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2008年1月11日 (金)

医療事故関連書籍、「偽」報道に対するコメント

1.医師を中心としたブログより

 医学知識に乏しく、科学的方法論を用いることのない社会部新聞記者が、充分な取材もせずに、医療関連の報道やレポートを平然と書いていることがあまりに多いことに憤慨する医師の意見をよく聞きます。これに関連して明確な目的を有するブログ「医療報道を斬る」http://plaza.rakuten.co.jp/tinyant/ や医師ばかりでなく相手のジャーナリストまで交えて問題を学術研究レベルまで高めようとしている「東京大学 医療政策人材養成講座」http://www.hsp.u-tokyo.ac.jp/forum.html の「報道は医療をよくできるか?」「医療を良くするために、医療車と報道者ができること」などのフォーラムの紹介をしてきました。

2.記者とProfession

 記者達は何故そのように安直な「偽」記事を書くのでしょうか。一言でいえば、「Profession」の自覚と責任感が欠如しているからと考えます。医師達が手術室やICUや病床のまさにベッドサイドで、夜通し立ちながら患者さんの診療を行い、先輩医師や同僚と悩みながらひとつひとつ経験して、血や肉として体得した医療知識。臨床現場や研究室で得た研究成果を外国の学会でたった一つ発表するために、数十もの原著論文を読み権威や先輩医師と討論、考察して得られた結論。高度な統計学でしか表現できない科学的事実の発表。このような厳しい状況の中でしか得られない経験が、記者達には全くないことが一つにあると思います。

3.「偽(エセ)専門家」を見破れ

 このような記者の好む、彼らのいうところの「専門家」とは、単なるおしゃべりで、科学的背景なく、論法もいい加減で非論理的にどんどん適当な話しをする輩が多いことに医師達は気づいています。(このことは、医学にかぎらず、法曹界でもその傾向があるようです。)論理などはさておき、記者達に専門知識が無いことをいいことに、「真」の専門家からみれば、的はずれの例示等をしながら、本当にあったのか作り話なのかわからない自慢話などを交えて、○×でものをいうような「偽(エセ)専門家」が好まれる傾向にあります。記者達は、本当の専門家の論文や意見の存在すらも調査せずに「偽情報」を大切にする上、修飾を加えて記事にします。

 陰圧吸引脱血法の事件なのに、その方法を一回も使用したこともなく、さらに見たこともなく、論文も読まず、学会に参加もせず、事件の証拠や公判についての知識を得ようともせず、噂レベルの話しを聞きた程度なのに、「専門家」と呼んで、彼らの語ることを鵜呑みにする記者達。欧米の一流紙にこのようなレベルの人間が存在するはずありません。パパラッチレベルのゴシップ記事がどうどうと全国紙にかかれたり、一流出版社から出版されたりする現実。是非「偽」を見破って記事を書いてもらいたいものです。

4.記者達への伝言

 医療崩壊、医療限界が叫ばれていますが、医療関連報道を正すことも我々の急務だと思っています。「生き方上手」の著者であり、日本人医師の鏡である聖路加病院の日野原重明先生のお言葉です。「「Profession」という言葉には、神に告白(Profess)する、約束する、契約するという意味があります。神学と法学と医学のプロフェッションには、明らかにその精神が垣間見える。底通するのは、学問を修めるにとどまらず、持っている能力を社会の繁栄と人々の幸福のために活かすと神に誓うから「プロ」であるという精神。欧米で、神職者、法律家、医師が、専門職能集団の中でもトップのプロフェッショナルな集団とされてきた理由はそこにあります。そして、使命感を持った人が公言し、神と約束しているわけですから、第三者が彼らの仕事の内容を批評するのも当然のこと。

 記者は「偽」記事を書いても書きっぱなしで、「第三者が彼らの仕事の内容を批評」を受けることがほとんどないのが現状でしょう。たとえ、「偽」記事を書いても、「『偽専門家』を取材して彼がいったことを書いた」と言い逃れる。しかし、これは、「自分の心」=「神」との約束に反しています。

 私は、この「第三者」に対して医療情報を提供する記者の仕事も重要な「Profession」であることを自覚し、誤った記事を書いた場合は謙虚に責任をとるべきであると考え、彼らの今後に期待します。

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