考えて、全ての裁判に勝利し、医療業界の発展に寄与してください。

いつまでも応援しています。
これからも頑張ってくださいっ!

投稿: ken-ichi | 2007年8月29日 (水) 03時38分

pyonkichi先生コメントありがとうございました。
損害賠償額が少ない理由については、その内お話します。数十の判決を読んだり、裁判官が賠償額に関する論文も数編読んだ上で、請求額を決定しましたが、現実は、10年以上前の額とあまり変わりないようです。米国では、名誉毀損裁判で勝訴するのは困難ではあるようですが、勝訴すると莫大な額が支払われるようですが、本邦では、人格や名誉が安く扱われている印象です。

投稿: 紫色の顔の友達を助けたい | 2007年8月29日 (水) 23時32分

sui-m 先生コメント有り難うございました。加えて先生のブログにもご意見をいただきお礼を申し上げます。
刑事事件の負担やそれに費やした労力は、このフジテレビ訴訟に費やした労力に比べると三桁違う気がします。特に期間を引き延ばそうとしている輩が複数いることに関しては憤慨しておりますが、現実に真っ正面から対峙するしかありません。
明日は大野病院のK先生の本人尋問だと思いますが、頑張ってもらいたいですね。

投稿: 紫色の顔の友達を助けたい | 2007年8月29日 (水) 23時38分

ロハスメディア・川口様
いつもコメントを有り難うございます。
「医療報道を検証するシステムの構築」は壮大なお仕事になると思います。御協力できる余裕ができましたら、是非お話させていただきたいと思います。
明日も福島に行かれると思います。K先生とは、プライベートで連絡を取り合っていますが、明日は私は本業の関係で動けません。そのことは先生もご存じですが、川口様が先生とお話する機会がありましたら、宜しくお伝えください。

投稿: 紫色の顔の友達を助けたい | 2007年8月29日 (水) 23時43分

hirakata 先生コメント有り難うございました。
無罪判決報道に対する名誉毀損判決は、名誉毀損に詳しい弁護士さんでも稀であろうとのことです。
無罪判決自体が本邦では稀なので、無罪判決が出ると自動的に報道されることになります。今後いい加減な無罪判決報道は許されなくなるでしょう。
これを司法界にもアピールして行きたいと思います。

投稿: 紫色の顔の友達を助けたい | 2007年8月29日 (水) 23時48分

雪の夜道 先生コメント有り難うございました。
佐藤慶さんと私を並べて「二人の佐藤の冤罪」とう切り口での執筆も面白いのではと冗談をいったくれた方もいます。
妻も佐藤慶さんが書かれた獄中の話を読むと、私が毎日妻に書いていた手紙の内容とよく似ているとのことでした。
私の場合、獄中記の他に、民事崩れの告訴(被害届け)、警察と女子医大の盗聴、女子医大の裏工作、警察と女子医大の連携裏工作、対メディア、民事訴訟、対女子医大訴訟、控訴審の引き延ばし等、書けといわれれば、山のようにテーマはあります。

投稿: 紫色の顔の友達を助けたい | 2007年8月29日 (水) 23時54分

bamboo先生いつもコメント有り難うございます。
人工心肺事故が「フィルターの閉塞」であったことは、心臓外科医や臨床工学士にとっては、手術中(人工心肺終了後手術終了までの間)当たり前の認識になっていました。現在までも。そこに、無知というか大学側の責任を回避するためでっち上げの理屈をつけた東間副院長が出てきておかしくなりました。事故後数十分程度で専門家が理解したことが、地方裁判所に認められるまでに4年以上、6年以上たった現在もまだ「当たり前」がわからない連中が裁判を引き延ばしています。

投稿: 紫色の顔の友達を助けたい | 2007年8月29日 (水) 23時59分

開業医M 先生コメント有り難うございました。
医療関係者にとって「当たり前」のことを6年経過した現在も認めようとしない検察等の輩がいます。頭にきますが、真っ正面から対峙する以外ないので、やっています。

投稿: 紫色の顔の友達を助けたい | 2007年8月30日 (木) 00時02分

腎臓内科医 先生いつもコメント有り難うございます。刑事事件が本丸ですので、油断せずにやろうと思います。「ペライアのゴールドベルク変奏曲」気に入っていただけましたか。綺麗な音色ですよね。モーツアルトは勿論ショパンも傑出して美しいと思います。
久しぶりに
http://kazu-dai.cocolog-nifty.com/blog/2006/11/post_1998.html
自分でも読んでみました。
坂本選手には次の人生を期待しましょう。

投稿: 紫色の顔の友達を助けたい | 2007年8月30日 (木) 00時09分

準僻地救急医先生コメント有り難うございました。
「ここまで明確に原因が分かっていて、なぜ検察は控訴したのか!権力とは恐ろしいものですね。遺族に嘘を教え、先生に冤罪をかぶせた大学側が、アッサリ特定機能病院に復活したのも解せませんね。いったいどんな審査をしたのでしょう。権力とはどんなものか、垣間見た気がします。」
というのが普通の印象だと思います。

この三学会報告書は、工学的見地と物理学見地からいって理屈が消失してるところがあります。理屈なく無視式に安易な記述を行ったため誤っている部分、疑問に思う部分があります。また、恐らく、コントローラの開発者としても私的意見を入れてしまっているため物理学的根拠がない記述があります。必要に応じて指摘していくつもりです。

投稿: 紫色の顔の友達を助けたい | 2007年8月30日 (木) 00時17分

ken-ichi 先生コメント有り難うございました。
「医療業界全体を牽引する役目」は荷が大きすぎますが、「医療業界とメディア、医療業界と法曹界に関連した一部の役割」と限定していただければ、微力ながら努力できるような気がします。先生のご意見尊重させていただきます。

投稿: 紫色の顔の友達を助けたい | 2007年8月30日 (木) 00時25分

個人的にはマスコミ、国を叩くことだけの方は好きではありませんが、この記事を読んでマスコミに対して怒りを覚えました。
マスコミに対して誤った医療関係の報道があった時に抗議する機関として、医師新組織が機能してくれたらとこの記事を読んで思いました。或いは学術的学会や医師会が本来は政治力を持って抗議するべきなのです。
先生の活動を応援します。

投稿: Taichan | 2007年8月31日 (金) 04時58分

はじめてコメントします。ひっそりと応援しておりました。無罪判決が出たときもオッシャとこぶしを握りしめました。そして今回の勝利、おめでとうございます。
じつはわたくし、たいへんお恥ずかしいのですが、うんとむかし東医体で、先生と写真をとってもらったことがあるのです。ジャンピングサーブがたいへんステキでした。
えー、はずかしい話はこのくらいにして(^^;、訴訟問題のために優秀で熱意あふれる医師の時間と労力が消費されてしまっていることを、たいへん残念に思います。けれども本当にこれは医療崩壊につながる大きな問題ですから、やはりがんばってくださいとしか言えません。私も医療関係者以外の知人に、どんどん話していこうと思います。

投稿: 下町開業医 | 2007年9月 1日 (土) 00時43分

放送倫理・番組向上機構(ほうそうりんり・ばんぐみこうじょうきこう、Broadcasting Ethics & Program Improvement Organization、略称BPO)は、人権や青少年と放送の問題を中心とした、放送番組に対する苦情を受け付け、審議を行い、各放送局へ意見を伝え、番組品質の向上に役立てようとする任意組織。
がありますので、このフジテレビの件について連絡したのですが、全く取り合ってくれませんでした。最低の組織で全く機能していないと思いました。
医療界で作るしかないと思いますので、先生の意見に賛同します。

投稿: 紫色の顔の友達を助けたい | 2007年9月 3日 (月) 02時03分

下町開業医先生コメント有り難うございました。
医療関係者にも医療関係者以外のご友人にどんどんお話してください。
東医体なつかしいですね。ジャンピングサーブを当時の東医体で打っていたのは、北大のYさんと私くらいだったので、少し目立っていたかもしれません。1年生から6年生までやっていたので、他の大学にも友人の輪が広がっていました。食べ物やタオル等をいただいたり、先に負けてしまったチームから栄養ドリンクをいただいたり、写真を一緒に撮ったりしましたね。
就職してからも、千葉大、北大、旭医、筑波、信州、日医、医科歯科でバレーボールをやっていた人達と再会しました。
このブログを見て連絡してきてくれた先生もいます。そういえば、逮捕直前に、旭医、筑波、山梨の何人かで飲んだことがありました。

投稿: 紫色の顔の友達を助けたい | 2007年9月 3日 (月) 02時15分

今回はじめて事件の全容を知りました。ほんとうに大変だったのですね。私は女子医出身ですが、まったくあきれて怒りでいっぱいです! 心より応援いたします。

投稿: にのちか | 2007年9月 5日 (水) 00時06分

にのちか先生コメント有り難うございました
 臨床の現場での同僚や他の科の先生方とは、純粋に共感を持ちなら働いていましたが、一部の上層部がここまでひどい人間であることがよく分かりました。
 女子医大の教授の中にも、良心的な先生は多く、私に連絡をくださったり、上記のような上層部の批判をしてくださったりしてくださった先生もいらっしゃいます。

投稿: 紫色の顔の友達を助けたい | 2007年9月 6日 (木) 14時16分

最近のマスコミの姿勢は医師に対して敵対していると見て良い様に思います。先生の努力に心より敬意を表します。

幾つか教えていただきたいのです。
結局「女子医大事件」とは機器の故障で女児が死亡し、カルテの改竄があったということでしょうか。とすればその機器のメーカーはPL法などでの罰はありましたでしょうか。

そうならば賠償金などはメーカーが負担すべきではないのでしょうか。

投稿: koredeiino | 2008年5月10日 (土) 18時03分

koredeiino先生コメント有り難うございました。

機器の故障というのは正確ではありません。
本来、不必要なところに、薬事法上適応外のフィルターが設置され、これを一回使用のところを繰り返し使用していたものが閉塞して逆流事故の原因になりました。

この回路は、女子医大独自で開発したものですが、開発したのは、工学博士医学博士を両方もっていた当時の助手で、現在あるところで、教授をされている方です。その開発当時はフィルターは設置されていませんでした。
しかし、その後、事故当時は退職していた技士がそのフィルターを設置することにしてしまいました。
陰圧を作りだすレギュレータには純正のフィルターがあったのですが、これではなく、別の用途に使用されるガスフィルターが繰り返し設置されていたのです。
現在では、事故を調査した学会がここにフィルターを設置しないことを勧告していますが、当時は、どんなフィルターかは不明ですが、35%の施設がここにフィルターを設置していました。
ある、ヨーロッパの心臓外科の雑誌に日本の大学がこの方法を発表したときには、図にガスフィルターと描いて発表していますので、影響された可能性が高いと思います。

投稿: 紫色の顔の友達を助けたい | 2008年5月10日 (土) 19時02分

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