書籍・雑誌

2009年4月27日 (月)

「診療研究」(東京保険医協会)2009年5月号:被告人の視点からみた医療司法問題の実際

被告人の視点からみた医療司法問題の実際「診療研究」(東京保険医協会)2009年5月号
に依頼原稿を執筆いたしました。以下のような目次になっています。

はじめに
1.司法警察(員)-フィードバックされない現場刑事の捜査
・任意捜査に先行した内部報告書のメディア暴露
・フィードバックされない現場刑事の捜査と自白の強要-逮捕
2.検察捜査-勉強不足の取調検察官
・警察官よりも医科学知識に劣る検察官
・ローンを抱える私立医大勤務医の保釈金2000万円:算定根拠は
3.公判検事(地検)-科学的事実の証拠隠し
・フィルター調書なし、取説なし。重要人物の調書なし。
・「3学会報告書」の不同意-検察官の知的誠実性の欠如
・破れかぶれの訴因変更
4.地方裁判所-分離裁判の弊害
・検証実験計画に7ヶ月-理科系職員の不存在
・業務上過失致死罪と証拠隠滅罪
・分離裁判と矛盾した判決-「とりわけ上大静脈」の脱血不良の言及なし
5.控訴した検事と公判検事(高裁)
・証拠提出期限を約束違反:裁判の長期化 
・控訴審非専門家“新証人“は一審と同じ証人とその部下
「公務員」検事のモチベーション
6.高等裁判長の退官と新裁判長の充実
・遅々とした裁判進行と定年退官
・「患者家族の願い」と「最終弁論の検察批判」に答えた高裁裁判長
おわりに
 



 

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2009年3月24日 (火)

否定された内部調査報告書 東京女子医科大学病院 心臓手術事故ー「ルポ 医療事故」朝日新書

ルポ医療事故 (朝日新書) Book ルポ医療事故 (朝日新書)

著者:出河 雅彦
販売元:朝日新聞出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する

1.「ルポ 医療事故」と「医療事故がとまらない」の比較

この書籍では、本件事件が紹介されています。

私は、名誉毀損裁判で、「医療事故がとまらない」という書籍を執筆した「毎日新聞医療問題取材班」の記者を訴えて一審勝訴しました。法廷で、E.M.という記者は「私の取材の原点は、被害者の視点です。」と語っていますが、それでは物語になってしまいます。また法廷で明らかになったことは、事件の報道以前に「筋読み」とか「ねらい」を創ってこれに沿った取材活動をしているという点です。職業的使命感や表面的な道徳的正義感が、真実の見極めよりも先に駆け出しているからです。熱意や正義感をhttp://kazu-dai.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-c6ad.html動機づけるものは基本的に主観的思い込みであって、客観的、合理的判断ではありません。「思い込み」には、客観的判断とのズレが必ず生じます。しかし、客観的判断で、感情の独走を抑制できるほど人は器用ではありません。

これに対して、本件書籍は、一段高いところから全体を見回して執筆に取り掛かっているように思えます。比較的抑えた語り口、公正な視線が印象的です。

「おわりに・・・(医療版事故調査委員会)設置は、今後の日本の医療に大きな影響を及ぼすことは間違えありません。現実を踏まえた、冷静な議論が必要です。そこで私は、過去の医療事故調査を検証してみようと考えました。医療事故被害者の遺族や、事故にかかわった医療者、事故調査を担当した医師たちの話にじっくり耳を傾けることで、未来の制度づくりのヒントが得られるのではないかと思ったからです。」この姿勢でこの書籍が書かれたことが理解できます

2.第4章 第4章 否定された内部調査報告書 東京女子医科大学病院 心臓手術事故」

 この章が、本件事件にあたります。項目は

        無罪判決

        内部告発

        事故を認めた調査委員会

        医師2人を逮捕裁判外紛争処理の試み

この後からが、本章の肝です。

        専門家を排除した原因調査

⇒非科学的で杜撰な検証と報告書作成の状況

専門家の意見

E 教授 「科学的常識では考えられない」

K教授  「操作担当者のミスとするためのこじつけではないか」

           「医療事故調査に心臓外科医が1人も入らなかったのは常識では考えられない。

        3学会合同委員会の検証

⇒女子医大に照会すると「検証のデータはない」

        訴因変更

⇒検察、ポンプ回転数上昇に関して主張を取り下げる。

        「科学的ではなかった」

内部調査報告書 責任者 東間紘先生のコメント
「報告書の結論に根拠はない。」
「『科学的ではない』と言われれば、その通りだ。いま思えば、外部の心臓外科医を調査委員会にいれておけばよかったかもしれない。」

関連書類

3学会合同陰圧吸引補助脱血体外循環検討委員会報告書
日本胸部外科学会、日本心臓外科学会、日本人工臓器学会
平成155

www.jsao.org/tools/file/download.cgi/69/vavd_report.pdf

日経メディカル2008年7月号による事件裁判の概要
http://kazu-dai.cocolog-nifty.com/blog/files/200807.pdf

東京女子医大事件の時系列
http://kazu-dai.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_a866....

公開質問状

http://kazu-dai.cocolog-nifty.com/blog/cat6216890/index.html

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2008年8月 2日 (土)

弁護医師による 医療訴訟とリスクマネージメント 田邊 昇著 医療文化社

「tanabe_book.pdf」をダウンロード

Blog_tanabe

 前回のブログでも、紹介させていただきました医学博士であり、弁護士さんでもあります田邊昇先生の書籍の推薦です。

「弁護医師による 医療訴訟とリスクマネジメント Q & Aで学ぶ」 田邊昇著 医療文化社

 

私は以前に、神谷惠子弁護士さんの書籍の中で、心底本当のことを語っていないと思う部分があり、それに対する反論の文章を書いたことがあります。
 これに関連して、田邊先生は、医師として弁護士として実感され、私の考えとほとんど同じ事を書かれています。内容に関しては実際に手にとってのお楽しみとします。

 医師にとって実感できる内容が充実しています。是非読むべき書籍だと思います。

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2008年7月 8日 (火)

日経メディカル 2008年7月号

2008年7月10日発売

「日経メディカル」 2008月7月号 72-72頁

特集 刑事訴追、そのとき医師は・・・

刑事事件の経験を語るー

「事故責任を押し付けた大学に最も怒りを感じる」

という題名で、私を取材した記事が掲載されています。

取材記事なので、題名や見出しは、編集者によるものです。

 直接は関係ありませんが、

「フジテレビ名誉毀損事件」の控訴審が今日、結審になります。

今から、いって参ります。

 明日は、刑事事件の控訴審の公判です。

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