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2007年9月19日 (水)

新聞各社の地方3紙賠償命令報道比較

 2007918日判決は、共同通信社は誤信相当性(誤った報道をしてしまったが、誤ったのは理由がある)をみとめられ免責されましたが、加盟新聞社は共同通信の配信記事をそのままクレジット(配信元の表記)なしにあたかも自社が執筆した記事のような形で掲載したので、敗訴しました。

 この判決に不服があるか否かを別として、法理はちょっと勉強すると理解できるものです。しかし、所謂「『配信サービスの抗弁』が本邦では否定される。」ということを知らない一般読者には理解しにくいものだったかもしれません。これを「いかに読者にわかるように報道するか。」とう観点からみて、2007919日の各紙朝刊を評価してみました。キーワードをいくつか挙げて、それぞれを見てみましょう。

①「配信サービスの抗弁」の否定

②クレジットの(配信元の表記)

③最高裁判決

④識者のコメント

読売新聞

ブレインなしには書けない記事だと思います。このブレインとは記事に出てくる識者と別の方です。。

①「配信サービスの抗弁」の否定○

 「配信サービスの抗弁」とう文言は出てきません。ただし、「判決は、最高裁判例を踏襲し、定評ある通信社からの配信を受けたことだけを理由に、記事が真実と信じる理由があったとはいえないと指摘。」とあるので、ある程度の説明はしている。最高裁判決が前例にある場合それを否定する判決は通常でない旨が読者に伝わるかどうか。

②クレジット(配信元の表記)◎

 クレジットについては、過不足なく素晴らしい説明がされている。「共同通信定款施行細則で、配信記事には配信元の表記(クレジット)を付けると規定されいるのに、3紙がそのクレジットを付けずに自社が執筆した記事のような形で、掲載していることを踏まえ、地方紙の賠償責任まで否定できないとした。

③最高裁判決◎

 「判決は、最高裁判例を踏襲し、・・・」とあれば、読む人が読めばこの判決が最高裁で前例がある極めて真っ当な判決であることが理解できます。

④識者のコメント△

 服部孝章・立教大教授(メディア法)の話は、http://kazu-dai.cocolog-nifty.com/blog/2007/09/post_b9e8.htmlに記載したとおり、ずいぶん馬鹿げた話をまず出していますが、結局は、クレジットがないことがいけないことを婉曲的に示唆しています。

東京新聞

以前から東京新聞の記者は、私の報道の周辺からいくといつも秀逸な記事を書いています。読売の記事に切れがあるのは、実はブレインがいて、このブレインが以前の最高裁判決や本件に関わった方で、この方に解説してもらったという経緯があるようです。これに対して東京新聞は独自でよく書いています。

①「配信サービスの抗弁」の否定◎

 6紙の中で唯一「『配信サービスの抗弁』を認めなかった。」と『配信サービスの抗弁』とう文言を使用。「『三社は通信社から配信を受けたことだけを理由に真実だと信じたことが相当とはいえない。記事は担当医の評価を著しく低下させた。』と指摘」の説明には、名誉毀損裁判の「名誉を毀損するか否か」「真実性の否定」「相当性の欠如」を端的に盛り込んで、なおかつ配信サービスの抗弁が認められないことを説明している。配信サービスの抗弁が認めらないことが本邦で通常の判決であることを言及したら満点。

②クレジットの(配信元の表記)○

 「掲載記事には、共同通信のクレジットがなく、新聞社自信の記事とできないとも指摘し・・・」と指摘している。クレジットがないことが、地方紙の最大の敗因。

③最高裁判決×

 言及なし

④識者のコメント

 なし

日経新聞

これ自体が共同通信の配信と思われます。

①「配信サービスの抗弁」の否定×

 「三紙については『通信社の配信というだけで内容を真実だと真実理由になるとはいえない』と指摘した。」とう記載だけでは、足りない。

②クレジットの(配信元の表記)×

 言及なし

③最高裁判決×

 言及なし

④識者のコメント×

 私も名前は存じあげていますが、堀部政雄・一橋大名誉教授(情報法)の選任自体に問題がある指摘した専門家がいます。一般読者は、『一橋大名誉教授(情報法)という識者』はあたかも絶対的な意見を持っていると考え勝ちですが、一線を退いた名誉教授とはいえ、平成14年の最高裁判決「配信サービスの抗弁」が本邦で否定されることをご存知ないかのようなコメント。しかも、誤信相当性について「配信記事が一見して真実ではないと分かるケースを除き、掲載した報道機関は原則として賠償義務を負わないと認めるべきだ。」とう持論まで展開していますが、これは現在の名誉毀損裁判の流れに反する意見です。これが認められると、新聞社は「一見して真実ではないと分かるケース」以外は真実性のない記事を書き放題とうことになってしまいます。新聞社の言い分を新聞社の言葉として、こういったお抱え識者、文化人にコメントさせる手法は、新聞社の得意とする手法というか、習性です

毎日新聞

以前から記事に全く精彩を欠いていいます。医療報道に関しても医師からの批判が多数寄せられる新聞というイメージになっていますが、今回の記事は減点は少ない。

①「配信サービスの抗弁」の否定△

 最高裁判決を『配信記事の真実性に信頼性が確立しているとは言えない』としているが、やや説明不足。

②クレジットの(配信元の表記)○

 「配信元が明記されていない体裁を踏まえ、各社が責任をもって配信内容の真実性を判断すべきとの判断を示した。」

③最高裁判決○

 「3紙については『配信記事の真実性に信頼性が確立しているとは言えない』とする最高裁判決を引用。」

④識者のコメント

 なし

朝日新聞

朝日新聞には知り合いもいますが、私が見てきた社会部の記者には、最低な人格の人がいました。朝日の名前に胡坐を書いて全く努力が足りない人でした。この社会部の記者のような人間ばかりではないと思いますが、今回の記事は低レベルだと思います。

①「配信サービスの抗弁」の否定×

 「通信社に真実と信じた相当の理由があるからといって、3社にも相当の理由があることにはならない」と誤信相当性の説明がありますが、「配信サービスの抗弁」とはいえない。

②クレジットの(配信元の表記)×

 記載なし

③最高裁判決○

 「3社に対しては、最高裁判決を踏襲して・・」とう記載はあります。

④識者のコメント

 なし

産経新聞

無罪判決の時は、良い記事を書かれていましたが、私をいつも「元医師」と書いてきて社会部に電話までしましたが、それ以後も同様で、訂正もありませんでした。今回はさすがに「元同病院医師」となっていました。内容は見るべきところが全くありません。

①「配信サービスの抗弁」の否定×

 「配信記事を掲載した上毛、静岡、秋田魁の3新聞社については、『共同通信社とは別の責任主体』と指摘。共同通信社が記事を真実だと信じたことと、3社が記事を真実だと真実ことは別だと判断した。」と誤信相当性の説明のみ

②クレジットの(配信元の表記)×

 記載なし

③最高裁判決×

記載なし

④識者のコメント

 なし

以上を総括すると、読売はブレインの力でトップ、最高裁判決に触れていれば東京新聞が優等。毎日も「配信サービスの抗弁」の説明が詳細なら下駄を履かせて合格か。朝日は落第。産経は赤点、日経は赤点以下。

 なお、「配信サービスの抗弁」を否定した最高裁判決は、裁判官の全員一致によるもので、以下に掲載させていただきます。

 

最高裁平成7年(オ)第14221号同14年1月29日第三小法廷判決

-ロス疑惑共同通信事件-(最高裁民集56巻1号185頁、判例時報1778号28頁、判例タイムズ1086号96頁、別冊ジュリストメディア判例百選192頁)

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=25250&hanreiKbn=01

判示事項:通信社から配信を受けた記事をそのまま掲載した新聞社にその内容を真実と信ずるについて相当の理由があるとはいえないとされた事例。

裁判要旨:新聞社が通信社から配信を受けて自己の発行する新聞紙にそのまま掲載した記事が私人の犯罪行為やスキャンダルないしこれに関連する事実を内容とするものである場合には,当該記事が取材のための人的物的体制が整備され,一般的にはその報道内容に一定の信頼性を有しているとされる通信社から配信された記事に基づくものであるとの一事をもって,当該新聞社に同事実を真実と信ずるについて相当の理由があったものとはいえない。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/FBD8E85657C78BFC49256BF200267997.pdf

主文:

原判決中被上告人らに関する部分を破棄する。

前項の部分につき本件を東京高等裁判所に差し戻す。        

理由:

 上告代理人弘中惇一郎の上告理由について

 1 本件は,通信社である被上告補助参加人が被上告人らに配信し,被上告人らの発行する各新聞紙に掲載された記事が上告人の名誉を毀損するものであるとして,上告人が被上告人らに対して不法行為に基づく損害賠償を請求する訴訟である。原審の確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。

(1) 被上告補助参加人は,昭和20年に設立され,平成5年9月現在,地方新聞,日本放送協会,スポーツ新聞など全国の報道機関62社を社員(加盟社)とする社団法人である。

 被上告補助参加人は,東京に本社を置き,札幌市,仙台市,名古屋市,大阪市及び福岡市に支社を,各府県庁所在地など48都市と海外38都市に支局を設置して,国内及び国外のニュースを取材し,作成した記事を加盟社並びに記事配信契約を締結した新聞社及び民間放送局等に提供する業務を行っている我が国の代表的な通信社である。東京本社には政治,経済,社会,外信,文化,写真等の部があり,国会,中央官庁,裁判所,経済団体等に設けられた記者クラブを拠点に取材活動を行っている。

 (2) 被上告人株式会社デイリースポーツ社は,日刊紙「デイリースポーツ」を,同株式会社日刊スポーツ新聞社は,日刊紙「日刊スポーツ」を発行し,販売する新聞社である。

 被上告人らは,被上告補助参加人との間で,被上告補助参加人が作成した記事の提供を受ける契約を締結している。同契約には,① 被上告人らは,被上告補助参加人から提供を受けたニュースを新聞紙面への掲載以外の目的に使用せず,新聞紙面に掲載するに当たっては,同ニュースの内容をゆがめたり,故意に主観を交えたり,わい曲して編集するなどのことを一切行わない,② 被上告人らは,原則として,ニュースごとに被上告補助参加人の配信記事であることを明記する旨の定めがある。被上告人らは,いずれも警視庁記者クラブに所属していないため,警視庁当局の情報については,同クラブに所属している被上告補助参加人から配信された記事を原則としてそのまま新聞紙に掲載することによって報道している。被上告人らが被上告補助参加人から配信された記事について裏付け取材をせずにそのまま新聞紙に掲載する理由は,同配信記事自体を信頼していること,被上告人らが裏付け取材をするだけの人的能力に乏しいこと,同配信記事の取材源に配信を受けた各社の裏付け取材が殺到すると,取材源に迷惑を掛け,配信を受けた各社と被上告補助参加人との信頼関係及び被上告補助参加人と取材源との信頼関係が破壊されることになることなどにある。

(3) 上告人の妻Bは,昭和56年8月に米国ロス・アンジェルス市で殴打され負傷し(以下「殴打事件」という。),同年11月に同市で銃撃され,その後死亡した(以下,殴打事件と上記銃撃事件を併せて「ロス疑惑」という。)。被上告補助参加人は,週刊文春誌が「疑惑の銃弾」と題するロス疑惑に関する特集記事の連載を開始したことを契機に,昭和59年1月ころからロス疑惑や上告人に関するその他の事件についての取材を開始した。

 上告人は,昭和60年9月11日,殴打事件に関し,殺人未遂事件の被疑者として警視庁に逮捕され,その後勾留されていた。

 (4) 被上告補助参加人は,昭和60年9月17日,被上告人らに対し,「A,大麻草を自宅に隠す。元の妻が目撃証言」との標題を付した次の内容の記事(以下「本件配信記事」という。)を配信した。本件配信記事には,次の①ないし⑥の記載がある。① 殴打事件で逮捕された上告人と共犯のCが大麻パーティーで結び付いたことが明らかになったが,警視庁特捜本部は,上告人がかなり以前から女性と知り合うきっかけに大麻を使用していたり,自宅に大麻を隠し持っていた事実を関係者証言などから突き止めた。② 上告人の乱脈な生活ぶりを知る手掛かりとして,特捜本部がこうした証言を重視している。③ 上告人の大麻所持について証言したのは,殴打事件の4年前の昭和52年当時上告人と生活していた2番目の妻Dらであり,上告人とDが同53年2月ころ別居状態になる直前,Dが,台所の冷蔵庫を開けて,青色のビニール包みの中に両手いっぱいくらいの茶色の大麻草が隠してあったことを発見し,これを上告人に問いただすと,上告人が大麻草であることを認め,「これは高く売れるんだ。もし警察に見付かりそうになったトイレの水と一緒に流せばいい。」と指示した。④ 特捜本部は,上告人が昭和51年ころから毎年7回から11回,ハワイやロス・アンジェルスに渡航していた事実をつかんでおり,上告人が米国で手に入れた大麻を日本に持ち帰った可能性があると見ている。⑤ 上告人が自宅に大麻を持っていた昭和52年は,ロス・アンジェルスで変死体で発見されたEが前夫と別居して上告人と親しくなった時期である。⑥ 特捜本部の調べに対し,Cは,上告人と知り合ったのが昭和56年5月に都内のホテルで内密に開かれた大麻パーティーだったことを自供し,ロス・アンジェルス時代から上告人の周辺にいた関係者らも,上告人が大麻を持っていたことをほのめかしている。

 (5) 被上告人デイリースポーツ社は,昭和60年9月18日付けのデイリースポーツ紙に,「A自宅に大麻草隠す」,「二番目の妻目撃証言」,「女性と知り合う小道具。米国で入手。現行犯しか適用できず」と見出しを付して,本件配信記事をそのまま掲載した。

被上告人日刊スポーツ新聞社は,昭和60年9月18日付けの日刊スポーツ紙に,「大麻漬けA」,「自宅の冷蔵庫に隠していた(52ころ)」,「2番目の妻が証言」等と見出しを付して,本件配信記事のうち上記⑤以外の部分を,順序と表現を若干変更した上で掲載した。

 なお,被上告人らは,上記各記事(以下「本件各記事」という。)の掲載に当たり,被上告補助参加人からの配信に基づく記事である旨の表示をしなかった。

 (6) 本件配信記事及び本件各記事は,上告人が昭和52年末から同53年初めにかけて,自宅の冷蔵庫内に所持,使用が禁止された多量の大麻草を隠し持っていたという犯罪事実を指摘し,かつ,その後も上告人が大麻の所持,使用に深くかかわっていたこと,ひいては,犯罪者的悪性を有する者であることを読者に印象付ける内容のものであり,上告人の社会的評価を低下させ,その名誉を毀損する。

 (7) 本件配信記事及び本件各記事は,その内容が公共の利害に関する事実に係り,その配信及び記事掲載は専ら公益を図る目的に出たものであるが,本件配信記事に摘示された上告人の大麻所持の事実が真実であることの証明はないし,被上告補助参加人において,同事実を真実と信ずるについて相当の理由があったとはいえない。

 (8) 被上告人らは,被上告補助参加人が昭和59年1月以降,ロス疑惑について,捜査当局や関係者に対して精力的な取材活動をし,多くの記事を配信していたことから,本件配信記事も捜査当局に取材した結果得た情報によるものであると受け止めていた。

 2 原審は,次のように判断して,被上告人らには名誉毀損による不法行為が成立しないとし,上告人の請求を棄却した。

 被上告補助参加人は,多数の報道機関が加盟する我が国の代表的な通信社であり,人的物的に取材体制も整備され,その配信記事の信頼性は高く評価され,その内容の正確性については被上告補助参加人が専ら責任を負い,記事の配信を受ける報道機関は裏付け取材を要しないものとする前提の下に報道体制が組み立てられている。このような報道体制には相当の合理性が認められるから,一般的にいって,被上告補助参加人からの配信記事について,被上告人らが真実であると信頼することについては,相当の理由がある。そして,被上告補助参加人は,ロス疑惑について精力的な取材活動を行い,多くの記事を配信し,本件配信記事が出る前にも上告人と大麻との関係については,数多くの報道がされており,警察も関心を持って捜査に当たっていて,本件配信記事の内容を真実と信ずることを妨げるような特段の状況があったとは認められないから,被上告人らにおいて本件配信記事が真実であると信頼したことは合理的である。したがって,被上告人らが発行する各新聞紙に掲載された本件配信記事に基づく本件各記事については,被上告人らにおいてそこに摘示された事実が真実であると信ずるについて相当の理由がある。

 3 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。民事上の不法行為たる名誉毀損については,その行為が公共の利害に関する事実に係り,その目的が専ら公益を図るものである場合には,摘示された事実がその重要な部分において真実であることの証明があれば,同行為には違法性がなく,また,真実であることの証明がなくても,行為者がそれを真実と信ずるについて相当の理由があるときは,同行為には故意又は過失がなく,不法行為は成立しないとするのが当裁判所の判例とするところである(最高裁昭和37年(オ)第815号同41年6月23日第一小法廷判決・民集20巻5号1118頁参照)。

 ところが,本件各記事は,被上告補助参加人が配信した記事を,被上告人らにおいて裏付け取材をすることなく,そのまま紙面に掲載したものである。そうすると,このような事情のみで,他に特段の事情もないのに,直ちに被上告人らに上記相当の理由があるといい得るかについて検討すべきところ,今日までの我が国の現状に照らすと,少なくとも,本件配信記事のように,社会の関心と興味をひく私人の犯罪行為やスキャンダルないしこれに関連する事実を内容とする分野における報道については,通信社からの配信記事を含めて,報道が加熱する余り,取材に慎重さを欠いた真実でない内容の報道がまま見られるのであって,取材のための人的物的体制が整備され,一般的にはその報道内容に一定の信頼性を有しているとされる通信社からの配信記事であっても,我が国においては当該配信記事に摘示された事実の真実性について高い信頼性が確立しているということはできないのである。【要旨】したがって,現時点においては,新聞社が通信社から配信を受けて自己の発行する新聞紙に掲載した記事が上記のような報道分野のものであり,これが他人の名誉を毀損する内容を有するものである場合には,当該掲載記事が上記のような通信社から配信された記事に基づくものであるとの一事をもってしては,記事を掲載した新聞社が当該配信記事に摘示された事実に確実な資料,根拠があるものと受け止め,同事実を真実と信じたことに無理からぬものがあるとまではいえないのであって,当該新聞社に同事実を真実と信ずるについて相当の理由があるとは認められないというべきである。

 仮に,その他の報道分野の記事については,いわゆる配信サービスの抗弁,すなわち,報道機関が定評ある通信社から配信された記事を実質的な変更を加えずに掲載した場合に,その掲載記事が他人の名誉を毀損するものであったとしても,配信記事の文面上一見してその内容が真実でないと分かる場合や掲載紙自身が誤報であることを知っている等の事情がある場合を除き,当該他人に対する損害賠償義務を負わないとする法理を採用し得る余地があるとしても,私人の犯罪行為等に関する報道分野における記事については,そのような法理を認め得るための,配信記事の信頼性に関する定評という一つの重要な前提が欠けているといわなければならない。

 なお,通信社から配信を受けた記事が私人の犯罪行為等に関する報道分野におけるものである場合にも,その事情のいかんによっては,その配信記事に基づく記事を掲載した新聞社が名誉毀損による損害賠償義務を免れ得る余地があるとしても,被上告補助参加人において本件配信記事に摘示された事実を真実と信ずるについて相当の理由がなく,かつ,被上告人らの不法行為の否定につながる他の特段の事情も存しない本件においては,被上告人らが本件配信記事に基づいて本件各記事を掲載し上告人の名誉を毀損したことについて,損害賠償義務を免れることはできない。

 4 そうすると,被上告人らに損害賠償義務がないとした原審の判断には,不法行為に関する法令の解釈適用を誤った違法があり,この違法は判決に影響を及ぼすことが明らかである。論旨は理由があり,原判決中被上告人らに関する部分は破棄を免れない。そして,被上告人らの上告人に対する各損害賠償の額について更に審理判断させるため,上記部分につき本件を原審に差し戻すべきである。

 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する

(裁判長裁判官 金谷利廣 裁判官 千種秀夫 裁判官 奥田昌道 裁判官 濱田邦夫)

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報道内容が今ひとつ理解しにくかった。 各紙の報道内容を比較検討されているので、こちらを参照されたい。 新聞各社の地方3紙賠償命令報道比較 http://kazu-dai.cocolog-nifty.com/blog/2007/09/3_abf9.html ----------------------------------- 女児術後死亡記事訴訟…共同の責任否定、地方紙に損賠命令 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070918i4...... [続きを読む]

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